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日本全国・移動運用記

第111回 鹿児島県大隅半島移動

JO2ASQ 清水祐樹

2024年12月2日掲載

鹿児島県の本土にあたる地域の東部にある大隅半島は、筆者が居住する愛知県からは車で移動すると非常に時間がかかる地域のため、移動運用を行う機会がありませんでした。そこで、鹿児島空港発着の飛行機を利用し、レンタカーを利用して2泊3日での移動運用を計画しました。

運用の計画

鹿児島空港がある霧島市で運用を開始して、そこから南下して南大隅町に到達してからは東に移動し、大隅半島の各市町を巡回する計画を立てました(図1)。


図1 移動ルート

アンテナは、2020年9月の記事で紹介している、車の屋根に置くだけでアースが確保できるATUと7mの釣竿を使用しました。筆者が釣竿アンテナでロングワイヤー用ATUを使用する場合には、長さ7mを使用することが多いです。これより長いと、強雨で継ぎ目が破損したり、継ぎ目に雨水が入り込んで固着し、収納が困難になったりすることがあります。また、長さ7mでは3.5MHzから50MHzの全ての周波数帯で1/2λの整数倍を避けられるため、安定して動作します。

時期的・時間的に、1.9MHz帯と3.5MHz帯を本格的に運用する予定は無かったため、伸縮ポールと電線で手持ちの荷物が4kg近く増えてしまう逆L型ロングワイヤーは使用しませんでした。これらの機材の一部を宅配便で発送し、レンタカーに搭載しました(写真1)。


写真1 レンタカー移動運用セット

11月2日 大雨強風からのスタート

台風から変わった低気圧が接近して、荒れ模様の天気の中、飛行機は予定の時刻通り到着し、霧島市の公園でレンタカー移動運用セットを展開して運用を準備しました(写真2)。電離層のコンディションは良好で、Eスポは無いものの7~14MHzの各周波数帯が好調でした。


写真2 霧島市での運用の様子。強風のため、サテライト用アンテナの三脚に水を満たしたポリタンクを吊して固定している

午後からは天候が急激に回復し、雨も上がって強い日差しの中での運用でした。垂水市では10MHz CWで100QSOを超えるなど順調に交信が進みました。夜になると海岸では風が強まり、鹿屋市の港では強風で釣竿がしなってSWRが不安定になったものの、とりあえず1.9MHz帯でも交信できました(写真3)。夜になっても、扇風機が欲しくなるほどの蒸し暑さが続いていました。


写真3 鹿屋市での運用の様子

11月3日 気温が上がる中、伝搬のコンディションも好調

この日は肝属(きもつき)郡の4町での運用でした。最初の錦江町では漁港で運用したところ、18MHz帯のコンディションが良く、続いて21MHz帯でも多くのQSOができました(写真4)。続く南大隅町では、伝搬のコンディションは少し落ち気味で21MHz帯から上の周波数帯では伸びなかったものの、ここでも多くのQSOができました。

肝付町では伝搬のコンディションが再び上昇し、多くのQSOができました(写真5)。文字通り雲一つ無い快晴になって日差しが強く、暑さ対策の物を持っていなかったため、車の窓に半透明の大型ゴミ袋を養生テープで貼り付けて日除けにしました。

夕方からの東串良町での運用では、日没の時刻に近くなったために18MHz帯以上での交信が厳しくなり、最後は1.9MHz帯と3.5MHz帯を運用して締めました。


写真4 錦江町での運用の様子


写真5 肝付町での運用の様子

11月4日 山間部での運用

曽於郡大崎町では、日の出前の暗い時間帯から運用場所探しを開始しました。西日本の冬季では日の出の時刻が遅くなり、HF帯の伝搬も夜の状態が日の出前後まで続きます。海岸付近は防砂林があり、運用に適した場所が無いため、市街地に近い公園での運用になりました。運用最終日で、飛行機の時間の関係で滞在時間が限られているため、ここでは1時間45分の滞在で打ち切りとなり、24MHz帯と28MHz帯は運用できませんでした。

曽於市では2時間の滞在で、7MHz帯と10MHz帯はあまり伸びなかったものの、14MHz帯と18MHz帯は非常に良好でした。志布志市の高台にある公園に移動し、使える衛星が無い時間帯になったため2時間の持ち時間を全てHF帯の運用に集中しました(写真6)。特に18MHz帯が好調でした。


写真6 志布志市での運用の様子

結果

QSO数を表1に示します。14MHz帯と18MHz帯のコンディションが良かったため、使える衛星が少なくてサテライトのQSO数が少なかったにもかかわらず、全ての運用地点で1か所200QSOを超えました。11月3日には1日1,000QSOを達成しました。なお、28MHz帯で交信できた時には50MHz帯にもチャレンジしましたが、50MHz帯では交信できませんでした。


表1 周波数帯、運用日、QTHごとのQSO数。1.9~28MHz帯はCW、サテライトはCWとSSB。

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