日本全国・移動運用記
2026年6月1日掲載
2026年も4月末から5月初めの大型連休に、北海道での移動運用を計画しました。特に今年はカレンダー上で5連休になったこともあり、長期間の休みを取られた方も多かったようです。
移動運用をする側としては、大型連休中は渋滞や一部地域で宿泊先の確保が難しくなるという課題もあります。そのため、できるだけ混雑を避けられるよう、事前にルートや宿泊地を十分に検討しました。長い日程ですのでいつものように前編と後編の2回に分けてお届けします。
最近は、CWで日本の全市区町村との交信を目指している、ニューカマーやカムバックハムの方が増えているようです。インターネットで運用情報を効率良く収集し、非常に速いペースで各市区町村との交信数を伸ばしている方も見かけます。
CWは、小型アンテナやQRPでも日本全国と比較的容易に交信できる点が大きな魅力です。また、呼ばれる側の移動局だけでなく、呼ぶ側にも運用技術が求められる点が、CWならではの面白さと思います。未交信地リストをインターネット上で公開し、頻繁に更新されている方も多く、移動局としては非常に参考になります。

図1 今回の移動ルート
各局の未交信地リストを見ていると、最近CWでの運用が少ないと思われる市町村がいくつか浮かび上がってきました。その中で、今回の移動計画で候補に挙げた所が、網走市と富良野市です。網走市では2023年と2024年、富良野市では2024年に運用しているのですが、その後はあまり運用が無いようでした。この2市は距離がかなり離れており、1日で行き来することは難しいため、カレンダー上の5連休初日となる5月2日に網走市、5連休最終日の5月6日に富良野市で運用する計画を立てました。
北海道は広いため、都市部や隣接する市町村を除くと、1日に運用できるのは基本的に4か所程度が現実的です。また、札幌市の区にも、CWの移動局が比較的少ないと思われる所があるため、今回の行程に組み込むことにしました。
以上の方針をもとに、移動ルートを図1のように計画しました。
福井県敦賀市からフェリーに乗船し、4月29日の夜に苫小牧東港(実際の所在地は厚真町)に到着しました。到着直後は勇払郡(胆振)厚真町で運用することが多いので、今回は隣の勇払郡(胆振)むかわ町で運用を開始しました。例年であれば、夜間でも14MHz帯で数局と交信できるのですが、今年は伝搬のコンディションが悪く、14MHz帯では1QSOだけでした。その後、10MHz帯から1.9MHz帯まで順次QSYして、合計で約2時間運用しました。
翌30日は、勇払郡(胆振)厚真町と安平町で運用した後、約120km離れた上川郡(十勝)清水町に移動しました(写真1)。この長距離移動には理由があります。清水町は町名変更に関する住民投票が検討されており、町名が「十勝清水町」に変更された場合、清水町は消滅の扱いになるため、今年の北海道移動では、清水町で長時間の運用を計画しました。
なお、町名変更に関する最新情報については、町のホームページなどをご確認ください。

写真1 清水町役場
清水町では過去に何度か運用しており、今回も以前と同じ、町の中心部に近い公園で運用しました(写真2)。貴重な清水町からの運用ということで、Eスポが発生してHF帯のハイバンドで多くの局と交信できることを期待していたのですが、コンディションがあまり良くなく、電離層反射は実質的に18MHz帯までが限界でした。
また、この日はカレンダー上では平日だったため、昼間はお仕事中の方も多かったようです。7MHz帯では、18時を過ぎた頃から急に多くの局に呼ばれるようになりました。

写真2 上川郡(十勝)清水町での運用の様子
この日は帯広市に宿泊し、網走方面へ移動しました。帯広市の周辺は町村の数が多く、いくつか運用候補地がありますが、中川郡(十勝)幕別町・池田町・十勝郡浦幌町で運用し、最後に網走市の隣にある斜里郡小清水町へ向かう計画としました。
北海道は日の出時刻が早いため、帯広市から幕別町に移動し、運用を始めた時には完全に明るくなっていて1.9MHz帯は8エリアの局しか入感しませんでした。7MHz帯は非常に強かったものの、ハイバンドはあまり聞こえませんでした。
池田町の堤防上で運用を開始した頃から風が強くなり、釣竿アンテナのSWRも不安定になりました。伝搬状況も前日以上に思わしくなく、ほぼ打つ手が無い状態でした。浦幌町では、さらに風が強まり、周囲の畑からは砂嵐が発生していました。
その後、次の目的地である小清水町まで、約150km・3時間以上の移動でした。南風がかなり強く、釣竿アンテナを伸ばせないほどで、強風に耐えられる逆L型ロングワイヤーアンテナを設置して運用しました(写真3)。夕方になると7MHz帯が非常に強くなり、長時間のパイルアップが続きました。日没頃からは雨も降り始め、屋外での作業はかなり大変な状況でした。風が陸側から吹いていたため、海に近い場所での運用にもかかわらず塩害を受けずに済んだのは幸いでした。

写真3 斜里郡小清水町での運用の様子
この日は、網走市と網走郡3町の計4か所で運用しました。前日から風雨が強く、朝はかなり冷え込む厳しい天候でした。網走市では、当初は水辺の公園での運用を計画していたところ、激しい雨で水没の可能性があり、さらに濃霧で長距離移動も困難だったため、市街地の運動公園で運用することにしました。
強風の影響でSWRは安定せず、コンディションの上昇を待ちながらの運用となりましたが、10MHz帯の近距離もスキップするなど、かなり厳しい状況でした。ただ、前日まで主体だったF層伝搬(例えば、14MHz帯が非常に強力でも、18MHz帯は全く聞こえない)から、E層伝搬(14MHz帯がある程度強ければ、18MHz帯は聞こえる可能性がある)へと変化し始めている気配があり、わずかな期待を持ちながら運用していました。
大空町では、高台にある公園で運用しましたが、ロケーションが良すぎて強風で揺さぶられながらの運用でした。伝搬のコンディションは相変わらず上がらず、とりあえず7~14MHz帯を中心に、交信できるバンドを着実に埋めていく作戦で進めました。
続く美幌町でも強風が続き、サテライト用アンテナのビーム合わせが難しく、特にSSBはかなり苦戦しました。次に移動した津別町では雨が弱まり、時間に余裕があったことから、強風にも耐えられる長さ40mのロングワイヤーアンテナを設置して、1.9~50MHz帯に対応できるようにしました(写真4)。7MHz帯から順番に上のバンドへ移っていくと、徐々に伝搬のコンディションが上向き始め、18MHz帯で広範囲の局が聞こえ始めた頃には、「これはEスポが来るかもしれない」と高速CWで短時間にQSOを進める臨戦態勢に入りました。
18時過ぎには、50MHz帯が今シーズン初の本格オープンになり、わずか10分で25QSOを記録しました。ただ、その後は急速に伝搬のコンディションが落ちていきました。

写真4 網走郡津別町での運用の様子
前日までの悪天候から一変して天候に恵まれ、まずは常呂郡訓子府(くんねっぷ)町で運用を開始しました(写真5)。この日は移動距離が長いため、Eスポが発生して長時間のパイルアップになると、スケジュール調整が難しくなります。しかし実際には、伝搬のコンディションが悪すぎてEスポの気配は全くありませんでした。
常呂郡置戸(おけと)町でも、Eスポの兆候は無く、7MHz帯も本調子ではありませんでした。そのため次の紋別郡遠軽町までの約50kmは、時間に余裕を持って移動できました。
遠軽町でも、18MHz帯が少し良くなったかと思えば、そこから上のバンドは全く伸びませんでした。このまま待っていても厳しいと判断し、前日のような夕方のEスポに期待して、早めに滝上町へ向かうことにしました。
滝上町は山に囲まれた場所で、運用場所の確保には少し手間取りました。10MHz帯では長時間のパイルアップとなり、130QSO以上できましたが、ハイバンドは全く振るわず、夕方のローバンドも不調でした。
夕方になると再び強い雨になり、この後の移動に影響が出そうだったため、早めに運用を切り上げて次の場所に移動しました。結果的には、霧で路面が見えづらく、シカが飛び出して衝突でもしたら大変なことになってしまうので、天候が悪化する前に早めに移動して正解だったと思います。

写真5 常呂郡訓子府町での運用の様子
(次号に続く)
日本全国・移動運用記 バックナンバー
アマチュア無線関連機関/団体
各総合通信局/総合通信事務所
アマチュア無線機器メーカー(JAIA会員)
©2026 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.