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日本全国・移動運用記

第41回 鹿児島県薩摩半島移動

JO2ASQ 清水祐樹

年末年始は、暖かい西日本での移動運用が恒例になっています。この連載では、2015年の種子島、2016年の沖縄本島、2017年の高知県西部での移動運用を紹介しました。2018年は、鹿児島県の西部にある薩摩半島で移動運用を行いました。

年末年始の移動運用の計画

年末年始の12月29日から1月3日は仕事が休みの方も多く、移動運用では多くの局から呼ばれます。このうち、1月2日と3日に行われるQSOパーティーでは、特に多くの局と交信できる可能性があります。しかし、交信の際にオペレーターネームを交換する必要があり、QSOパーティーのスタイルで交信すると、パイルアップへの対応が難しくなります。今回は、12月28日から本格的な運用を開始し、QSOパーティーが始まる前の1月1日には運用を終了する計画を組みました。

10年ぶりに訪問する伊佐市

2003~2005年頃には市町村の合併が相次ぎ、各地で新しい市が続けて誕生しました。その後も鹿児島県では2007年から2010年にかけて、南九州市・伊佐市・姶良市の3つの市が市町村合併により誕生しました。筆者はこの3市で、市制施行の日に移動運用を行いました。伊佐市と姶良市はそれ以降には運用したことが無く、伊佐市に至っては10年以上の歳月を経て、久しぶりの運用となりました。

鹿児島県に入り、伊佐市を目指しました。伊佐市が誕生した2008年当時は、インターネットで詳細な地図や航空写真が公開されておらず、運用場所を探すには紙の地図で情報を入手するか、現地で実際に見て回るしか方法がありませんでした。大きな公園の存在は分かっても、運用に適しているかは行ってみるまで分からないことがありました。現在はインターネットで航空写真を確認すれば、行く前に運用場所の状況がある程度分かりますし、夜間閉鎖される公園などの情報も検索できます。

今回は簡素な設備での1~2時間程度の運用が目的で、電波がよく飛びそうでアクセスに便利な場所をあらかじめ探しておきました。そして、堤防上で周囲が開けている場所が良い具合に見つかりました(写真1)。アンテナは釣竿1本を立てるだけのもので、車内のセッティングも合わせて2~3分で運用の準備ができました。CQを出すと7MHzですぐにパイルアップになり、続いて10MHzでも多くの局から呼ばれました。伝搬のコンディションが良いことと、移動局が少ない地域であることも影響したと思われます。天気も良く、快適な陽気の下でパイルアップを楽しみました。


写真1 伊佐市の運用場所の様子

年末年始にCWやRTTYで交信すると、“HNY”という挨拶をよく聞きます。これはHappy New Yearの略で、年始だけでなく年末にも使われます。この文字を見聞きするようになると、今年も終わりという実感があります。

広い霧島市

リクエストがあった霧島市に移動しました。ここは非常に広い市で、高い山も広い平地もあります。同じ時期に、霧島市でSOTAを運用中の移動局も確認できました。今回の移動はHFがメインなので、大きな川の河口付近の西側から、東側の水面反射で国内に電波を飛ばそうとする狙いです。

南側に見える桜島を背景に、釣竿アンテナを設置して準備完了しました(写真2)。時間には余裕があり、念のため各バンドでノイズが無いことを確認してから運用を開始しました。ところが、伝搬のコンディションが悪く、残念ながらどのバンドでもパイルアップになりませんでした。QSYのタイミングを見極めて、3.5MHzも有効に使って交信数を増やす作戦を取りましたが、3.5MHzもあまり良くありませんでした。


写真2 霧島市の運用場所の様子。右側にある山は桜島。

夕方には姶良市に移動しました。ここも市制施行の時に、あの局はこの場所で運用していると情報交換したり、警察官から「あちらでも無線をやっている人がいましたよ」と話を聞いたり、市役所で偶然アイボールしたりと、思い出がたくさんあります。固定局・地元局のアクティビティが高いことと、既に7MHzが聞こえなくなる時間だったこともあって、あまり呼ばれませんでした。

初めて訪問する、南九州市の海岸沿い

南九州市は2007年に川辺郡川辺町(かわなべちょう)・川辺郡知覧町(ちらんちょう)・揖宿郡頴娃町(えいちょう)の3町が合併して誕生しました。この時、市制施行の直前に3町を早回りで運用しました。頴娃町は夜間に運用しており、市街地に行かなかったので、町の様子が記憶にありません。そこで、今回は旧・頴娃町の海岸沿いを訪問しました(写真3)。運用した方から、頴娃町には広い運動公園があると聞いていました。九州南部や沖縄は、冬でも温暖な気候であるため、大規模なスポーツ施設が多くみられます。


写真3 南九州市の運用場所の様子

朝の9時頃になると急に7MHzが聞こえ始め、たちまちパイルアップになりました。7MHz CWだけで1時間に100局を超えて、北海道から沖縄まで広い範囲が聞こえました。ただし、九州地方だけは、近距離スキップで交信できませんでした。その後、10MHzと14MHzでもパイルアップになり、気が付けば3時間近く呼ばれ続け、南九州市のCWは大盛況でした。次に予定していた指宿市は、残念ながら時間の都合で取りやめることになりました。

その次は南さつま市に移動しました。ここも運動公園狙いでした。しかし、移動に予想以上に時間がかかり、偶然見つけた駐車場を使って運用を開始しました。ところが、7MHzで運用を開始すると強烈なノイズがあり、この場所での運用を断念。周囲を見ると大きなソーラーパネルがあり、ここからノイズが出ているようです。市街地に近い、川沿いの空き地に移動してHFの運用は何とかなりました。

枕崎市は港で運用しました(写真4)。ここも大盛況で、7MHzでは100局以上と交信できました。しかし10MHzより高い周波数は、コンディションがいまいちで、あまり交信できませんでした。年末で工場などもお休みの所が多いようで、静かな環境で運用ができました。


写真4 枕崎市の運用場所の様子

1月1日は日置市から開始

1月1日の夜明け前にホテルを出て、日置市の運動公園で運用を開始しました。初日の出運用でFBな写真が撮れるかも…、と期待したところ、上空は厚い雲に覆われており、いつ太陽が顔を出したのか全く分からない状態でした。ここは特にリクエストが無く、いちき串木野市の運動公園に移動しました(写真5)。

バンド内をワッチしていると、1月1日から始まった新しいアワードを狙って、固定局のCQに対して多くの局が応答していました。7MHzで多くの局から呼ばれましたが、この日のうちに帰宅するためパイルアップが収まった所で閉店。高速道路で約1,100kmの道のりを移動し、無事に帰宅しました。


写真5 いちき串木野市での運用の様子

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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