Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

第52回 泉佐野インターネット放送局「いこらじお」の皆さん

Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

こんにちは、Masacoです! やっと「緊急事態宣言」や「県境を跨ぐ移動制限」が解除されましたね。公園でマスクを付けて遊ぶ親子とか、お土産の入った大きな袋を持って下りの新幹線に乗る人を見ると、少しずつですが日常が戻ってきたようでホッとします。一人一人が自衛の意識をもって新たな生活のイメージを持ちつつ一歩を踏み出す時なのかなぁ。新型コロナウイルスの感染防止に努めつつ、私のお仕事もだんだん復活してきましたよ♪ 新しい明日を積み重ねていったらどんな未来がまっているんだろう…。

さて、『Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~』も訪問が復活です。久しぶりにマスクの中もメイクをして(笑)電車に揺られ、今回は大きなショッピングセンターの中に誕生したインターネット放送局を訪ねて、大阪府泉佐野市を訪れましたよ~!

第52回 泉佐野インターネット放送局「いこらじお」の皆さん


いま、全国のあちこちに大規模なショッピングモールがありますよね! 広い敷地に広い駐車場、家族連れが1日中いても飽きないように、モールの中もお店だけではなく、いろいろと工夫が凝らされています。

そのショッピングモールの一番目立つ場所にラジオのスタジオを作って、毎日24時間放送をしているのは全国でここだけ! という“ショッピングモールのインターネット放送局”が大阪府にあります。代表者の方はアマチュア無線を楽しんでいらっしゃるということで、お邪魔させていただきました。

話題のインターネット放送局は、関西の空の玄関口、関西国際空港でおなじみの大阪府泉佐野市にあります。南海電車の井原里駅から徒歩3分、今年で開設20周年を迎えるショッピングモール「いこらも~る泉佐野」の中に、今年4月「泉佐野インターネット放送局 いこらじお(OIBC)」として開局しました。


関西国際空港のお膝元、大阪府泉佐野市のショッピングモール「いこらも~る泉佐野」にやってきました!

「いこらも~る泉佐野」の施設面積は33,800平方メートル! 元々は製綱会社の工場だった場所で、めっちゃ広かったです!! そして、駐車場を通ったらこんなかわいいビタミンカラーのクルマが! 「いこらじお」の宣伝カー?


駐車場に「いこらじお」「いこら探検隊」と書かれた車がありました!

ショッピングモールの中に入り、エスカレーターで2階に上がったら、その真正面に「いこらじお」のスタジオがドドーン! 一番良い場所にあるので目立ちます!


モールの2階で「いこらじお」のスタジオを発見!

でも、今日お邪魔するのはこのスタジオではなく…「3階のサンミュージック・アカデミーにいらしてください」ということで、またエスカレーターに乗って3階へ! あれ、「サンミュージック・アカデミー」って、大手プロダクションのタレント養成スクールですよね!?


モール3階の「サンミュージック・アカデミー 泉佐野校」に着きました。おなじみの俳優、歌手、芸人さんの写真がいっぱい!

「Masacoさん初めまして。お待ちしていました」

アカデミーのドアを開けて出迎えてくださったのは、「いこらじお」理事長の野口秀敏さん(JL3UKG)です。

野口さんは「いこらじお」の理事長のほか、サンミュージック・アカデミー 大阪泉佐野校の代表、さらに介護事業と保育園事業を行う一般社団法人の理事長も務めています。また26歳から12歳まで4人のお子さんがいて、全員がアマチュア無線技士の免許を持っているハム一家です!

さっそく野口さんに、インターネット放送局の開設のきっかけを伺いました。

ショッピングモールにインターネット放送局ができた理由

野口さんは父親から引き継いだ介護事業を行う中で、地域の防災、防犯、高齢者介護や、高齢者と障がい者の社会参加の方法などに強い関心が生まれ、3年ほど前から「地域の人たちに必要な情報を流せるラジオ局を、地元の泉佐野市に作れないか」と考えていました。ラジオ局を作れば、高齢者や障害者も番組に参加してもらえ、さらに趣味であるアマチュア無線を活性化する番組も作れるのではないかと思ったそうです。


野口秀敏さん(JL3UKG)にサンミュージック・アカデミーのレッスン室を見せていただきました。ちょっとしたライブイベントも開催できる広さと音響・映像設備が整っています


野口さん(一番左)とサンミュージックの所属タレントで千葉県知事の森田健作さん(左から3番目)。サンミュージックの式典にて

実は、野口さんの4人のお子さんは全員がサンミュージック所属のタレントさん! なのだそうです(最年少の泰宏君はサンミュージック・アカデミーのレッスン生)。長女で女優・歌手の西園みすずさん(芸名)は第4級アマチュア無線技士の資格を持っていることがきっかけで東京消防庁の防災アイドルに任命されたほか、現在は泉佐野市のPR大使としても活躍しています。こうした経緯から、野口さんはサンミュージックと長年の交流があり、2018年4月に「サンミュージック・アカデミー 泉佐野校」をモール内に開校しました。


アマチュア無線大好き!という12歳の野口泰宏君(JP3WRC)はサンミュージック・アカデミー 大阪泉佐野校のレッスン生でもあります

サンミュージックは50周年を迎え、全国のアカデミー生が日々、夢や目標をもって頑張っています! サンミュージック・アカデミー 泉佐野校の開校を機に「レッスン生の活動を配信できる場所づくりと、地域で頑張っている子供たちがスタジオで放送体験できるようなラジオ局を、いこらも~る泉佐野の中に作りたい。いこらも~る泉佐野のテナント100社と一緒にお買い物情報や地域情報のほか、自治体情報を発信できるようにしたい」と言う野口さんの思いがあり、自治体に参加協力をしていただき、長年温めてきたラジオ局の開設計画が具体的に動き出したそうです。

最初は自治体とFMの電波を使ったコミュニティ放送局を開設する方向で計画を進めていましたが「運営費用を出すことは厳しい」という話になってしまいました。そこで野口さんは、開設・運営費用がある程度抑えられ、音声だけでなく動画の配信もでき、世界中の人たちに見てもらえる「インターネット放送局」として開局するプランを立案。縛りのない放送を行うため、開局・運営費用は「いこらも~る泉佐野」の施設所有者でもある東京製綱株式会社に社会貢献の一環として負担してもらい、泉佐野市や周辺の市町村は防災防犯面で「いこらじお」に協力するというプランが最終的に決まりました。


サンミュージック・アカデミー 泉佐野校の楽しいレッスン風景。中央は「いこらじお」のキャラクター“いこらちゃん”です

“試行錯誤しつつ協力を得ながら夢を形にしていくまでには、どれだけの山を乗り越えたんだろう…”私は野口さんとお話していると、ものすごいエネルギーと行動力、人間力、そしてバランス力に優れていらっしゃるなあ…と感じました。

バラエティに富んだ番組いろいろ

ところで、モールの中にインターネット放送局を作る計画が動き始めたとき、スタジオをどの場所に設置するか、いろいろ検討したそうです。

「最終的には、空きスペースだった2階のエスカレーター前に決まりました。これは“目の前にイベントコーナーがあるので、イベントを終わった出演者さんが、すぐそのままラジオ出演できる”というメリットを考えた結果です」と野口さん。

その後、開局はモールがオープン20周年を迎え、大々的なイベントが行われる2020年4月に決定し、2019年秋から設置工事が始まりました。


2階のイベントコーナー。すぐ向かい側に「いこらじお」のスタジオが作られました


建設工事の終盤を迎えたスタジオの様子

ところが開局日の4月1日は新型コロナウイルス騒ぎの真っ只中…。「開局は予定通りに行いましたが、モールの20周年記念イベントはすべて延期になってしまいました。開局のPRも十分とはいかなかったです」と野口さんもとても残念そう…。


「いこらじお」の開局を伝えるポスターがモールのあちこちに掲示されていました

でもスタートした「いこらじお」の放送はバラエティに富んでいて好評だそうです!

サンミュージック・アカデミーのレッスン生が登場する2時間番組の「All Sun Music」は、札幌から鹿児島まで各地のアカデミーで練習するレッスン生も登場するので楽しみにしている人も多いそうです。なんとサンミュージックの相澤社長や放送関係者も見ているので、自分をPRする場にもなっているとか! “レッスンを重ねても現場を踏めるチャンスがなかなか巡ってこない”という芸能界の現状の中、こうしてすぐに実践できる場があるなんて、恵まれていて羨ましいなぁ。なんて素晴らしい環境!!! 私があと〇年若かったら絶対通ってた! レッスン生の皆さん、頑張って~!!


サンミュージック・アカデミーのレッスン生も「いこらじお」に登場!

また午前中の2時間番組「いこらdeモーニング」では、放送局長の石橋 翔さんとアナウンサーの安藤ひろえさんが、泉州広域や和歌山の話題や案内を取り上げるほか、モールで行われているイベントやお店の催事のリポートも放送しています。「催事の様子を動画で流すと、そのお店の本部の人が“いこらも~るのスタッフが頑張っているな”と理解してもらえるというメリットもあります」と野口さんが教えてくださいました。

さらに助産師の津田育久子さんが、プレママや新米ママの心の不安を和らげる「MY助産師 MYラジオ」や、書道家の佐藤司雲さんが歌とコラボする「書とミュージック」といったユニークな1時間番組もあります。

野口さんは「“無線を活性化する番組”をぜひ作りたいです。全国のアマチュア無線家の皆さんの活動をSNSで送っていただき動画で紹介したり、アマチュア無線のイベントをリポートしたりするのも面白いと思います。“いこらじお”には子供たちがいろいろ体験しリポートする“いこら探検隊”というチームを作っていますが、その子供たちに無線体験をリポートしてもらうのもいいですね」と話していました。なんだか楽しいハムの番組ができそうな予感がします!!


「いこらじお」のいこら探検隊の活動風景


「いこら探検隊」はお揃いのユニフォームで活動!

私もラジオ番組に出演!

さて、私も「いこらじお」にゲスト出演させていただくことになり、2階のスタジオへ移動! 防音の行き届いたドアを開けて中に入ると、FMラジオ局と同じぐらい音響・編集設備が整っていました。


いよいよスタジオの中に入れます。ドキドキ、ワクワク!


スタジオの機材はFMラジオ局なみに充実していました

番組には野口泰宏君(JP3WRC)も一緒に参加。アナウンサーの安藤ひろえさんをお相手に、私のプロフィールや音楽活動についてお話しし、その後はアマチュア無線の話や月刊FB NEWSの紹介、この「Masacoのむせんのせかい」で全国の無線クラブを訪問していることにも触れました。


放送局の石橋局長が収録準備を進めています。私もちょっと緊張気味!

途中で泰宏君と一緒に“アマチュア無線のどこが楽しいか”を紹介して、ハンディ機で交信のデモンストレーションもしましたよ! 安藤さんもちょっと興味を持ってくださって「私も資格を取ろうかなあ」って。ぜひぜひ♪


番組収録では泰宏君とハンディ機で交信のデモンストレーションも行いました♪

お話の時間をたっぷり取っていただき、楽しすぎて口が止まらず…笑 この日に収録した番組は、近く「いこらじお」で公開される予定ですので、ぜひチェックしてくださいね。いこらじおのURLアドレスはhttps://icoradio.com/です!


アマチュア無線の交信を通じて泰宏君と仲良しになった「おもろいアンテナを作る会」のJS3MXP 村田泰宏さんも、私の訪問後にゲスト出演されたそうです!

モールの中にはこんなコーナーも!!

番組収録後、野口さんは「このモールにはもう1つ、ユニークなものがあるんですよ」と案内してくださいました。

それはモールの立体駐車場がある建物の、3~5階のエレベーターホールの一角に、高齢者が気軽に立ち寄れる「地域ふれあいサロン」が設けられているのです。事務局窓口のほか、フロア別にカラオケコーナー、健康麻雀コーナー、体操コーナーなどがあり「地域ふれあいセンター」の会員になれば誰でも利用できるそうで、このときも麻雀やカラオケを楽しむお年寄りがいらっしゃっていました。

「この場所は、施設管理会社のザイマックス関西さんと施設所有者の東京製綱株式会社さんのご協力で、地域高齢者のために無償提供していただき活用しています。地域高齢者会員も200名を超え、皆さんいこらも~る泉佐野さんに感謝していらっしゃいます」と野口さんがおっしゃっていました。


モールの立体駐車場の各階に高齢者が気軽に立ち寄れる「地域ふれあいサロン」が設けられています。これも野口さんが理事長を務める一般社団法人が運営しています

ふれあいセンターの会員は、有償ボランティアとして地域のための活動ができるそうで、高齢者、障がい者の皆さんが積極的に参加しています。その活動の1つが毎日の防犯パトロール。警察から許可を取った防犯パトロールカー(連絡用にアイコムの業務用無線機を搭載、屋根には青色の回転灯がついています)を使って、定期的に地域の見回りを行っています。


パトカーそっくりの塗色の防犯パトロールカー。地域ふれあいセンターの会員が定期的に見回りを行っています

そして訪問の最後に、モールの駐車場で「いこらじお」の宣伝カーを見せていただきました。かっこいいラッピングのこの車(ラッピング費用と放送設備だけで200万円もかかったとか!!)は、放送局の宣伝のほか、いこら探検隊の活動や番組の公開収録で活躍中! さらに緊急時に高齢者を病院に移送するときにも使えるように、車いすに乗ったまま乗降ができる装置がついている福祉車両でもあるそうです。今後はアイコムの無線機も取り付けて地域を走る計画です。


「いこらじお」の宣伝カー。実は車いすに乗ったまま乗降できるリフトを装備した福祉車両で、車いすも搭載、緊急時の送迎にも使用できます


野口さん、泰宏君、ありがとうございました!!

「いこらじお」理事長の野口さん、ありがとうございました。まったく何もないところから、チャンスを逃さずにインターネット放送局の開局を実現した情熱、地域のために福祉活動からタレント養成まで精力的にこなす姿はとっても素敵でした。有言実行! まさにこの言葉がぴったりだなぁ。未来のスター泰宏君もとっても素直で可愛くて、アマチュア無線キッズ大使のようでした。俳優業もがんばってね! そして局長の石橋さん、アナウンサーの安藤さん、お世話になりました。私もさっそくスマホとパソコンに「いこらじお」をブックマークしましたよ。ハムの資格もいかがですか~! そしてアマチュア無線の番組が誕生したらまたゲストに呼んでくださいね。泰宏君と一緒に無線トークしたいなあ~!

(JH1CBX Masaco)

Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~ バックナンバー

2020年7月号トップへ戻る

次号は 12月 1日(木) に公開予定

サイトのご利用について

©2024 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.