Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~
2026年11月2日掲載

続いては北棟の3階へ。このフロアには無線技術科の授業で使う無線機器実習室、無線通信実習室、電波実習室といった教室が並んでいます。名前を聞いているだけでワクワクします♪

北棟の3階、無線通信実習室に到着!
そのうちの1つ無線通信実習室に入らせていただきました。ここは無線技術科でモールス信号を覚えるための実習室で、教卓には縦振り電鍵とアンプ付きの低周波発振器、壁際のラックにはたくさんの電鍵と紙テープ式の印字機があります!

無線通信実習室のラックには電鍵や紙テープ式の印字機がズラリ! 無線技術科の皆さんはここでモールス通信を学びます
この高校で無線技術科を選択すると、1年生のときから海洋通信技術という授業があり、まず基本となるモールス符号(最初に和文、続いて欧文)をマスターするそうです。
授業はモールス符号を覚えるところから始まります。一通り理解したところで受信練習に入り、受信したモールス符号を文字に落とし込むことを行います。教壇に立った先生がモールス符号で1文字だけ打ち、生徒の皆さんはそれを聞き取って、正しいと思う文字を筆記。これを何文字か繰り返したところで答え合わせをするという形式で、根気よく進めていきます。

教卓には先生用の電鍵と低周波アンプがあります。「これから先生が符号を打ちます!!」って感じ?
海洋通信技術の授業では、ほかにも通信関係の法規や、外国の無線局や船舶局との意思疎通に欠かせない通信英語、通信交通地理など、実際の無線業務に活用できる、さまざまなことを授業で学びます。
続いて無線通信実習室の少し先にある電波実習室に入ると、電子研究サークルの皆さんが待っていてくれました! ここがサークルの活動場所を兼ねているのですね! 皆さんにご挨拶をしている途中で、アマチュア無線機ではない、大型の無線機やアンテナチューナーが壁に配置されているのに気がつきました!

北棟3階の電波実習室へ!

電波実習室には大型の船舶用無線機器がセットされていました。左側はアンテナチューナーです
無線技術科の学科長で電子研究サークルの顧問のお一人でもある八木先生に、この無線機のことを教えていただきました。
--八木先生、これは短波帯の無線機ですか?
「はい、短波帯の船舶無線の送信機(150W機と250W機の2基)と受信機、国際VHFの無線機などがあります。この学校は教育用海岸局(呼出名称: かいようかがくこうこうよこすか)として免許を受けていて、湘南丸が船舶運航科の3年生を乗せて遠洋実習航海に出ている期間(4月出航・6月末帰港と、9月末出港・11月末帰港の年2回)は毎日、無線で定時連絡を行っています」
ちなみに湘南丸の呼出名称は7KAT。学校との交信はモールスではなく、SSBで行うそうで、定時交信の時間になると、船舶運航科の教官の先生方もこの部屋に集まってきて、一緒に交信を聞き入るそうです。また、保護者の皆さんをここに招いて、交信を聞いていただく会も設けているということでした。
--定時交信ではどんなことを話すのですか?
「現在位置や気象状況、それから“今日はメバチが何トン獲れた”といった漁獲高の報告などです。交信は一総通の資格を持つ教諭(八木先生)が行い、それを通信当番の生徒が聞き取って受信用紙にまとめています」

電波実習室に掲示されていた海図。定時交信で聞き取った湘南丸の位置が書き込まれていました
--交信に使う周波数はいつも同じなのですか?
「季節やその日の電波状態、湘南丸の現在位置によっても感度が変わってくるので、交信のときはそれをチェックして、周波数を変えることがあります。そのために複数の周波数が免許されています」
受信用紙に書き取った内容は廊下に貼り出し、海図に湘南丸の現在位置をプロットするのも通信当番の大切な日課ということでした。

定時交信で聞き取った内容は、無線当番が受信用紙にまとめて廊下に掲示します
--マグロ延縄漁の実習で捕った魚はどうなるのですか?
「帰国してから市場に卸しています。燃料代ぐらいは稼がないと(笑)」
--実習航海に行く前と帰ってきた後で、参加した生徒さんは変わりますか?
「全然違いますね! 帰ってくるとたくましいと言うか、顔つきから違っています」
--実習航海で得るものが多いのですね!!
電波実習室の一角には、ほかにも東京湾を出入りする船舶が分かるレーダーや、気象衛星の電波を受信し、最新の気象状況を映し出すモニター、気象ファクシミリ、電波の方向探知機、NAVTEX(中波帯のFSKを使った海上安全情報システム)の受信機なども設置されていましたよ。

最新の気象状況を映し出すモニター

GPS航法装置(左)と中波帯FSKを使ったNAVTEXの受信機(右)
さて、改めて電子研究サークルの皆さんとおしゃべりをしました。最初はサークルのことをいろいろ教えてもらいました。

改めて電子研究サークルの皆さんとご挨拶。この日は7名のメンバーが集まってくれました♪
電子研究サークルのクラブ局はコールサインがJA1ZNW。かなり歴史のあるコールサインですが、最初に局免許を受けたのがいつだったかは「古すぎてわかりません」ということでした。後日、月刊FB NEWSのスタッフが調べたところ、どうやら初開局は今から60年近く前の1960年代後半で、最初は三崎水産高校無線部という名称だったようです。
現在の部員数(メンバー数)は13名で、全員が無線技術科だそうです。この日集まってくれたのはそのうちの7名(1年生: 3人、2年生: 4人)。みんな4アマの資格を持っているそうです。
--皆さん、どうやって4アマの資格を取ったの?
と聞いたら、「講習会で資格を取りました」という返事が! 神奈川県には神奈川県高文連 アマチュア無線専門部会という組織があり、毎年6月頃に、県内の高校生と教職員を対象にした4アマの養成課程講習会を開催して、なんと教科書の実費代だけで受講できるそうです! これはおトクですね!
中にはアマチュア無線技士だけでなく、勉強して第4級海上無線通信士(4海通)や第1級陸上特殊無線技士(1陸特)といったプロ資格を持っている人や、さらに上級の資格に挑戦している人もいました。

廊下には無線技術科 資格取得掲示板があり、生徒の皆さんが新たに取得した資格が掲示されています。無線関係では「4アマ」から「1陸特」「1陸技」まで。ほかにも「2級小型船舶操縦士」「無人航空機操縦士」「水産海洋技術検定」「1級海洋情報技術検定」「エンジン技術検定」などたくさん! みんな凄い!!
--皆さん無線技術科ということは、授業でモールス符号を覚えるんですよね?
「そうです!」「1年生全員、絶対です!」
--和文と欧文をマスターするのに、どれぐらいかかったの? 覚えるコツはありますか?
と、2アマなのにCWが苦手な私が尋ねたら、「最初に和文を覚えて、それから欧文で半年ぐらいかかりました」「最初は符号を紙に書いて1つずつ覚えます。2年生になると符号を音で聞いたら、すぐに文字で書き取ります」「ゲーム感覚で覚えます。モールス符号のマスターは“ノリと勢い”です!」といった答えが。
--とっても参考になりました。私も“ノリと勢い”で頑張ります(笑)。
ちなみに無線技術科で3年間勉強し、さらに上の専攻科(2年間)を卒業すると、第一級総合無線通信士(1総通)の電気通信術の実施試験(欧文普通語100字/分、欧文暗語80字/分、和文75字/分を、それぞれ5分間送受信。ほかに電話の欧文送受話、直接印刷電信の欧文普通語送信もある)が免除されるそうで、この免除校に指定されているのは全国で5校だけということを八木先生に教えていただきました。
サークルの活動は、電波実習室か情報技術実習室で行いますが、活動日は特に決めず、放課後の空き時間に自由に楽しめるので、クラブ局からアマチュア無線の交信を楽しんだり、校庭でドローンの操縦訓練をする人もいるということでした。(でも「1年生はいろいろな資格を取得する勉強が忙しいので、部活動にあまり集中できません」という本音も・・・!?)

電子研究サークルの皆さんのドローン操縦訓練風景
また、夏に東京で開催されるハムフェアにブースを出展するほか、ARDF大会やFOXハンティング大会への参加、学校と無線技術科をPRする活動や、JARL神奈川県支部で行った一般向けのアマチュア無線体験イベントにも協力したそうです。

無線技術科のPRイベント。アマチュア無線から業務用ドローンまで登場しました

無線技術科のPRイベントでアマチュア無線の公開運用も行いました
--皆さん、サークルの活動では何が楽しいですか?
「ドローンです」「ARDF。神奈川大会で優勝して、全国大会に行きました」
--ARDFも頑張っているんですね、凄い!!
次ページは「クラブ局の無線機とアンテナを拝見!」
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