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日本全国・移動運用記

第101回 浜松市の新区移動

JO2ASQ 清水祐樹

2024年2月1日掲載

浜松市は、2007年4月1日に政令指定都市に移行し、7つの区が新設されました。それから16年以上が経過した、2024年1月1日に、そのうち6つの区(中区、東区、西区、南区、北区、浜北区)が再編されて消滅し、新たに2つの区(中央区、浜名区)が新設されました。天竜区には変更が無く、浜松市は7区から3区に変更されました。

2023年2月に区の再編が発表されてから、筆者は消滅する区での運用を積極的に行いました。その様子は2023年5月号でも紹介しています。その後、8週連続で浜松市での運用を行ったこともありました。そして、2024年1月1日に、新設される区での運用を行いました。

運用の計画

浜松市の市域は非常に広く、海岸から高い山、浜名湖などの湖沼に至るまで、様々な地形がみられます。V/UHF帯で電波が飛びそうな場所を見つけようとすると、天竜区の北部の標高の高い地域が有利になり、海に近い旧・南区などでは、見通しの良い場所がほぼ見当たりません。また、西側の静岡県と愛知県の境界には高い山があるため、V/UHF帯で愛知県と交信するだけでも、距離以上の難しさを感じます。

1月1日は、HF帯の運用に注力するため、標高が高い場所ではなく、広いスペースが確保できる天竜川の河川敷を利用する方向で計画を立てました。

12月29日(残り3日)

消滅する6つの区での運用を行うため、あと3日を残した12月29日に現地入りしました。最初は北区に移動しました。ここは山あり谷ありの複雑な地形が特徴で、本当はロケーションが良い場所で運用したかったのですが、移動時間の都合で、内陸部の平地にある公園での運用になりました(写真1)。

これまでの運用で、北区では50~430MHz帯での交信が少なかったため、通常よりアンテナを増強して運用を開始しました。しかし、途中で風が強くなって高さを縮小せざるを得ず、これまでの運用から大きな進展はありませんでした。


写真1 北区での運用の様子

HF帯は、昼間に7MHz帯と10MHz帯は安定しているものの、14MHz帯で国内近距離が聞こえるのはごく限られた時間帯で、18MHz帯から上のバンドは交信が難しい状況でした。太陽黒点数(SSN)が0の時期には昼間の7MHz帯での交信すら難しいことがあり、それに比べると恵まれた状況ではあったとはいえ、消滅する区のハイバンドが未交信であった局にとっては寂しい結果になりました。

浜北区の天竜川河川敷(写真2)、中区の公園(写真3)といった、これまで何度も運用したことがある場所で運用しました。しかし、伝搬のコンディションは上がらず、16時を過ぎると7MHz帯の近距離伝搬も途絶えて、CQ空振りの連続でした。


写真2 浜北区での運用の様子


写真3 中区での運用の様子

12月30日(残り2日)

東区から南区、そして西区の順に移動しました。東区と南区は天竜川の河川敷で運用しました(写真4)。時間帯によっては雲一つない快晴で、気温もそれほど低くありませんでした。

西区は、運用場所の確保が難しく、浜名湖周辺では駐車場が有料の地域もあるので、広い無料駐車場がある、西の端に近い場所まで移動しました。ここでは3.5MHz帯が好調だったものの、1.9MHz帯があまり振るわず、新区1日目もこの程度のコンディションになるのかと、やや不安を残す結果になりました。


写真4 南区での運用の様子

12月31日(6つの区が消滅する、最後の日)

朝から激しい雨が降り続いており、午後から活動を始めました。2日前の北区でのQSO数が少なかったため、同じ場所に移動して3時間ほど運用しました。14MHz帯から上のバンドはQSO数が少なかったものの、日の入り前後にはローバンドが好調で、17時過ぎの1.9MHz帯で短時間に20QSOできました。その後、1日分の食料を調達し、南区の天竜川河川敷に移動して、1.9~50MHz帯まで対応した長さ80mのダイポールアンテナを設置しました。

河川敷は雨が続いたため水たまりが多く、ギボシ端子を切り替える際には水たまりを避けて遠回りしながら移動しました。夜になると風が強まり、伸縮ポールにロープで支線を張って、強風によるSWRの変動をできるだけ抑えるようにしました。

1月1日(新区1日目)

強風が続く中、食事とトイレを済ませて、31日の23時過ぎから南区の最後の運用を開始しました。0時から3.5MHz CWを運用するため、1.9MHz帯と3.5MHz帯を行き来することを考えました。まず1.9MHz帯から運用を開始すると、おなじみ局から次々に呼ばれました。続く3.5MHz帯もパイルアップにならないほどの適度な呼ばれ方で、気が付けば0時が近づいていました。空き周波数を確保するため、このまま3.5MHz帯での運用を続けることにしました。

時計が1月1日午前0時を示した瞬間に、南区は中央区に変わりました。CQ DE JO2ASQ/2 180208 K の後にパイルアップが始まりました(写真5)。新しい区の最初のQSOは5エリアの局でした。


写真5 新区誕生直後の3.5MHz CWのパイルアップの様子

一般的に、3.5MHz帯は近距離のハイパワー局ほど強く聞こえる傾向があります。しかし、伝搬のコンディションが悪いために近距離がスキップ気味で、遠距離のエリアがQSBを伴いながら入感し、各局の信号強度にバラつきがありました。そのため、強い信号が何局も固まる感じではなく、比較的聞き取りやすいパイルアップでした。3.5MHz帯のパイルアップは30分ほどで終息して、続いて1.9MHz帯にQSY、こちらも20分ほどで終息しました。7MHz帯にチャレンジしたものの、国内が完全にスキップしていて3QSOに終わり、翌朝に持ち越しとなりました。

開始直後の7MHz帯が使えないため、仮眠を取って午前4時半に運用を再開しました。ところが、アンテナのSWRが高く、原因究明に手間取りました。深夜の強風で、アンテナの一部が鉄製の柵に引っ掛かって接触していることが分かり、何とか午前5時前には運用を再開しました。

ここで、午前5時過ぎから大型車が何台もやってきました。大凧を揚げる行事のようで、この場所での運用が気まずい雰囲気になると察知し、一旦撤収して、南側に離れた場所で再度運用を始めました。初日の出を背景に、大凧揚げを鑑賞するようです。初日の出の直前には、河川敷に大勢の人が詰めかけていましたが、30分ほど経過すると、人の気配は少なくなりました。その間、7MHz CWのパイルアップに対処していたため、周辺の状況は正確には分かりませんでした。

サテライト通信は、最初のRS-44は凧揚げの電灯と思われるノイズで受信状態が悪く、電灯が消えた2巡目のRS-44で、ようやく通常レベルの運用ができるようになりました。昼間は7~50MHz帯を巡回して、サテライト通信の後で144~1200MHz帯を運用しました。富士山にアンテナを向けて反射を狙うことで、1エリアの広範囲とQSOすることができ、1200MHz帯では埼玉県とのQSOにも成功しました(写真6)。


写真6 富士山にアンテナを向けた様子

中央区での運用は16時に終了し、浜名区に移動して1.9~1200MHz帯とサテライトのアンテナを展開して運用を再開しました。日没に近い時間帯から運用を始めたため、10MHz帯から上のバンドは近距離がスキップしていました。

1月2日(新区2日目)

中央区は1日目の運用で1,000QSOを超えたので、2日目の午前は浜名区での運用に専念しました(写真7)。

午前9時を過ぎるとQSOパーティーが始まり、大混雑が予想されます。混雑しやすい7MHz CWなどのバンド・モードは9時までに確保し、以降は空き周波数が確保しやすい14MHz帯から上のバンドに注力しました。


写真7 浜名区での運用の様子

使用したアンテナは、HF帯は主にダイポールアンテナです(写真8)。昼間は7~50MHz帯に対応した形で設置し、夜には両端を延長して1.9MHz帯と3.5MHz帯に対応しました。7~50MHz帯の使用時は、給電点の高さは4m程度で、ギボシ端子は手が届く高さに設置して、素早くQSYできるようにしています


写真8 昼間に使用したアンテナ

結果

QTH別、バンド別のQSO数を表1に示します。14MHz帯から上の周波数帯でのQSOに苦労したことが分かります。1月1日の1時間ごとのQSO数を表2に示します。7時台の1時間で147QSOを記録したほか、19時台にも124QSOのピークがありました。


表1 QTH・バンド別のQSO数。12月29~31日の1.9~50MHzはCW/RTTY、それ以外の1.9~1200MHzはCW、サテライトはCW/SSB。


表2 1月1日の、1時間ごとのQSO数

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