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Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

第20回 気象庁HAMクラブ(JA1ZTF/JD1YAA)の皆さん

Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

JA1ZTFは移動運用でのコンテストが中心

さてさて、JA1ZTFの活動について、皆さんに教えていただきましたよ。

1960年代にクラブが開設されたときは、庁舎内に無線部のシャックがあり、真空管式のHF機と屋上に張ったワイヤーアンテナでオンエアをしていたそうです。しかし、その後は活動が途絶えて無線局免許が切れた時期もありました。

しかし3年前に見事復活!! クラブの活動費用はすべて自腹、庁舎にはシャックもアンテナもないため、コンテストに移動運用で参加するのがメインの活動になっています。


今年のフィールドデーコンテストの移動運用風景。3.5~1200MHzのアンテナを立てたそうです!!

「去年は飲みすぎて失敗したので、今年は“勝つためのコンテスト”をやろうと決め、飲みすぎないように!と制限しました」ですって!!

そうして臨んだ今年の「6m&Downコンテスト」!!! 千葉県君津市からマルチバンド・マルチオペの電信で600局以上と交信。8月の「フィールドデーコンテスト」は、同じ場所に3.5~1200MHzの設備を設置して、同部門で1,000局以上と交信したそうです。「もし優勝できたら、祝勝会を兼ねた忘年会か新年会を開いて大いに盛り上がる予定!!」ということで、そのときは私もお祝いに駆けつけま~す!!


フィールドデーコンテストに参加したメンバーで、撤収前に記念写真。お疲れ様でした!

--お話を伺って気が付いたのですが、コンテストは「電信部門」での参加なんですね。

「はい、みんな電信で、なんにもしゃべらずにテントの中で黙々とキーを叩くんです。周囲の人が見たら不思議な光景かもしれません(笑)」


ただいまコンテスト参戦中!! テントの中で黙々と電鍵やパソコンを打ち続けるのは、知らない人には不思議な光景に見えるかもしれません!?

--ちゃんと仮眠や交代はできるのですか?

「いや、小さなクラブで、オペレーターが少ないから休んでいる暇がないんです…。だから終了時刻が21時のALL JAコンテストや全市全郡コンテストよりも、早めに終了する6m&Downやフィールドデーコンテストのほうが参加しやすいですね。翌日も仕事ですし」

少ない人数で、優勝を狙うのは大変! でも三重県には“超”がつくほどコンテストが好きなメンバーがいて、その方がJA1ZTF/2で地元のコンテストに参加し、立派な成績を上げているそうです。地方のメンバーのサポートも頼もしいですね~!!!


JA1ZTFはコールサイン復活後、毎年お正月の「QSOパーティー」に参加中。今年で干支のステッカーが3枚になりました。写真左は三重県在住のメンバーが地元コンテストで優勝した際の楯です

南鳥島のお仕事とJD1YAAの運用

最後に南鳥島のJD1YAAのことと、南鳥島でのお仕事について菅野さんから伺いましたよ~。


日本最東端にある南鳥島の風景。一般の人は行くことができない貴重な場所です

南鳥島は面積1.51平方キロ。海上自衛隊と気象庁、関東地方整備局の職員しか常駐していない島で、JD1YAAのシャックは「旧庁舎」という古い建物の一角に置かれています。


南鳥島の「旧庁舎」の一角にJD1YAAのシャックを設置。アンテナは14/21/28MHz帯の3エレと50MHz帯の4エレ、それにAPRS用の144MHz帯垂直アンテナが上がっています

衛星通信回線がない時代、南鳥島で観測した気象データから日常の業務報告まで、すべて短波帯の気象庁専用波を使ってモールス通信で行われていました。そのために本土には送信所(千葉県我孫子市)と受信所(本庁と東京都清瀬市)が設けられて、専用波のアンテナは本土に向けて固定されたログペリだったそうです。

そうした時代、職員の余暇としてJD1YAAの運用は頻繁に行われ、本土にいるハム仲間とのおしゃべりや情報交換に心が和んだそうです。

とはいっても、南鳥島は世界的に見て珍しいエンティティー! 電波を出すと世界中から呼ばれ、最近も「カリブの局からグリーンスタンプ(ドル札)入りでQSLカードが届いたことがありました」ですって!! でも、その反面、「どうしても落ち着いて交信できないのが辛いところです」と。


旧庁舎のJD1YAAシャックと菅野さん

そして南鳥島は、最も高い場所でも標高がたった8m、風を遮るようなものがないため、アンテナ類の錆びは大変だし、大きな台風が迫って来た場合は、島にいる全員が「本土へ一時避難」ということもあるそうです。戻ってきたらライフラインが壊滅していたことも!!

ちなみに、仕事や生活に必要な物資は毎週1回、自衛隊の輸送機で運ばれてきます(人員交代用の飛行機は月1便。職員は3か月単位で交代)。なんと「個人で買った通販の品物でも、配送業者がヤマト運輸ならちゃんと届きます。Amazonも大丈夫ですよ」と!! また食事は自衛隊と気象庁の専任スタッフが毎日基本3食を調理してくれるそうです。

菅野さんに「南鳥島に赴任して、一番困ることは?」と伺ったら、「怪我や急病ですね。医者も常駐していないし、飛行機も限られているので、何かあったときはとても心配です。血が出るような怪我をすると命に関わります」・・・。これからもどうかお元気で!!!!


気象庁HAMクラブのQSLカード。JA1ZTFとJD1YAAのコールサインが並んでいます。私も一度は交信してみたいなあ~

気象庁HAMクラブの皆さん、興味深いお話をたくさんありがとうございました! 今度はコンテスト&南鳥島からの運用でも交信をお願いしますね~!!

(JH1CBX Masaco)

★Masacoプロフィール

兵庫県生まれ。シンガーソングライター。
学生時代は陸上競技ランナー、全日本インカレ出場。公務員となったが「歌い手になりたい」を実現すべく退職し上京。

NHK朝の連続ドラマ小説出演などを経て、IBS茨城放送のレギュラーラジオ番組パーソナリティーを6年、ラジオNIKKEI第一でもパーソナリティーとして活躍。全国高校統一模擬試験「英語リスニングテスト」の 日本語出題ナレーターなども務める。

オリジナル「あなたとともに咲かせましょう/むせんのせかい」はバックに流れるモールス信号も話題となり無線愛好家からの支持も得る。ファン1人1人からのエールを受け出来上がった最新作「むこう岸」はMasacoの新たな世界が広がっている。

コールサインはJH1CBX(第3級アマチュア無線技士)

・公式サイト:http://www.19box.net/masaco/
・オフィシャルブログ(Masaco Diary):http://blog.goo.ne.jp/33masaco/
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