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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その63 筆者英国へ赴任 1990年 (7)

JA3AER 荒川泰蔵

筆者英国へ赴任

1990年12月8日に赴任したが、この年の8月に始まった湾岸戦争の為、連合軍として参戦している英国の空港などでは、武装した兵士や警官が物々しい警戒をしていた。赴任地である北ウエールズのレクサム市のホテルに投宿したが、そこは静かで街のメインストリートはクリスマスの飾りつけ作業が始まっていた。英国では既にアマチュ無線の免許を得て運用している先輩達がいて後にお世話になるのだが、今回はそれらの人達のレポートから紹介する(写真1)


写真1. 「レクサム便り」としてCQ ham radio誌1991年3月号に掲載された記事の一部。

1990年 (英国 G0MYB, GM0NJP, GO/N6YBS, GW0/N2ATT)

JA3BRW河本和也氏は、ロンドンでG0MYBの免許を得て運用していると、アンケートを寄せてくれた (写真2)。「TS-440S 100W + ベランダ Loop Ant. からQRVしていますが、オセアニアを除く全大陸とQSOできました。CONDEXがよければJAともQSO可能で、これまで10局程できました。あと数年はこのQTHからQRVの予定です。(1990年6月記)」


写真2. (左)G0MYB河本和也氏と、(右)そのQSLカード。

JH3FNC村上満氏は、スコットランドでGM0NJPの免許を得て運用しているとアンケートを寄せてくれた(写真3及び4)。「南向きの裏庭に2階の軒下から張った傾斜型ダイポールで、14, 21MHzを中心にワッチしています。1991年3月頃まではJAIGのNETも聞こえたのですが、現在は全くだめです。軒下からは144/430MHzのモービル用ホイップも出していてDigipeater経由でエジンバラやグラスゴーのBBSを覗いています。最寄りのDigipeaterはGB7CS-2, BBSはGB7EDNです。日本までどうやればメッセージが送れるのか、どなたかご存じの方があれば教えて下さい。欧州の中ではCEPT協約というのがあり、英国の免許があれば、短期間に限って他国からも運用ができます、先日車でLA, SM, OZと旅行し、2mのRepeaterを使ってQSOをと思っていたのですが、Speakerから流れてくる難解な言葉におじけづいて、Repeaterアクセスのいたずらをしただけで終わりました。(1991年8月記)」


写真3. GM0NJP村上満氏のCEPT免許状。


写真4. (左)GM0NJP村上満氏とお嬢さん。(右)GM0NJP村上満氏のQSLカード。

JA4KQG落合幸徳氏は、英国の免許試験の情報を含む、ケンブリッジ地域の様子をアンケートで知らせてくれた(写真5及び6)。「現在英国では日本との相互運用協定がありません。英国の免許は1983年頃から日本人にも開放されていますので、加藤氏(G0GRV)のように英国の試験を受けて開局することができます。試験は毎年5月と12月に実施されています。私の様に英国の地方に住んでいる場合は地域のCommunity College等で試験が実施されますが、その場合申請は、そのCollege等で出来ますが試験の申請締め切りがCity and Guildより更に早いため注意が必要です。12月の試験の場合10月初めが締め切りでした。もう一つは英国と相互運用協定している国の資格がある場合、それに基づいて相互運用申請をします。私の場合は英国の試験まで日があり、他国の資格は何もなかったので、英国で実施されているFCCの試験を受けて米国の免許を取得し、それを使って相互運用申請をしました。当地でFCCのVolunteer Examiner (VE)をしているG3ZAY (Martin Atherton)がたまたま同じ町に住んでいたため、試験問題(問題のストック)を家まで持ってきてくれたり、試験会場まで一緒に車で送ってくれたり、大変お世話になりました。試験は1990年1月21日にケンブリッジ効外の米軍基地で行われました。米国の住所は友人の住所を借用し、General以上が英国の上級クラスであるAクラスと同じだということで、当日はこのクラスまで受験させてもらえました。米国の友人から免許(N6YBS)が転送されてきたのが3月26日頃、すぐ相互運用協定を申請して4月上旬にG0/N6YBSのコールが届きました。


写真5. (左) G0/N6YBS落合幸徳氏の免許申請書と、(右)その臨時免許状。

日本と英国の相互運用協定はRSGBのHF担当Committeeの一人でもあるG3ZAYが、フランスと日本の相互運用協定設立に動いたF2CWから情報を得ながら、在英日本大使館に郵政省から派遣されているT氏に協力して貰って、日本の郵政省に申請する書類を作成中との事です。英国にはノビスクラスに相当する資格がないためか、免許人口が少なく(5万人)、特に若年者のハムが大変少ないようです。そのため現在RSGBがノビスクラスの創設を申請中です。Cambridge and District ARCに入っていますが、大人ばかりで落ち着いた雰囲気はあります。毎週会合を開いていますが、20人ほどは集まり、やっている人は結構熱心なようです。またリグが殆ど日本製で輸入品ですので、その分関税もかかり、日本の価格の1.5から2倍くらいします。これも若い人が少ない理由かもしれません。短波を聞くと7MHzではやはりGの局が良く聞こえますが、14, 21MHzではスキップするためヨーロッパが一様に聞こえます。英語が中心ですが、国内QSOは独, 仏, 伊など各国語が聞こえ、私ももっと語学をやろうという気にさせます。短波に出る資格はAクラスしかないため、短波に出ている人は皆100Wかリニアを使っています。最高出力は26dBW(400W)ですが、皆日本製のリニアを使っています。私の自宅のリグはTS-680S(100W)に給電点2mHの短縮DPですが、欧州の局とは57~59+でQSOできます。私の今のコールからは国籍がわからないわけですが、数局から自己紹介をする前に、君は発音からすると日本人だろうと言われてしまい、少しは発音が良くなったかと思っていたところで、苦笑してしまいました。(名前のためだとも思います。) コールが長いためSSBでもCWでも相手が戸惑うことがあり、早くGのコールを手に入れたいと思います。VUを聞くとレピーター(TV用のレピーターもある)も整備されているのですが、ケンブリッジではあまりFMを聞くことがなく、少ないチャンネルでも閑散としています。それよりもパケットの電波を良く聞きますが、設備がないため内容がわかりません。ハム人口は少ないですが、ハムを楽しむ環境は整備されており、RSGBが3.5, 7MHzや144MHzでニュースを流しているのも面白いと思いました。町を走っていると時々ハムのアンテナを見ますが、町中ではHFのビームアンテナは環境規制か、近所同士の規制のためか見た事がありません。

英国ではCommunity Collegeが充実していて、語学や音楽、スポーツなどを仕事が終わった後、安い費用で多くの人が楽しんでいます。ハムの講座もケンブリッジに一つありましたが、あまり人気がないようです。G3ZAYとG3XTTは共にケンブリッジ大学の卒業生のようで、G3ZAYが今でも(卒業後10年はたっているらしい)クラブ局の維持に動いており、G3XTTがクラブ局G6UWのQSLマネージャーをやっています。実際クラブ局のHFリグ(FT-101Z, TL-922)はG3ZAYの私物で、彼は自宅からではTVIのためにON AIRできず、畑の中の小屋にあるクラブ局が事実上彼のシャックになっています。先日もDXpedi局を追いかけるために、彼の自宅から車で10分少々の小屋まで朝8時から詰めていました。彼は現存カントリーでは残り3カントリーというアクティブなDXerです。免許を取ってから20年、最初の10年で300カントリーを越えたそうです。私も免許歴だけは20年ですが、DX経験は雲泥の違いで。私は彼の好意で小屋の鍵をいただき、いつでも自由にリグを使わせてもらっています。実際ケンブリッジ大学の現役のハムは数名で、彼の様にアクティブな人がいないようで、大変な人材不足です。最後にケンブリッジの町の事ですが、ご存じのように大学町で中心部は数100年の歴史を持つ建物があり、観光地としても賑わっています。中心部以外の住宅地は英国のどこの町とも同じ家並ですが、道路もゆったりしており住みやすい町です。欧州はどこでも同じでしょうが、私が住んでいる家もほぼ100年前の建築ですが、それが当り前のような土地です。アメリカと違い、町が古いので中心部の道路は曲がっていたり細い道もあったりで、逆に日本人には馴染みやすいと思います。(1990年4月記)」


写真6. (左)ケンブリッジ大学のクラブ局 G6UWのシャックの前にてG3ZAY, Martinさんと筆者。
(右)G6UWのシャックにてG3ZAY, Martinさん。(1996年12月 筆者撮影)

JA3AER筆者は、英国に赴任した当時のことを次のように記録していた(写真7~9)。「1990年12月8日にシャープの英国生産会社SUKMに赴任、英国での運用はとりあえず米国との相互運用協定を利用して、FCCの免許でGW0/N2ATTの短期免許を得ました。まだ住居も決まらずホテル住まいでしたので、住所(常置場所)は会社の所在地とさせて頂きました。英国の免許は住所のウエールズだけでなく、イングランド、スコットランド、北アイルランドの外、マン島、ジャージー島、ガンジー島にも有効で、プリフィックスを変えることで移動地を示して運用することが出来ます。日本のように固定局、移動局の区別もなく包括免許になっています。(1991年8月記)」


写真7. GW0/N2ATT筆者の免許申請書。


写真8. GW0/N2ATT筆者の臨時免許状と付属書の一部。


写真9. (左)GW0/N2ATTの設置場所とした勤務先の前での筆者と、(右)そのQSLカード。

1990年 (オランダ PA3FHA, PA7AA, NX1L/PA)

JR1XRC大保博氏は、赴任地のアムステルダムでPA3FHAの免許を得て運用しているとアンケートを寄せてくれた(写真10及び11)。「1988年2月に当地に赴任致しました。当地では日本との相互運用協定がありませんし、私も日本以外の国の免許を持っていませんでしたので、オランダPTTアマチュア免許係のMr. Van Dijckの好意で受験申請書を手配して頂き、同年12月にPTTの試験を受けました。試験方法は受験者1人に対して試験官3人による口頭試問。時間は1時間。これに合格しますとその場でモールスの試験が受けられます。電文はオランダ語、スピードはClass Aが12 ward/分、Class Bが8 ward/分です。受験料は125ギルダー(約8,900円)、免許の有効期間は1年間で毎年95ギルダー(約6,750円)を支払ますと自動的に更新されます。受験後約1箇月位たってから免許状が来ましたので、早速アンテナの設置に関してアパートの管理団体に申し込んだ所、これが日本では想像も出来ない位難しく、実際に運用を始めたのは1990年12月からでした。約2メーター位の21, 28MHz用GPを南側のベランダに設置して運用しましたが、大変運良く21, 28MHz共、1st QSOはJAの局と交信が出来、まさかこの設備でJAと交信出来るとは夢にも思いませんでした。現在もこのアンテナを使用して21, 28MHz, SSB, CWにQRVしています。(1991年12月記)」そして後日「ここオランダにもバニティーコールが認められ、オランダ語の分からない私は皆に数週間遅れでこの情報を入手して申請したところ、新しいコールPA7AAが発給されました。昨年降ろしたアンテナは未だに倉庫に眠っており、暖かくなるのを待って設置したいと思っています。(1999年1月追記)」


写真10. PA3FHA大保博氏の免許状。


写真11. (左) 中央がPA3FHA大保博氏でその左が筆者、右の2人は大保氏を訪ねてオランダに来られたJA7のOM達。(右) PA3FHA大保博氏のQSLカード。

JH1VRQ秋山直樹氏は、オランダでNX1L/PAの免許を得て運用したとアンケートを寄せてくれた(写真12)。「アメリカ合衆国との間の相互運用協定を利用. 免許申請料は85ギルダーで、申請書の発送から許可書の受領までは22日間であった。運用はPA0TOのシャックを借りて行なった。(1990年5月記)」


写真12. (左)NX1L/PA秋山直樹氏の免許状と、(右)そのQSLカード。

1990年 (フランス FD1RDG, F/JH1VRQ)

JE2LMM北村嘉啓氏は、フランスのコルマーでFD1RDGの免許を得て運用していると、アンケートを寄せてくれた(写真13及び14)。「従免(プラスティックカード)と局免をご覧下さい。毎年税金(電話料金のようなものと思えばよい)を払うと継続します。CEPT加盟国殆どのECカントリーでオンエアー可です。フランスで個人免許を取ったのは2人目? 少ないです。コルマーという町はドイツとの国境に近い、またスイスがすぐそこにある美しい古い町です。おいしいアルザスワインの産地であり、地理的に約150kmあるワイン街道の真中辺にあります。JAIGネットが楽しみです。尚、Dクラスは一番上のクラスで、局免は3年継続すると申請によりFE1RDGとなります。(1991年1月記)」


写真13. (左)FD1RDG北村嘉啓氏の免許状と、(右)アマチュア無線従事者免許証。


写真14. コルマー市内の風景。(2017年5月 筆者撮影)

JH1VRQ秋山直樹氏は、フランスでF/JH1VRQの免許を得て運用したとアンケートを寄せてくれた(写真15)。「免許料は70フラン。申請書発送から許可証の受領まで、20日間であった。運用はF2CWのシャックを借りて行なった。(1990年5月記)」


写真15. (左)F/JH1VRQ秋山直樹氏の臨時免許状と、(右)そのQSLカード。

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