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日本全国・移動運用記

第94回 大型連休の北海道移動(後編)

JO2ASQ 清水祐樹

2023年7月3日掲載

(前編の内容)
今年の北海道移動は、9泊10日、幌泉郡えりも町、積丹半島方面、二海郡八雲町を含むルートを計画しました。運用場所はリクエスト、宿泊地、平日、渋滞回避などを考慮して選びました。

4月28日から29日には、厚真町からえりも町に移動しました。Eスポの発生は無く、7~14MHz帯が強力に入感して1,000QSOを記録しました。4月30日の広尾町では濃霧により視界が悪く、伝搬のコンディションも上がりませんでした。5月1日は強風で、日没後に伝搬のコンディションが良くなり、安平町では各バンドで猛烈なパイルアップでした。5月2日は北広島市から札幌市に移動し、伝搬は非常に悪く交信が困難な状態でした。

5月3日(6日目) 当別町から赤井川村へ

札幌市の北にある石狩郡当別町から南西に進み、余市郡赤井川村に向かいました。当別町では、石狩川の堤防上で運用しました。周囲には建物等が無く、ロケーションは最適でした(写真1)。HFのコンディションはこの時期の平均レベルで、10MHz帯と14MHz帯では近距離通信が強いものの、18MHz帯 UPは西日本が稀にしか聞こえず、Eスポが出た時の状態には程遠い状態でした。

札幌市北区は、移動時間の関係で短時間運用の予定でした。朝よりもコンディションが悪化し、14MHz帯での近距離通信も難しくなりました。どうやらコンディションは期待外れの様子でした。

小樽市ではサテライトのリクエストが多かったため、高速道路のインターチェンジに近い公園で運用しました。すぐ南側に山があり、移動運用には適していない場所でした。ここでも18MHz帯 UPはコンディションが厳しい状態でした。

赤井川村では、初めて利用する公園で運用しました。夕方になっても残念ながらEスポの兆候は無く、ハイバンドでの交信は難しい状況で、7MHz帯だけが順調に終わりました。

最終日に予定していた倶知安町でのサテライトの条件が悪かったため、倶知安町まで30kmを移動してサテライトのみ運用して、さらに、翌朝の仁木町もサテライトの条件が悪かったため、21時台のRS-44を狙って延長戦を行いました。倶知安町から仁木町まで36kmを移動し、町の中心部にある駐車場で運用しました。


写真1 石狩郡当別町の運用場所の様子

5月4日(7日目) 積丹半島を北に進み、積丹町へ

最低気温は15℃で、かなり気温が高い朝でした。仁木町では河川敷で運用しました。14MHz帯が強力で、18MHz帯や21~28MHz帯はほとんど聞こえず、Eスポの兆候もありませんでした。

余市町ではサテライトの都合で運用時間が短くなり、コンディションも上がらず、QSO数は伸びませんでした。

古平町では、猛烈な風で砂ぼこりが舞い上がり、車内も砂だらけになりました。コンディションが良ければ楽しめるはずでしたが、進展がありませんでした。

積丹町では漁港で運用しました(写真2)。夕方に国分寺のイオノグラムが赤くなりましたが、当地では影響は無く、18MHz帯でも近距離は聞こえないままでした。ローバンドもコンディションが悪く、空振りCQの連発でした。


写真2 積丹郡積丹町での運用の様子。かなりの強風で釣竿が傾いている

5月5日(8日目) 積丹半島の西側へ

この日は、積丹半島の西~南側の4つの町で運用しました。特に、神恵内(かもえない)村は平地がほとんど無く、運用場所が限られている難しい条件でした。18MHz帯がポツポツと聞こえて、コンディションが上昇している兆候がありました。運用時間を延長して次の泊村に移動しました。

泊村では海水浴場で運用しました(写真3)。黄砂で視界が悪く、触る物すべてが何となくザラザラしていました。しかし、コンディションは前日よりも下がってしまいました。

共和町では伝搬のコンディションが上がり、21MHz帯、24MHz帯、28MHz帯とQSYするに従って多くの局から呼ばれました。岩内町では、待ちに待った本格的なEスポが発生して、28MHz帯では1エリアが聞こえました。運用時間を延長して50MHz帯でもQSOを行い、7~14MHz帯でも多くの局から呼ばれて、1日1,000QSOに到達しました。夜には雨が降り始め、黄砂が洗い流されて見通しが良くなりました。


写真3 泊村の運用場所の様子。黄砂により視界が悪くなっている

5月6日(9日目) 珍グリッドロケータの一つ、PN92へ

久遠郡せたな町と瀬棚郡今金町には、比較的珍しいグリッドロケータのPN92があります。運用は1日に3か所として、各場所の運用時間を長めに確保しました。島牧村では雨の中で運用を開始しました。Eスポの兆候はなく、7~14MHz帯は強力な信号でしたが、18MHz帯ではコンディションが悪くなりました。

せたな町のPN92にある公園で運用する途中で、伝搬のコンディションが悪化し、ハイバンドでは西日本の局もほぼ聞こえなくなりました。

今金町に移動すると、夕方にコンディションが上昇し、28MHz帯で1エリアからのパイルが発生しました(写真4)。しかし、前日ほどの勢いは無く、50MHz帯はオープンしませんでした。ローバンドの運用も行いましたが、特に1.9MHz帯でコンディションが悪く、7エリアとのQSOに苦戦しました。


写真4 瀬棚郡今金町の運用場所の様子

5月7日(10日目) 日本海と太平洋にまたがる唯一の町、二海郡八雲町へ

最終日になりました。八雲町の公園で運用を開始して、まずは早朝の7MHz帯を確実に押さえます。午前6時台にはEスポの気配はありませんでした。しかし、10MHz帯と14MHz帯ではパイルアップをさばいているうちに、稚内上空にEスポが発生しました。そのまま、28MHz帯までQSYすると各バンドで猛烈なパイルアップになりました。コンディション的には50MHz帯も行けた可能性がありますが、最終日はフェリーに乗船しなければならず、時間が足りなかったため運用できませんでした。

蘭越町では堤防上で運用しました(写真5)。ここでは1時間だけ滞在し、サテライトと7MHz帯、10MHz帯のみ運用しました。

ニセコ町は、公園で運用しました。北東側には、羊蹄山が大迫力で見える場所です。Eスポの気配はなく、普通のコンディションでした。しかし、連休最終日で他の移動局が少なかったため、7~14MHzの各バンドでパイルになり、2時間半の連続パイルで終了しました。

倶知安町は河川敷で運用しました。ここでは伝搬のコンディションがまずまずで、7~14MHz帯のパイルがさらに凄まじく、10MHz帯 CWでは100QSOを超え、7~14MHz帯のみで2時間を使い切りました。最後に14MHz帯でCL TUと打つと、10数局からTUが返ってきました。


写真5 磯谷郡蘭越町の運用場所の様子

結果

QTH別、運用日別のQSO数を表1に示します。5月2日のQSO数が突出して少なく、この日だけ伝搬のコンディションが非常に悪かったことが分かります。1日1,000QSOは延べ5日間で達成しました。



表1: QTH別、運用日別のQSO数。1.9~50MHz帯はCW、サテライトはCW/SSB。これ以外に、430MHz帯 D-STARレピータ(ゲート越え)で6QSOできた

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