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日本全国・移動運用記

第29回 高知県移動

JO2ASQ 清水祐樹

高知県は東西に長い県で市町村の数が多く、移動運用を十分に楽しむには、まとまった時間が必要です。また、気候が温暖なため、冬期でも天候による交通障害の可能性が低い利点もあります。そこで、年末年始は高知県での移動運用を計画しました。

運用の計画

高知県は市町村の数が多く、さらにCW(電信)での運用が少ない地域もあるようで、事前に多くの運用リクエストが寄せられました。

西から東に向かうか、東から西に向かうか、山間部の町村でどの程度運用するか、など、移動運用の行程をいくつか考えました。その中で、高知県で最も西に位置する市である、宿毛市の1.9MHzのリクエストが複数あったため、愛媛県を経由して高知県入りし、初日の夜に宿毛市での運用を計画しました。

最初の運用は宿毛市から

愛媛県宇和島市までは高速道路を利用、そこから一般道を南下して宿毛市を目指しました。途中、愛媛県の南部は、複雑な海岸線で起伏が激しい地形のため、移動運用に適した広い平地を見つけにくい地域もあります。

宿毛市では東方向に障害物が無い河川敷を発見しました。東方向が開けていれば、局数が多い1エリア方面と多くの交信が期待できます。ただし、電離層の性質上、電波の到達距離と信号強度は比例しないため、状況によっては予想と全く異なる地域との交信も十分に可能性があります。実際には各局とも信号は強力に入感し、リクエストを頂いた局とも難なく交信できました。

季節外れのEスポで、多くの局から呼ばれ続ける

今回の移動運用で、最も長い時間、多くの局から呼ばれ続けた運用地は幡多郡三原村でした。事前に運用場所を調べたところ、山間部で運用場所の確保が難しそうな印象がありました。実際に行ってみると、すぐ北側に高い山があることを除いては、それなりに周囲が開けた平地がありそうな感じで、各バンドとも多くの局から呼ばれると期待していました。

三原村に行く前、隣の幡多郡大月町で運用している時、12月ではあまり聞こえないはずの14~28MHzの各バンドで国内局の信号が良く聞こえることに気づき、多くの交信ができました。この状態が続いたとしても1~2時間程度と考え、特に意識せず、そのまま三原村に移動しました(写真1)。


写真1 幡多郡三原村での運用の様子

15時過ぎ、日没に次第に近づく時間帯に、10MHzで運用を開始すると、12月のこの時間帯では10局の交信でも上出来なのに、次々に多くの局から呼ばれ、短時間でログが80局に達しました。スマホを操作してクラスタ等の情報を確認すると、12月としては珍しく50MHzがオープンしているとの情報を得ました。いわゆるEスポの発生です。

早速、50MHzを聞いてみると、何局かの信号が確認できました。しかしEスポのピークは過ぎたようでCQを出しても空振り。気を取り直して28MHzにQSYすると1エリアが強力に聞こえており、短時間で30局以上と交信できました。24、21、18MHzと順に低い周波数に移っていった後も、各バンドで多くの局と交信できました。ただし距離的に近い3エリアは、ほとんど聞こえませんでした。三原村は4時間弱の滞在で延べ400局以上と交信できました。

山間部の町村で運用するには

高知県は山間部に多くの町村があり、どのように運用場所を見つけ、電波を飛ばすかを様々な手法を駆使して考えました。

通常の道路地図、カーナビ等で公園などを見つけて、行ってみると周囲が山に囲まれており電波が飛びそうにない場合も多くあります。そこで、インターネット上で航空写真や等高線データを確認し、運用に適した場所かをあらかじめ調べてから現地に移動し、運用場所を決めるようにしました。

通常、HFの運用は周囲に多少の障害物があっても、金属製の構造物など電波を通さないものでない限り、電離層反射でそれなりに交信が可能です。しかし、1.9MHzや3.5MHzでコイルを入れた垂直型アンテナを使用して運用する場合には、アンテナから放射される電波は、打ち上げ角の低い成分が多くなるため、周囲が山に囲まれた場所では電波が山に遮られて遠距離との交信が難しくなります。また、コイルを入れて短縮したアンテナのため利得が低く、運用場所の環境が悪い場合は、さらに交信が難しくなります。現実的には、1.9MHzや3.5MHzの運用は夜間に行うため、目視で地形を確認することが難しく、それ以外の手段で運用場所の状況を確認する必要があります。

河川敷での運用

高知市の周辺は大きな河川が多く、運用場所として河川敷や堤防上の広い場所をよく利用しました(写真2、写真3)。


写真2 吾川郡いの町での運用の様子


写真3 香南市での運用の様子

この時期の河川敷は、草刈りが終わって芝生のような状態の場所が多くあります。車を乗り入れて運用すると、短く刈られた枯れ草が靴に大量に付着し、車内に散らばって汚れてしまいます。そこで運用場所の足元の状況には特に注意して運用しました。

高知県での運用の特徴

筆者は2エリアに在住しているため、高知県での運用ではHFの電波伝搬が2エリアとちょっと違う、と感じることがありました。そこで気付いたことを列挙します。

・地表波(電離層を経由しない電波)は九州地方の東部、例えば大分県、宮崎県、鹿児島県にはよく届くようです。しかし、山をまたいだ北方向、例えば愛媛県などは近距離でも信号が弱く、交信に苦労しました。

・12月で、日の出が遅いため、朝6時台では真っ暗で運用場所探しに苦労しました。早朝に7MHz(昼間に国内と安定して交信できる)での交信は難しく、そのような場合は3.5MHzを主に運用しました。

・1.9MHz/3.5MHzで深夜に発生するノイズが少ないと感じました。九州や沖縄地方では、深夜になるとバンド全体に強力なノイズが発生することがあります。高知県ではそのようなことは少なく、特に3.5MHzで8エリアと容易に交信できたことは意外でした。

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