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Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

第78回 京都市立下鴨中学校 科学技術部(JL3ZPU)の皆さん

2026年3月16日掲載

Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

科学技術部の活動内容

みんなでソーラーカーを撤収してから、科学技術部の活動場所になっている校舎3階の理科室へ向かいました。その途中で西明先生から、科学技術部の活動についてお話をうかがいましたよ~。


西明先生から部の活動について伺いました

科学技術部は2024年4月に発足したのですが、その前は「パソコン部」だったそうです。ところが授業でタブレットPCが1人に1台使える時代になり、パソコン部の活動場所だった校内のPCルームがなくなり、クラブで使えたパソコン(なんと40台!)が撤去され、部員も最終的に3年生1名になってしまったそうです・・・。

そこで西明先生は思い切った作戦に出ました。生徒たちに科学の楽しさを知ってほしいことと、「ARISSスクールコンタクト」を体験してもらいたかったことから、パソコン部を科学技術部にリニューアル! 部長が「入部して下さい」と新入生に頑張って訴えて、その結果、ピカピカの1年生が8名も入部してくれたのだとか! それとほぼ同時に社団局「JL3ZPU」の免許を取得しました。

現在の部員数は1年生が4名、2年生が8名の12名(男子10名、女子2名)。このうち4アマが5名で3アマが6名いるそうですよ。

活動は「科学技術に関して何でも面白そうなものに食いついて楽しく遊ぶ」という方針で、月・水・金の放課後に1時間30分程度と、土曜日の午前中に2時間程度行っています。

アマチュア無線では、2025年1月のARISSスクールコンタクトのほか、校舎に設置したアンテナを使ったクラブ局の運用、コンテストへの参加などを行っています。2025年のフィールドデーコンテストでは、18歳以下がオペレートする「電信電話部門マルチオペジュニア」というカテゴリーで全国7位、中学校の社団局としては(他に参加校がなかったので!?)全国1位になったそうです♪


2025年のフィールドデーコンテストのデジタル参加証。「電信電話部門マルチオペジュニア」というカテゴリーで全国7位でした

アマチュア無線以外では、「天体観測(校庭で観望会をしたり、京都産業大学の神山天文台を訪れて観望会)」「水生生物の観察(近くの高野川の水生生物を捕まえて水質調査)」「自然観察学習会(近くの京都府立植物園を訪れて樹木医の先生の講義を聞く)」「講演学習会(放射能と人体への影響)」「ハンダ付けの練習を兼ねた電子工作(理科の実験で必要なものを作る)」、そして先ほど見せていただいた「ソーラーカーの製作(人が実際に乗って走行するものを作る)」などを行っているそうです!


夏休みに行った、京都産業大学神山天文台観望会に参加。口径1.3mの天体望遠鏡を交代で覗きました


校庭で行った夏の夜の天体観望会。右下は「環」が消滅しそうな土星です! まるで串団子(笑)


京都府立植物園で樹木医の先生の講義を受けました


近くの高野川で水生生物をつかまえて観察しました

西明先生は「科学技術で楽しく平和に遊ぶ“ゆるい”部活なので、この中学校で一番アットホーム的です」とおっしゃっていましたが、この活動のラインアップを聞いただけで、ステキな部だってわかりますよねー!?

実際、部員の皆さんはみんな楽しげで、西明先生とのコミュニケーションも素晴らしく、年の離れたお兄さんと話をしているような感じ。不思議に思ったことや、やってみたいことはなんでも相談して、先生も自主性を尊重しながらアドバイスをする雰囲気がとっても良い感じでした!!!

ARISSスクールコンタクトの思い出


理科室で改めて皆さんにご挨拶!

西明先生と生徒の皆さんに会ったらぜひ聞きたかったのは、2025年1月29日に行われたARISSスクールコンタクトのことです。

私も「見守り隊」の一人として、この日の交信に立ち会わせてもらいましたが、当時中学1年生だった皆さんが、大勢の父兄やマスコミが見ている中で、慣れないアマチュア無線を使って、宇宙飛行士に英語で質問をするプレッシャーは大変だろうな・・・ と感じていました(無事に終わった後は、皆さんすごく良い笑顔でした!)。また長い期間をかけて準備を進め、当日はコントロールオペレーターを務めた西明先生のご苦労も察するに余りあるものがあります。


ARISSスクールコンタクトの当日は、たくさんの父兄やマスコミの取材陣、それと関西ARISSプロジェクトチームの技術スタッフが訪れました。緊張は高まるばかり・・・


交信を行った8名とコントロールオペレーターを務めた西明先生の集合写真。無事に終えてリラックスしたみんなの笑顔がステキです!

まず、西明先生へ伺いました。

--先生は、いつ頃からARISSスクールコンタクトをやりたいと思っていたのですか?

「もう4年ぐらい前からです。“交信を通じて、アマチュア無線や科学技術に興味を持ってもらいたい”と思いました。定年退職までに絶対に実現したいという強い思いがあって、それは私のワガママでもありました」

--スクールコンタクトにはISSが追尾できるアンテナが必要ですけど、立てることが難しい学校もあるみたいですね。

「はい。学校で個人情報の扱いが時代とともにだんだんと厳しくなり、アマチュア無線って何? とか言う人も増えている中で、“ARISSスクールコンタクトがしたい”と話を持ち出して理解を得るのも大変でしたけれども、小野校長先生が“いいよ。やってください”と言ってくれたのでとても嬉しかったです。学校に理解がないとアンテナすら立てられないですから・・・。

準備には、同じく京都でARISSスクールコンタクトを実現した経験がある、ノートルダム女学院中学高等学校の田中先生(JO3DDD)や、大学の無線部の先輩でもある宇治市立北小倉小学校の杉浦先生(JF3PLF)にも申請の仕方や実施に向けた手順を教えていただきました。クラブ局新設の申請費用はJARL京都府支部から青少年助成ということで出していただきました。

そしてスクールコンタクトの直前には、関西ARISSプロジェクトチームの皆さんが来てくださって、屋上に上る頑丈なはしごに、しっかりとアンテナを取り付けて、無線機まわりのセッティングも手伝っていただきました。皆さんのご協力には感謝しかありません」


屋上につながるはしごにISS追尾用のクロス八木を設置。困難な作業を関西ARISSプロジェクトチームの方々が担当してくれました

--当日の英語で行う質問は、先生が考えたのですか?

「交信に参加する部員が“宇宙飛行士に聞きたいこと”を一人1つずつ考えました。それを英語に直した上で台本を作りました。英語の発音は授業でアシストしてくれる外国人の先生(ALT: 外国語指導助手)にも指導してもらってだいぶ練習しました。放課後の部活の時間だけじゃなくて、直前には昼休みにも集まって練習しました」


無線機を前にマイクを握って、外国人の先生(ALT)と英語による質問の練習を重ねました

--先生も皆さんも大変だったのですね!

8人全員が無事交信できて本当によかったです。最後に交信の相手をしてくれた宇宙飛行士でNASA(アメリカ航空宇宙局)の大佐でもあるニック・ヘイグさんに、「Great Technology for Peace.(偉大な技術は平和のために)」と伝えて交信を締めくくりました。“平和だから楽しく無線ができるわけで、日頃の無線交流による市民レベルの相互理解が重要ですね”という意味をこの最後の言葉に込めました。

--“Great Technology for Peace.”本当にそのとおりです!! ヘイグ宇宙飛行士からは「素敵なコメントです。あなたの言葉に感謝します」という返事があったのですね♪

続いて、ARISSスクールコンタクトに参加した2年生(当時は1年生)の皆さんにも聞いてみました。

--最初に先生から「ARISSスクールコンタクトをやるぞ!」と聞いたときは、どう思いました?

「正直、よく分からなくて。“アリスって何?”みたいな感じでした。詳しい説明を受けてそんな大規模なものをやるの!? と衝撃を受けました」

「もっとローカルなイベントだと思っていたら、どんどん大きな話になっていってビックリしました」

「先生がウキウキしてるなあーと思ったけれど。1人ずつ宇宙飛行士と交信して、しかもそれが英語だっていうのに気がついた時っていうのは、“やべえ”って思いました」


本番の交信風景。皆さんの緊張が伝わってきます!

--自宅で家族に「今度宇宙飛行士と交信するよ」と言ったらどんな反応でした?

「“宇宙飛行士と交信することになったよ”って言ったら、すごいね、すごいね! って言ってくれました」

「あんまりよく分かってなさそうな感じでしたけど、当日は見に来てくれました」

「あとでテレビや新聞でも紹介されましたけど、テレビは録画されて、家でご飯食べてる時に流されて。めっちゃ恥ずかしかったんですけど!?」

--交信当日はドキドキしましたか?

「怖かった・・・。すごく緊張しました」

「先生から急にトップバッター(最初の質問者)に指名されたので、マジ緊張しました。ホントは3番目か4番目が良かったです(笑)」

「本番のカウントダウンが始まったときは“もう本当に無理かも”って思いました。マイクを持ったら、まず自分で名前を言ってから質問をして、最後に“オーバー”と言うと、すぐ英語でペラペラと返事が返ってきました。だいたい15秒ぐらいだけど、すごく長く感じました」

「“宇宙食で好きなもの何?”と尋ねたら、“グッドクエスチョン”って言われました!」

「水生プランクトンは宇宙で増殖できますか?と尋ねたら“グレートクエスチョン”って言われちゃった」

「私はちょっとだけ、質問の方向性が違うから大丈夫なのかな? とかも思いながらも、“宇宙飛行士になって、ご自身の何が変わりましたか?”と質問しました。そうしたら“宇宙に来て世界が広がった”みたいなことを言ってくださって、やっぱそういうスケールの大きな職業っていうのは、夢があってかっこいいなーと思いました」


職員室前の掲示板には、今も「ARISSスクールコンタクト交信成功!」というポスター(当日の質問と回答内容が書いてあります)と、新聞に掲載された記事の切り抜きが貼ってあります♪

ARISSスクールコンタクトを体験した皆さんと、先生のエピソードトークを楽しく伺うことができました。準備は大変で、当日は緊張したけれど、みんな成功して良い体験になったね! と思いました。

西明先生に伺ったら、ARISSスクールコンタクトの様子を、後日授業中に動画で見た全校の生徒の皆さんにはとてもインパクトがあったようで、なんと3年生(現在は卒業)の男子3名が4アマの講習会を受講して資格を取得、女子1名も「無線の講習会を受けたい」と言ってきたそうですよ♪

ちなみに「JARL京都府支部が主催する4アマの講習会は、18歳以下の青少年は実質無料で受けられるのでありがたいです」というお話も! 京都の学生さんたちが羨ましいです。ぜひ資格を取ってくださいね!!

【編集部より: ARISSスクールコンタクト当日の交信記録(英語は原文と和訳つき)を西明先生からいただきました。今回の「Masacoのむせんのせかい」の最終ページにリンクを貼っていますので、ぜひお読みください】

次ページは「活動の様子を見学」

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