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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その73 CEPTを含む相互運用協定で各地から運用 1992年(3)

JA3AER 荒川泰蔵

CEPTを含む相互運用協定で各地から運用

この年(1992年)はヨーロッパでの運用のレポートが多く、これらを3回に分けて紹介させて頂いています。今回は西側から、スペイン、フランス、ルクセンブルク、ドイツを紹介しますが、多くの運用はCEPTを含む相互運用協定によるもので、いかにそれらの恩恵を受けているかが分かります。

1992年 (スペイン EA/G0RPB, EB/GW7KTA/P)

JA0FMU南沢清氏は、スペインでEA/G0RPBとして運用した旨、手紙で知らせてくれた。「1992年10月初め、南スペインに旅行した際、TS-440と簡易ワイヤーアンテナでホテルから運用しました。家族サービス中心で、夜の少しの時間のみしか運用できず、AFとEUの数局とQSOしたのみでした。部屋は日本でいう2階であり、ホテル側に交渉したものの、広い部屋は2階だけだと言われてしまい、あまり良い場所は取れませんでした。今のHFのコンディションでは、夜はノイズが多くパスも開けませんでした。ジブラルタルから約80km離れた海岸のホテルに滞在したのですが、オフシーズンとあって静かな休暇を楽しむことができました。日帰りにてジブラルタルに観光に行きましたがQRVはしませんでした。出発前の計画では、レンタカーを利用してZB2/G0RPBでQRVのつもりだったのですが、家族サービスに化けてしまいました。(1993年2月記)」

JA3AER筆者は、スペインのマドリードへ観光旅行時の運用について、次の様に記録していた(写真1)。「英国駐在中の1992年4月に休暇を利用して、XYLと一緒にスペインの首都マドリードへ観光旅行をしました。その時ICOMのハンディ機IC-2ATを持参し、宮殿近くのガーデンで、英国のCEPT免許によるEB/GW7KTA/Pを運用しました。2mのFMでのシンプレックスですが、EB4ATO, Manuelさんと、EA4DTX, Jesさんの2局とQSOすることができました。(1992年5月記)」


写真1. EB/GW7KTA/P筆者のログ。運用時の写真と使ったQSLカードを張り付けてある。

1992年 (フランス F/JE2SOV, F/7L1RLL)

JE2SOY成瀬有二氏から、フランスでの運用について、手紙やアンケートを頂いた(写真2)。「1992年4月に国費留学生としてフランスに来ました。JARLから送ってもらった申請資料が古かった為か、出発前に免許を手にすることが出来ず、こちらに来てから手紙で請求するはめになってしまいました。JARLの資料ではFD1xxxのコ-ルサインが来るはずだったのに、F/JE2SOYとして発給された一時免許だったので、CEPTの証明は貰えず少々がっかりしました。重いTS-440Sと電源(FP-757HD)をかついできたものの、アパ-トなのでもっぱらSWLに徹しています。ピコ14もあるのでそれでQRVしようと思っていますが、聞こえましたら宜しくお願いします。(1992年4月記)」その後のアンケートで「CBが盛んなので、アンテナを上げるのに問題は多くない(フランス語で説明出来ればですが)。部屋の中のロングワイヤーとDPだけではフルパワーが出せず、局数は多くなかった。1993年のオールアジアCW,14MHzシングルで、フランス1位になった。(1994年4月記)」


写真2. (左)F/JE2SOY成瀬有二氏の免許状と、(右)そのQSLカード。

7L1RLL若鳥陸夫氏は、フランスの免許発給機関が民営化された過度期にあって、免許の取得に非常に苦労した旨の手紙と共に、アンケートを送ってくれた(写真3)。「1. 免許:免許入手は、宛先不明で返送され、てこずる。パリ到着後直接交渉しF/7L1RLLの臨時許可書を入手。 2. 運用:ベルサイユのホテル3階(日本の4階)の室内で運用した。(1) TRX: Mizuho MX-21S (ピコ21) 2W出力。(2)アンテナ: L型GP (伸縮アンテナ2本の組み合わせ)机上設置。(3)電源: 100V変換トランス、9.5V DC変換器持参。(4)モード: 21MHz, A1A(縦振り電鍵)。ただし、室内では何も聞こえず。ベルサイユ宮殿前庭まで行くと、ロシア(ヨーロッパ)などが入感したが、豆キーを打っても応答なし、寒いので30分間で中止。(1993年2月記)」


写真3. (左)F/7L1RLL若鳥陸夫氏の免許状と、(右)免許発給機関の建物の前で係官と女性の通訳。

1992年 (ルクセンブルグ LX9AA, LX/G0PMQ)

JA1IST名黒和史氏は、ルクセンブルグでの運用についてレポートしてくれた(写真4)。「オールアジアコンテストへの参加を目的にTELECO-DELTA RADIO CLUBのLX9AA局を訪問。コンテストにちなみ、クラブコールのゲスト運用を行った。LX2AA加藤OMと2人で運用したが、コンディションに恵まれず、又、ステーションオーナーとのアイボールQSOに忙しく、JAとは46局とのナンバー交換に終わった。又、イギリスとのCEPT条約によるLX/G0PMQの運用も若干行った。(1994年2月記)」


写真4. JA1IST名黒和史氏達がゲスト運用したLX9AAのQSLカードの表と裏。

1992年 (ドイツ DL/JR2BBR, DL5MGM, DC/GW7KTA, DL0DJF)

JR2BBR山本隆氏はドイツに赴任し、とりあえず短期免許を得て運用中と、アンケートを寄せてくれた(写真5及び6)。「1992年1月より、ミュンヘンへ仕事の関係で、5年の予定で来ました。コールは現在DL/JR2BBRですが、DJ0の現地コールを申請準備中です。ドイツでは特にHF(14, 21, 28MHz)の運用を主にしたいと考え、日本からリニアーFL-7000(500W)を持って来ました(ドイツの免許は750Wです)。これから5年間アクティブに出る予定です。(1992年2月記)」


写真5. DL/JR2BBR山本隆氏の短期免許状。


写真6. JR2BBR山本隆氏のQSLカード表と裏。
(後日筆者に送られて来たJAIGミーティングでのアイボールQSOのQSLカード)

JR2BBR山本隆氏は、その後ドイツの長期免許を得たと、アンケートを寄せてくれた(写真7及び8)。「今年(1992年)4月に日本の1アマ資格で申請しておいた長期免許が6月中旬に許可となり、やっとドイツのコールサインDL5MGMを入手する事が出来ました。これでDL/の長いコールともお別れです。普通、外国人にはDJ0という特別コールが与えられるはずであったため、コールを見た時は何かの間違いではないかと思いました。そこで問い合わせてみると、最近外国人にもドイツ人と同様なコールが割り当てられる事になったとの返事でした。多分私が日本人で最初のDLコールではないかと思います。ちなみにサフィックスの最初のMはミュンヘンOPD割当のMです。免許は最高のクラスB(750W)です。現在アンテナの関係で21MHzのみに細々とQRVしていますが、他のバンドも出られる様アンテナを整備し、アクティブに出るつもりですので、聞こえていましたらよろしく願います。」そして、別途ドイツの免許について詳しく知らせてくれた。「ドイツの免許については、日本との相互協定により、日本の免許に相当するドイツ免許が交付されます。その免許には短期免許と長期免許の2種類が有ります。短期免許はドイツの無線連盟(DARC)に委託された権限で発行されます。これは日本でも取得出来ます。JARLの国際課へ申請書を請求すれば、申請方法も含む資料を送ってもらえます。DARCへ申請後、約1, 2ケ月でドイツのデュッセルドルフの郵政局(OPD)から免許が届きます。また申請手数料として15DMが必要です。次に長期免許ですが、こちらはそう簡単ではなく、ドイツ人と同様に手続きをする必要が有ります。もちろん試験は免除ですが、ドイツに在住していることが必要です。免許申請先は所在のOPD(Ober Post Direktion)となります。短期免許のコールサインはDL/の後に日本のコールサインを付けて指定されます。長期免許の場合は、ドイツのコールサインが指定される事になります。最近まで外国人には特別なプリフェックス(DJ0)でしたが、1992年春頃より、ドイツ人と全く同様なコールが割り当てられる様になりました。具体的にはコールサイン割当リストによりますが、例えば私のコールサインはクラスBで、DL5MGMです。サフィックスの最初のMはミュンヘンOPD割当のコールです。日本の様にエリア番号は有りません。例えば0はクラブ局, 1~9は個人局の様になっています。(1992年7月記)」


写真7. DL5MGM山本隆氏の長期免許状。


写真8. (左)ミユンヘン市庁舎前でDL5MGM山本隆氏。
(右)テラスにてDL5MGM山本隆氏と2ndさん達。背後にフェンスに取り付けられたアンテナの一部が見える。

JA3AER筆者は、JAIGミーティングに参加時にDC/GW7KTAで運用した時の事を、次の様に記録していた(写真9)。「1992年4月、JAIGのミーティングに参加するためマンチェスター空港からフランクフルトに飛びました。空港からDC3FM小松さんの車に便乗させて頂いて、ヘッヒンゲンのミーティング会場に向かう途中、オランダから参加のPA0FHA大保さん達の車と2mにてQSOしながら2時間余りのドライブを楽しみました。また会場に近付いたところで、DF2CW壱岐さん達とQSOすることが出来、会場までの道案内をして頂きました。これはCEPT加盟の英国の免許を使用、改めてドイツで申請することなく短期間の運用をしたものです。JAIGのミーティング会場にはクラブ局DL0DJFが設置されていたので、ゲストオペとしてHFでJAともQSOさせて頂きました。(1993年1月記)」


写真9. (左)DC/GW7KTA筆者のQSLカードと、(右)ゲスト運用したJAIGのクラブ局DL0DJFのQSLカード。

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