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日本全国・移動運用記

第103回 茨城県北部移動

JO2ASQ 清水祐樹

2024年4月1日掲載

筆者は全都道府県での移動運用を既に達成しています。しかし、都道府県別で見ると、茨城県での運用は最も交信数が少なく、全都道府県で唯一100QSOにも到達していませんでした。そのため、茨城県内でも需要がありそうな県北部で、2泊3日の移動運用を計画しました。

運用の計画

県の最北部にある北茨城市から南下するルートで、移動を計画しました(図1)。実際は市町村の境界が複雑だったり、宿泊できる地域が限られていたりすることと、衛星の時間に合わせる必要があることを考慮して、ルートを選定しました。


図1 運用地点

2月23日(1日目)

筆者の自宅から茨城県中部には車で7時間、北部には8時間ほどかかると予想し、前日の夜に出発しました。茨城県内で車中泊して翌朝に目覚めると、騒音がほとんど聞こえないことに気付きました。車の屋根には雪が積もっており、積雪時に特有の静けさが広がっていました。

まず、一郡一村で需要があるだろうと調べておいた那珂郡東海村のパーキングエリアまで移動すると、気温が次第に上がって雪は溶けそうな気配でした。周囲は混雑していたので、モービルアンテナ基台に直結できるタイプの自作アンテナでHFとサテライト通信を運用し、気温の上昇を待ちました。

茨城県の最も北に位置する市である北茨城市に移動すると、積雪は無くなりました。HF帯のアンテナは、いつもの電線付き7m釣竿とオートアンテナチューナー(2020年9月号の記事などを参照)を設置して、公園で運用しました。

高萩市は、海岸で運用しました(写真1)。午後からは雪や雨は止み、海岸特有の強風が吹き付けて体感気温は低いままでした。自車での移動のため防寒対策は十分に用意しており、窓を閉め切ってしまえば快適な運用でした。ここでは10MHz帯や14MHz帯の近距離の伝搬が非常に良く、10MHz CWだけでも1時間近く呼ばれ続けて、122QSOを記録しました。また、茨城県中部の平地では、HF帯のハイバンドで埼玉県や神奈川県の強力な局と交信できることが多く、28MHz帯では6QSOできました。


写真1 高萩市での運用の様子

雪や雨で地面がぬかるんだ中、那珂郡東海村の河川敷に移動してローバンドを運用しました(写真2)。悪天候で空電ノイズが発生し、受信が厳しかったと思われますが、1.9MHzでは13QSOと最低限の成果は残せました。


写真2 那珂郡東海村での運用の様子

2月24日(2日目)

日立市の河川敷で運用を開始しました(写真3)。筆者の場合はサテライト通信を行うため、標高の高い場所よりも周囲に障害物が無い開けた場所を優先して、運用場所を選定します。その結果、HF帯のハイバンドが遠くまで到達することがあります。しかし、時間的に早過ぎて伝搬が安定しなかったのか、運用する局が少なかったのか、おそらくどちらの要因も影響して、28MHz帯では1QSOだけに終わりました。


写真3 日立市での運用の様子

常陸太田市は広い公園などがあまり見当たらず、運用場所の選定には少し手間取りました。10MHz帯で83QSOできて時間がかかってしまい、HF帯は7~14MHz帯の3バンドを運用したところで時間切れになりました。

その後、那珂市の公園に移動したところ、駐車場が超満車で路上にも車があふれている状態のため、ここでの運用はあきらめ、堤防上で運用することにしました(写真4)。昼休み前後の時間帯で、ここまで好調だった14MHz帯の近距離の伝搬が弱くなってしまいました。


写真4 那珂市での運用の様子

ひたちなか市は運動公園の広い駐車場で運用しました(写真5)。ここでは運用時間に余裕があり、3.5~50MHz帯のバンドで交信できました。最後は、東茨城郡大洗町の海岸にある駐車場に移動し、日没が近いため14MHz帯から順に下がっていたところ、14MHz帯の近距離の伝搬が昼間よりも良く、34QSOできました。


写真5 ひたちなか市での運用の様子

2月25日(3日目)

山間部にある東茨城郡城里町で運用を開始しました。地図を見ると、周囲が山に囲まれてサテライト通信の運用は厳しいかと心配もありましたが、北東側が十分に開けた場所を見つけました。また、信号などが少なかったため、距離の割に移動時間は短くて済みました。

笠間市は公園の駐車場で運用しました(写真6)。山間部から、平地に近い場所に移ったため、埼玉、東京、神奈川あたりの局が地表波で聞こえてくることが多くなり、28MHz帯で7QSOできました。


写真6 笠間市での運用の様子

水戸市に到着した頃から雨が降り始め、7~18MHz帯を急いで運用して終了しました。運用を終える頃には本格的な雨になりました。

帰り道の途中、神奈川県足柄上郡中井町のパーキングエリアの手前で工事渋滞に巻き込まれました。車の動きが速くなる気配は無かったため、渋滞が緩和するまでパーキングエリアでHF帯を運用しました。

結果

QTH別、バンド別のQSO数を表1に示します。バンド別では10MHz帯のQSO数が最も多くなりました。また、ローバンドは伝搬が特に良かった感じは無かったものの、近距離に運用局が多いため、それなりにQSO数が伸びました。


表1 QTH・バンド別のQSO数。1.9~50MHzはCW、サテライトはCW/SSB。
中井町は神奈川県、その他の市町村は茨城県。

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