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日本全国・移動運用記

第53回 沖縄本島南部、市町村早回り移動

JO2ASQ 清水祐樹

沖縄県との交信は、運用局が限られており、電波伝搬の関係でバンド・モードによっては難しい場合が多いため、国内の市町村と交信する各種のアワードでの需要が多いようです。年末の連休を利用して、沖縄本島南部の各市町村で移動運用を行いました。

計19市町村で運用を計画

沖縄本島には26の市町村があります。今回の移動運用では、南部の19市町村で、5日間の日程で、1日5か所を基本として運用計画を組みました。1か所当たりの運用時間は1.5~2時間を目安として、衛星の時刻や交通事情に応じて調整しました。各市町村の位置と、運用日を図1にまとめました。

事前に航空写真を調べて、公園や港で運用できそうな場所を候補地として挙げました。沖縄での移動運用は、舗装されていて整備の行き届いた場所でするようにしています。その理由は、農道や草むらはハブが出没する可能性があるためです。


図1 今回の沖縄移動で運用した市町村の位置(白地図(C)Craft MAP)

使用した機材

いつものように、レンタカーにIC-7300MとIC-9700を積み込みました(写真1)。今回は時期的にV/UHF帯の異常伝搬が期待できないため、IC-9700はサテライト通信専用で使用しました。その他、ケーブルやコネクタの予備、ハンダごて等の工具も持参しました。

レンタカーで最も気になるのはバッテリーの状態です。車体は古くて傷だらけでも構わないので、バッテリーが良い状態で容量に余裕がある車両を選びたいと考え、軽自動車ではなく、普通乗用車のガソリン車で車種を指定しました。ハイブリッド車は12Vバッテリーの容量が小さく、電源を供給するには不向きです。今回使用した車両はバッテリーの状態が非常に良く、電圧を監視しながら50W出力で1時間近く運用しても電圧低下は小さく、アイドリングはそれほど必要がありませんでした。


写真1 レンタカー移動セットの様子。IC-7300MとIC-9700を積み重ねて助手席に設置し、ベルトで固定した。

アンテナは、マグネット基台を養生テープで車の屋根に固定し、車の屋根に置いた200×300mmのアルミ板をコネクタの外側に接続してアースにしたものを使用しています(写真2)。マグネット基台に釣竿アンテナ(長さ3.6m)やロングワイヤーアンテナを取り付け、釣竿は転倒防止のため風上側からロープで引っ張って支えました。ダイポールアンテナは両端2か所の固定が必要になり、準備に手間が掛かるため使用しませんでした。設営は、釣竿アンテナをマグネット基台に差し込み、アース板を取り付けてロープを張るだけで、風が無ければ1~2分で済みます。

雨対策として、レンタカーの車内が濡れないように大型のビニール袋を養生テープで貼り付けて防水しました。ところが、雨水を拭くものが無いことに気付き、現地の100円ショップで車の窓ふきクロスを調達しました。釣竿アンテナのコイル部分にはプチプチシート(緩衝材)を養生テープで貼り付けて作った袋をかぶせて防水しました。長時間の送信でコイルが熱くなっても、プチプチシートは熱で溶けることがありません。

釣竿アンテナは、SWRが最低になる周波数が自分の車とは違うため、コイルの巻数を増減してSWRを調整しました。特に1.9MHz帯ではアースが不安定で、送信すると回り込みで連続送信になったり、パドルやマイクに触るとピリッと感じたりするため、車のボディの底部(導通がある所)とマグネット基台のアース側を電線で接続しました。また、無線機に近い部分の同軸ケーブルは、大型のトロイダルコアに巻きました。


写真2 釣竿アンテナの給電部の様子。雨対策として、釣竿アンテナのコイル部分をプチプチシートで防水している。

1日目~2日目 西海岸での運用

1日目と2日目は、沖縄本島の西側にある各市町村の海岸付近で運用しました。ここでのポイントは、北東側に山や建物が少なく、国内向けに電波が良く飛びそうな場所を選ぶことです。気温は昼も夜も20℃前後で、公園やスポーツ施設の駐車場は、冬休みでどこも大混雑していました。寒い地方ではスポーツ施設や公衆トイレが冬季閉鎖になり、冬は屋外に人が少ないという感覚が自然に身についています。ところが、沖縄では12月はスポーツに適した季節となることに、ここでようやく気付きました。

1日目は、動作確認を兼ねて那覇市と浦添市で運用しました。那覇市ではJCC4701としか打っておらず、アワードでそれ以外の特典が付くことも無いのに7MHz CWでパイルアップになり、69局と交信できました。

2日目の最初は宜野湾市の海岸で運用しました(写真3)。宜野湾市は海岸で駐車できる場所が限られており、北側が開けた場所は貴重です。午前6時頃、まだ暗いうちから運用を開始しました。沖縄の1.9MHzは国内との交信が難しく、毎回多くのリクエストがあります。夜遅い時間になると、沖縄ではノイズが増大して受信に影響をきたす場合が多く、本州からの信号がほとんど確認できない日もあります。そこで早朝の1.9MHzにチャレンジしてみました。沖縄は日の出が遅いため、夜間のバンドである1.9MHz帯の伝搬は安定しており、夜間の運用で苦労した8エリアとも交信できました。


写真3 宜野湾市での運用の様子。

今回の移動運用では、7MHz帯での交信数が多くなりました。従来の沖縄での移動運用では、昼間の7MHz帯は強力に入感する地域が九州や四国よりも近距離になり、国内局の信号は非常に弱いことが多く、7MHz帯を運用するならば朝か夕方、と考えていました。

しかし、現在は電波伝搬のコンディションが悪く、昼間でも近距離は不感地帯(地表波も電離層波も届かない範囲)となって聞こえなくなります。千葉県での運用(FB Girlsが行く!!<第26話>)で、2・9・0エリアは交信なしだったことが典型的な例です。この時、沖縄から見ると近距離には相手局が少ないため影響はあまり感じられず、より遠方の、国内の広範囲は電離層波で聞こえることがあります。

沖縄本島で運用が最も難しい市町村と思われる、中頭郡嘉手納町で運用しました。町の大部分を米軍基地が占めており、一般人が居住している平地はごくわずかしかありません。公園の駐車場で、北東側に高い建物が無い場所で運用しました(写真4)。時間の都合で7MHz帯と10MHz帯しか運用できなかったことが心残りでした。


写真4 嘉手納町での運用場所の様子

中頭郡読谷村は眺望の良い公園で十分な広さがあり、本州方向にも開けていました(写真5)。この公園には多くの猫が住み着いており、車の回りに座り込む猫と、それを追いかける人たちでにぎわっており、アイドリングをしないように静かに運用しました。

国頭郡恩納村は、山が多いことに加えてリゾートホテルの高い建物が多く、本州方向に開けた場所があまり見当たりませんでした。それにも増してコンディションが悪く、1.9MHz帯は夕方に運用したにもかかわらず6QSOに終わりました。

ここでは、サテライト通信で、ものすごいパイルアップになりました。例えば、衛星CAS-4A、CAS-4Bは西から東に移動し、1回のパスで約12分間の可視時間(衛星との通信ができる時間)があります。沖縄から西側にある衛星の信号が聞こえ始めても、本州ではまだAOSしていないので(AOSの解説は2019年9月号参照)、CQを出しても沖縄以外の局からは呼ばれません。AOSから2~3分後に本州の局から呼ばれ始めて、そこから一気にパイルアップになります。沖縄から見て東側に山や建物があると、衛星からの信号は沖縄のLOS時刻よりも早く聞こえなくなるので、衛星で国内局と交信できる時間は実質8~9分で、条件が悪ければ、さらに短くなってしまいます。恩納村CAS-4Bでは、この間に延べ41局とQSOでき、そのうちSSBでは1分間の瞬間最大で7局とQSOしました。


写真5 中頭郡読谷村での運用の様子

3日目 東海岸での運用

3日目は東海岸にある中頭郡中城村から開始し、中頭郡北中城村、沖縄市、うるま市と北上しました。北東側が海になり、国内向けに電波がよく飛びそうな場所は確保しやすくなります。また、サテライトの運用では、本州側に障害物が少なく、良い条件で運用できることを期待しました。

早朝、中城村の公園に着いた時には真っ暗で、午前7時頃でも手元に明かりが必要でした。ここで、7MHz帯で一気に多くの局から呼ばれたのですが、北中城村のサテライトを運用したかったので、残念ながら途中で運用を打ち切ることにしました。続く北中城村の7MHz CWは92局で、サテライト以外での同一QTH・同一バンドの最多QSOでした。この日は天候に恵まれ、北中城村の海岸、沖縄市の公園、うるま市の海岸で順調に運用できました。伝搬としては18MHz帯から上のバンドはほとんど聞こえませんでした。

3日目の最後は国頭郡金武町で運用しました(写真6)。この町は運用リクエストが多くありました。那覇市や名護市などの大きな都市から離れているほか、北側に山があり、本州側に開けた場所を確保しにくいため、運用が少ない、あるいは電波が届きにくいことが考えられます(写真6)。特にサテライト通信は、多くの局から呼ばれているにもかかわらず、こちらの信号が山に遮られて突然聞こえなくなってしまう状況が発生し、延べ6パスの運用で数をこなす作戦で、希望の局とはほぼ交信できました。


写真6 国頭郡金武町での運用の様子。北向きに撮影した。北側には山があり、1.9MHzやサテライト通信では本州方面との交信が難しかった。

4日目 沖縄本島南部での運用

南城市は雨の中、北側に開けた漁港で運用しました。ここも早朝から1.9MHz帯と3.5MHz帯がメインでした。続いて、リクエストが多かった島尻郡南風原町(はえばるちょう)に移動しました。沖縄県で唯一、海に面していない市町村で、運用場所の確保が難しいと思われましたが、運動公園で運用できました(写真7)。

南風原町に到着した時には風雨ともに激しくなり、サテライト用のアンテナを取り付けている三脚が倒れて、アンテナが破損しました。そこで予備の機材として用意してあったモービルアンテナとデュープレクサーをマグネット基台につなぎ替え、サテライトのXW-2Aを運用しました。サテライト通信はモービルアンテナでもできること(ただし、ある程度の技術は必要)を実証した結果となりました。修理用の部品を用意しており、アンテナをその場で修理して事なきを得ました。


写真7 南風原町での運用の様子。

八重瀬町は高台にある公園で、北東側の本州方面が良く開けており、サテライトの運用には困りませんでした。日没が近くなった頃に豊見城市に移動しました(写真8)。ここでは風が強くなってアンテナも大きく揺れており、雨雲から出ていると思われる空電ノイズも強烈でした。IC-7300のスペクトラムスコープを調整して、ノイズの中に埋もれた信号を見つけ出そうと悪戦苦闘しました。ノイズだらけの1.9MHzで何分もCQを出していると、ノイズの中から突然信号が浮き上がって、スペクトラムスコープに筋が見えました。そこでタイミングを合わせてレポートを送り、交信成立。スリリングな交信が続きました。


写真8 豊見城市での運用の様子。強風でアンテナが大きく揺れており、ブレて写っている。

5日目 那覇市周辺での運用

最終日の朝、浦添市では猛烈な風になりました(写真9)。伸縮ポールを風上からロープで引っ張っても、伸縮ポールが曲がっていました。アンテナが大きく揺れてSWRが安定しない中、7MHz帯で42局など、多くの局とQSOできました。


写真9 浦添市での運用の様子。強風で伸縮ポールが大きく傾いている。

那覇市は市街地にある有名な公園で運用しました。周囲に高い建物が多いため衛星からの信号が聞こえる時間は短く、未交信に終わってしまった局もいらっしゃったようです。西原町と与那原町では、境界付近にある公園で運用しました(写真10)。先に西原町、後に与那原町で運用しました。運用終了間際に伝搬のコンディションが良くなり、これまであまり聞こえなかった14MHz帯で多くの国内局が入感。与那原町の14MHz帯だけで57局と交信できて、他のバンドにQSYする間もなく時間切れとなりました。


写真10 中頭郡西原町での運用の様子。郡が異なる2町にまたがって存在する珍しい公園で、公園内に中頭郡西原町と島尻郡与那原町の境界がある。

結果

5日間の運用で延べ3,474QSOとなりました(図2)。18MHz帯より上のバンドが聞こえた時間は限られており、50MHz帯ではQSOができませんでした。1.9MHz帯は早朝にノイズが少なく、短時間に多くのQSOができました。昼間は近距離の伝搬に限られると思っていた3.5MHz帯でも交信できたのは、新たな発見でした。


図2 QTH・バンド別のQSO数集計。1.9~28MHzはCW、サテライトはCWとSSB、これ以外にD-STAR那覇430で1QSOできた。

荷物の発送

2019年4月の商法改正により、他県から沖縄県に宅配便で荷物を発送する場合、内容物の安全確認ができない荷物は船便で発送されるようになりました。以前は航空便で発送できた電子機器でも、船便に振り替えされる可能性が高いため、注意が必要です。

船便は輸送に時間がかかります。某運送業者で、愛知県から沖縄県那覇市に荷物を発送すると7日目に到着しました。この日数は、運送業者や発送時期によっても違いますし、沖縄本島以外の離島に発送する場合は、さらに日数を要します。那覇市から愛知県への荷物の返送は、海運会社の正月休みを挟んだため10日目に到着しました。

輸送時の梱包は、衣装ケースのような薄手のプラスチックの容器を使うと破損する恐れがあります。上に荷物を積まれても耐えられる丈夫な工具箱を使用し、内部にプラスチックやアルミの板を何枚も貼り付けて補強しています。荷物の外観は2018年11月号の写真6と同じです。

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次号は 8月17日(月) に公開予定

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