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日本全国・移動運用記

第105回 大型連休の北海道移動(前編)

JO2ASQ 清水祐樹

2024年6月3日掲載

今年の4月末から5月初めの大型連休に、北海道での移動運用を企画しました。その様子を前編と後編の2回に分けてお届けします。

運用の計画

昨年8月の移動(2023年10月号の記事)では、台風接近により予定を繰り上げて早めに終了したため、根室市から苫小牧市への移動途中での運用ができませんでした。また、RS-44が停波するなどのトラブルもあり、サテライト通信ができなかった場所もありました。

そこで、昨年に運用できなかった場所も含めた計画を立てました(図1)。リクエストが多かった根室市での運用を休日に設定し、連休の最初と最後の混雑を避けるため、連休よりも早く出発する日程にしました。

北海道での移動運用では、走行中にシカなどの野生動物が飛び出してくることが多く、危険を感じます。そのため、夜間に山間部を移動するルートは避けるようにしました。運用中にも野生動物と遭遇することがあるため、運用は人が住んでいる地域か、常に車の通行がある場所を選んでいます。


図1 運用の計画

HF帯のアンテナは、この連載で度々紹介している通り、全ての地点で7mまたは8mの電線付き釣竿(カーボンロッド)と容量結合アース付きオートアンテナチューナー(AH-4)を使用しました。北海道は、季節や地域によっては猛烈な風が吹くこともありますが、7mの釣竿を使用した場合、強風によるアンテナの不具合はこれまで一度も発生していません。

無線機の電源はリン酸鉄リチウムイオン電池を使用し、ホテルの宿泊時や走行中に充電しました。発電機は使用していないため、運用中に騒音は発生しません。

4月25~26日(1・2日目) 苫小牧から東に移動し、4つの町で運用

苫小牧行きのフェリーを利用し、最初の運用は勇払郡(胆振)むかわ町の河川敷にある公園から始めました。4月末の名古屋は最高気温が25℃を超えることが多く、北海道では気温が0℃近くまで下がることもあり、車中泊では気温差が体にこたえることもありました。しかし、今年は到着時の気温が12℃で、防寒具を着ていると汗が出てくる状態でした。

25日の到着直後と26日の最初は、むかわ町の同じ公園で運用し、その後の新冠郡新冠(にいかっぷ)町・沙流郡日高町・沙流郡平取(びらとり)町の公園で運用しました(写真1)。Eスポの気配は無く、昼間の7MHz帯は近距離のみ、10MHz帯と14MHz帯が国内QSOの主力になり、18MHz帯と21MHz帯では西日本の強力な局が時々聞こえる程度でした。

カレンダー上では平日だったこともありQSO数は少なめでした。運用終了後は、帯広市のホテルまで100km以上を移動しました。山間部の道路は、シカやキツネの飛び出しが相次ぎ、まだ明るさが残る時間帯に移動したため衝突は回避しました。


写真1 平取町の運用場所の様子

4月27日(3日目) 帯広市から釧路市への移動

帯広市から最初の運用場所である中川郡(十勝)本別町に移動して、昨年の8月の運用で衛星の条件が悪く交信できなかった局とようやく交信できました。その後、中川郡(十勝)豊頃町の堤防上の空き地、十勝郡浦幌町の漁港(写真2)、白糠郡白糠町の河川敷へと移動しました。

十勝郡浦幌町と白糠郡白糠町は一郡一町であり、昨年の運用でもHF帯のリクエストがありましたが、ようやく運用することができました。

この日は、帯広市の予想最高気温が30℃と出ており、夏物衣料を持ってこなかったため、暑さに耐えられるか心配でした。実際は予想を下回る気温で湿度も低く、日差しが強い時間帯以外は快適な天候でした。電波伝搬のコンディションは、前日とほぼ同じでした。


写真2 浦幌町の運用場所の様子

4月28日(4日目) 釧路市から根室市への移動

道東では日の出の時刻が早く、この時期は午前4時過ぎに明るくなります。しかし、この朝は濃霧で視界が悪く、一時期は200m先の信号も見えないほどでした。釧路市は以前に運用したことがある場所だったので、霧で周囲の地形が確認できなくても問題無く運用できました。

釧路町の運用場所は丘の上にある公園で、南側には海が広がる絶好のロケーションです。アンテナを上手く設置すればV/UHF帯でも交信できるかもしれないと考えましたが、1.8~50MHz帯が対象であるALL JAコンテストの開催中で、相手局が見つかる可能性は低かったため断念しました。

厚岸町・浜中町とも、市街地にある公園で運用しました。連休が始まり大規模なスポーツ大会等は少ないため公園は空いていました。伝搬のコンディションは前日までとほとんど変わらず、国内近距離は10MHz帯と14MHz帯が中心でした。

根室市と厚岸郡浜中町は、限られた衛星を有効に活用するため、境界にある駐車場を利用し、RS-44を根室市で運用した後、20mほど移動してJO-97を浜中町で運用する方法を取りました。


写真3 釧路町の運用場所の様子

4月29日(5日目) 珍しいQN24を目指して

この日の目標は、比較的珍しいスクエアである目梨郡羅臼町のQN24での運用です(JARLによる解説:グリッド・ロケーターとは)。2023年8月はQN23で運用したため、今回はさらに北上して、町の中心部にあるQN24を目指しました。

根室市の前日と同じ場所で運用を開始し、その後、野付郡別海町の漁港に移動しました。広い場所に車を停めると、カモメの大群が大きな鳴き声とともにやってきて、始末に困る物が落ちてこないかヒヤヒヤしながらの運用でした。標津町は昨年8月と同じ、海岸の公園で運用しました。天候が良かったため、標津町から羅臼町までの約47kmを無事に移動できました。

羅臼町では港で4時間ほど運用したものの(写真4)、Eスポの気配は無く、夕方になって国内の広範囲が聞こえるようになった7MHz帯が中心になりました。


写真4 羅臼町の運用場所の様子

(次号に続く)

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