日本全国・移動運用記
2025年3月3日掲載
1月11~13日の3連休に2泊3日の日程で、千葉県での移動運用を計画しました。移動にかかる時間を考慮して予定を組んだ結果、東京湾に沿った海沿いの市区町を回ることにしました。
今回の移動運用を行うきっかけは、2024年のハムフェアでした。ある方から「JO2ASQ千葉県移動と交信すれば、JO2ASQだけで全47都道府県との交信が完成する」という話を聞きました。
私はこれまでに47都道府県すべてで移動運用を行いました。しかし、千葉県では2013年1月に大網白里市が市政施行した時を最後に運用していませんでした。そこで、混雑が少なそうな時期に運用しようと考え、1月に移動運用を計画しました。
千葉県は、大網白里市とその周辺でしか運用したことがなく、新たな運用場所を選ぶことにしました。そこで、2泊3日で移動できる範囲で、船橋市から東京湾沿いを移動し、房総半島の南端にある館山市を目指すルートを計画しました(図1)。
図1 移動ルート
HF帯で使用したアンテナは、いつものように2020年9月の記事で紹介している、オートマチックアンテナチューナーと、電線を取り付けた7mの釣竿です(図2)。レンタカーでも使用している方法であり、車にルーフキャリアを取り付けるなどの加工はしていません。長さが7mあるため、7MHz帯や10MHz帯では、長さ2.5m以下のモービルホイップアンテナとは受信感度が明らかに違います。
使用方法はとてもシンプルです。まずタイヤベースをタイヤで踏み、釣竿を差し込んで伸ばします。次にオートマチックアンテナチューナーを車内から取り出し、車の屋根に置いて、釣竿につながる電線を接続するだけです。これらの作業は2分以内で完了します。使用時は、1.9MHz用のコイルを着脱する時以外は、車外に出る必要がありません。
追記として、2020年3月号の記事では、コンクリート製の旗立台で釣竿を建てる方法を紹介しました。これは強風で倒れる可能性があるため、現在はタイヤベースを使用しています。
図2 タイヤベースでワイヤー付き釣竿を立てて、車の屋根に置いたオートアンテナチューナーで給電する方法(2020年9月号の記事の再掲)
午前4時に自宅を出発し、途中で食事や休憩を挟みながら10時前には千葉県浦安市に入りました。しかし千葉県に入ってからは、一時期は車から降りて歩く方が速いくらいの大渋滞に巻き込まれ、市川市を通過するだけで90分ほどかかりました。予定よりやや遅れて、船橋市で運用を開始しました(写真1)。
ところが、電離層の状態が悪く10MHz帯は近距離がスキップしており、7MHz帯の伝搬も思わしくないため、昼間から3.5MHz帯も運用して何とか交信記録を残すことができました。
習志野市と千葉市美浜区は、海岸付近の駐車場で運用しました。駐車場は木に囲まれており近くに高層の建物などもあって、運用場所の確保に手間取りました。夕方になって10MHz帯は少し良くなりましたが、どの周波数帯もあまり良いコンディションではありませんでした。
写真1 船橋市での運用の様子
午前6時から千葉市中央区の公園で運用を開始しました。この時間帯は午前6時では7MHz帯の国内通信は難しく、1.9MHz帯や3.5MHz帯も伝搬が安定していませんでした。
次に移動した市原市の運用場所は、衛星の時間の都合で90分しか滞在できませんでした。しかし伝搬のコンディションが悪かったため、どのバンドも混雑せず適度なパイルアップになり、結果としてQSO数はそれなりに確保できました。
袖ケ浦市、木更津市とも公園で運用しました(写真2)。やはり伝搬のコンディションが良くならず、次に移動した君津市の公園では、16時以降に3.5MHz帯の運用を試みたものの、こちらも良い結果を得られませんでした(写真3)。この日の伝搬は全体的に悪かったようです。
最後に富津市の海岸に移動し、17時30分を過ぎると7MHz帯の近距離との交信が難しくなりました。しかし、東京湾を越えて東京・神奈川・埼玉の局と各バンドで交信できました。
写真2 木更津市での運用の様子
写真3 君津市での運用の様子
この日は帰りの時間を短縮するため、南端の館山市から北上して、東京湾アクアラインに近い安房郡鋸南町で運用を終えるルートにしました。館山市の海岸にある公園で運用を開始すると前日にも増して伝搬の状態が悪く、3.5MHz帯の近距離伝搬がスキップしていました。1.9MHz帯でも様子を見ながら7時頃から7MHz帯に出てみたものの、伝搬は不安定でした。
南房総市の海岸の駐車場に移動すると(写真4)、7MHz帯の伝搬は通常通りになったものの、引き続き10MHz帯は近距離伝搬が不安定でした。14MHz帯は2エリアや0エリアなどとも交信できており、よく分からない伝搬でした。安房郡鋸南町は海岸の釣り客用駐車場で運用して、南房総市と同じような伝搬の状況でした。
写真4 南房総市での運用の様子
QSO数を表1に示します。1月12日は早朝から夜まで運用したものの、移動距離が長く運用時間が限られていたため、1,000QSOには達しませんでした。
東京湾周辺の何局かは、全バンドで交信できる気配を感じました。しかし時間の制約から、11日と12日の昼間は7~18MHz帯に限定しました。
表1 周波数帯、運用日、QTHごとのQSO数。1.9~50MHz帯はCW、サテライトはCWとSSB。
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