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日本全国・移動運用記

第52回 さいたまハムの集いで運用実演

JO2ASQ 清水祐樹

この連載では、移動運用の様子を写真や文章で説明してきました。実際の移動運用で無線機をどのように操作しているのか、細かい部分までは説明が難しく、機会があれば実演の機会を設けたいと考えていました。

JARL埼玉県支部が主催する「さいたまハムの集い」で、サテライト通信についての講演が開催されました。この機会に、サテライト通信を多くの方に知っていただきたいと考え、会場で運用の実演を行うことになりました。その様子を紹介します。

サテライト通信の運用実演を計画

埼玉県本庄市で開催される「さいたまハムの集い」に参加を計画していたところ、運用の実演を行うことを思い付きました。JARL埼玉県支部長であるJM1LRA新井さん、今回のハムの集いで講演をされたJO1LDY黒木さんとは、サテライト通信で筆者と交信する機会が多く、実演に協力していただけることになりました。当日は昼間に利用できるリニアトランスポンダ(CW/SSBで運用する)衛星があり、実演に適している状況であったことも好都合でした。

準備といえることは特に無く、普段の移動運用と同じように車に設備を積み込んで、現地に向かいました。

会場に着いたら、まずは運用場所を確保

当日の朝、駐車場のゲートが開くと、会場に先に来られている出展者の皆さんは搬入口に近い駐車枠に向かっていきました。こちらはサテライト通信の運用を最優先にして駐車場所を確保するため、衛星が建物の影に隠れにくくなるように、あらかじめ航空写真で目星をつけておいた出入口付近の端の駐車枠を確保しました(写真1)。

この場所は会場の受付にも近くて分かりやすく、運用実演をお知らせする張り紙(写真2)を用意していただいたほか、衛星の時刻に合わせて、講演の開始時刻を予告より10分繰り下げるというご配慮もいただきました。


写真1 運用場所の様子


写真2 運用実演をお知らせする張り紙

JARL埼玉県支部では、支部の社団局JS1YBTを開設しており、この日は会場でアクティブに運用が行われていました(写真3)。小雨が時々ぱらつく中、会場の駐車場はすぐに満車になり、ジャンク市は大勢の人でにぎわっていました(写真4)。


写真3 埼玉県支部社団局JS1YBTの運用の様子


写真4 ジャンク市の様子

運用実演の様子

天気は次第に回復し、午後からは晴れ間も見えるようになりました。運用実演が始まる数分前まで、筆者は会場の受付周辺や展示ブースを回っていました。移動運用車はモービルアンテナ1本だけを装着した状態で、このまま走行できるようになっています。アンテナの設置・撤収の様子もご覧いただきたいと考え、予定時刻の数分前から運用の準備を始めることにしました。

HF帯で使用するアンテナとしては、自分の車で通常使用しているハッチバックに固定したアンテナ基台に加え、レンタカー移動で使用しているマグネット基台も取り付けて、1.9~14MHz用と、7~50MHz用の2本の釣竿アンテナを設置しました(7~50MHz用の製作方法は2013年4月号)。次に、運転席側の窓を全開にして、車内に置いてあった三脚付きサテライト用アンテナを取り出し、同軸ケーブルを運転席の窓から通して、アンテナの組み立てを始めました。

運用実演予告の時間が近付くにつれて、周りには多くの人が集まってきました(写真5)。使用している機材等の説明をしながら、いよいよ衛星がAOSする時刻になりました(AOSの意味は2019年9月号を参照)。


写真5 運用実演の様子

AOS直後、キーヤーから聞こえる高速CWの音だけが鳴り響き、まだ始まらないのかと、車の回りから離れて雑談を始める人も見受けられました。運用場所は内陸部に位置しており、衛星が見え始める方向には山や建物があって電波が遮られるため、軌道要素上のAOSの時刻から、衛星からの信号が実際に聞こえるまでには数十秒の時間がかかりました。

しばらくすると、衛星からのダウンリンク信号がIC-9700の受信音ではっきり分かるようになり、続いて多くの局から一斉に呼ばれるようになりました。サテライト通信では、ドップラーシフトの関係で呼んでくる局の周波数に差があり、一度に多くの局から呼ばれると独特の音感になります。相手局からのコールが終わった直後、間髪を入れずにレポートを送信して交信を成立させながら、一連の操作を、衛星が見えている10分ほどの間に手際良く続けていきました。

CWで運用する局と一通りの交信が終わり、CWでCQを出しても呼ばれなくなると、次はSSBに切り替えてCQを出しました。サテライト通信のSSBは、ドップラーシフトで受信周波数が変動していくので、相手局の音声が聞き取れるように常に周波数を調整する必要があります。その間も、手でアンテナを回しながら衛星の方向に合わせていきます。そして、最初の交信から10分ほどすると衛星からの受信音は次第に弱くなって、ついには聞こえなくなり、サテライト通信の1パスが終了しました。

ある方から「HF帯のCWであれだけ素早く交信できるのは、ログが自動で記録されているのですか?」と質問がありました。「いえいえ、CWは全て手動(パドル)で打っていますし、紙ログに手書きで記入していますよ。」と回答したら、驚かれた様子でした(写真6)。また、ホイップアンテナを使う場合のアースについても多くの方から質問があり、実物をご覧いただきながら説明しました。


写真6 運用設備の様子。ハンドルに掛けた支持台(2013年5月号)に、紙ログとパドルを置いて運用している。

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次号は 3月2日(月) に公開予定

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