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Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

第37回 電通大クラブ(JA1ZGP)の皆さん

Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

コンテストだけじゃない!! 電通大クラブの活動

この後、私は別の教室に移って、菊池さんから電通大クラブの歴史と活動を教えていただきました。


電通大クラブの活動を紹介するスライドを見せていただきました!

JA1ZGPは1968(昭和43)年に開局したそうです。その頃は学内に複数のアマチュア無線局があったそうです。1989(平成元)年頃にR学科とC学科の2つの社団局が統合され、現在の無線部が設立されました。

現在の部員は44名(1年生13人、2年生8人、3年生4人、4年生12人、大学院1年生6人、大学院2年生1人。うち女性は5名)で、1アマが26名、3アマが18名です。

--え、3アマと1アマしかいらっしゃらないんですか!?

「はい。免許されている無線設備の関係もあって、新入部員は春に入部すると、まず5月に当日申し込みの国家試験で3アマを取得し、続いて8月の国家試験で1アマを受験することになっています」

--うわ~~!! 凄いスパルタですね! 4アマや2アマではダメなんですか!?

「やはりモールスができないとコンテストの戦力になりにくいですし、1アマと2アマは難易度に大きな差がないことから、部内には“3アマの次は1アマになる”という暗黙の了解がありますね」
--クラブの活動内容も教えてください。

「はい、毎週金曜日の18時から部会を開催しているほか、週末はコンテストに参加しているため、それに伴うアンテナ上げなどの作業が平日の放課後にあります。あとは現在、電気通信大学創立100周年記念局(8N1UEC、8J100UEC)の運用を不定期に行っています(※2019年2月28日で閉局)」


電気通信大学創立100周年記念局「8J100UEC」のシャック。遠隔操作での運用も可能で、おもにOBがオペレートしているそうです。もう1局の「8N1UEC」はおもに現役メンバーを中心に運用しています

--コンテストには、たくさん参加されていらっしゃるんですか?

「JARLの国内コンテストのほか、部員のモチベーションにより、ALL ASIAN DXやJapan International DX、CQ WW DX、ARRL DXといったDXコンテストにも参加しますし、それ以外の地方コンテストに参加することもあります。それから毎年7月には“電通大コンテスト”という国内コンテストも開催しています。CWオンリー、3時間だけのスプリントコンテスト、ナンバーがユニーク(所有ライセンス)という点が特徴で、毎回200局前後からログ提出があります」


2017年の「全市全郡コンテスト」で5.6GHz帯の運用風景。とっても楽しそう!

--じゃあコンテストが続くと、アンテナの上げ下げも大変ですね…。合宿や学園祭などへの参加はいかがですか?

「合宿は年に1回行っていて、昨年は伊豆大島に遠征しました。秋の学園祭(調布祭)にも毎年出展していて、UECコミュニケーションミュージアムでのアマチュア無線局公開運用も行っています。2017年までは毎年屋台を出店していました。またハムフェアにもブースを出展して、部員が自作した無線グッズなどを販売しています」


2018年の伊豆大島合宿。貸別荘にアンテナを張って7MHz帯と430MHz帯で運用を行いました


2017年までは学園祭(調布祭)に屋台を出店していたそうです

--ハムフェアにも参加していらっしゃるんですね♪

それから菊池さんは「学校の社団局は部員が短いスパンで入れ替わるので、後輩を教育して技術と知識を継承していくことが大切です」とおっしゃって、安全講習やアンテナ設置と撤去のノウハウ、運用技術の継承などに力を入れていることを教えてくださいました。


ハムフェアの出展ブースの模様。CW練習用CDや同軸バラン、コモンモードフィルタ、ショートケーブルなど、部員が自作したものを販売しました

上手なコンテスト交信を体験

そしてここで、Masacoの体験コーナーパート2♪

コンテストでは、高得点を出すために、できるだけ短時間に相手局のコールサインを確認し、コンテストナンバーの交換を行わなくてはなりません。電通大クラブの新入部員の皆さんは、コンテストのときにどのバンドでも通用する“無駄を省いた交信方法”を身につけるため、2人1組で交信練習を行うそうです。

まずは2人の部員さんがお手本を見せてくれましたが、自分のコールサインとナンバー以外は何も言わない、ムダのない交信でテキパキと進んでいきます。私はただ感心するばかり・・・。


ムダのないコンテスト交信を体験。左の人が「呼んでくる相手局」の役割で、いろいろなコールサインとコンテストナンバーを送ってきます。それを素早くパソコンログに打ち込んで応答!

途中でオペレート交代ということで、私がパソコンの前に座り、コンテスト用のソフトに、呼んできた相手局のコールサインなどを打ち込んでいきます。
説明を受けながら、私はメモに書かれている通りの「CQ」を出します。

--CQコンテスト、ジュリエット・アルファ・ワン、ズールー・ゴルフ・パパ。ジュリエット・アルファ・ワン、ズールー・ゴルフ・パパ。コンテスト!

そうすると、向かいに座った部員さんが呼んでくれます。

「ジュリエット・インディア・ワン、デルタ・ユニフォーム・ヤンキー」

--えー、ジュリエット・インディア・ワンの方、もう一度お願いします!!

「ジュリエット・インディア・ワン、デルタ・ユニフォーム・ヤンキー」

--JI1DUY、5910マイク

「5912リマ」

--あ~~、ナンバー再度お願いします!

「5912リマ」

--ありがとうございました。JA1ZGP コンテスト!

この調子でしばらく続けましたが、交信のペースがなかなか上がりません。ジュリエットはJ、インディアはIということはわかっているのですが、それが素早くパソコンに打ち込めず、どうしてもワンテンポ遅れたり、聞き直したりすることに…。何局目かに“他エリアのポータブル1”の局が呼んできたときは、もう処理能力を超えてしまった感じが・・・(涙)手書きは慣れてきたのですが・・・パソコン入力はまだまだ対応できてない私・・


電通大クラブで使用しているコンテスト用ソフト「N1MM+」の画面。実戦では部員が自作した機能拡張ソフトを連携させているそうです

「みんな入部直後はゆっくりです。新入部員はフォネティックコードも覚えていないので、本当に初歩から練習します。でも慣れるとスピードが上がってきますよ」と慰めて(?)いただきましたが、やっぱり日々の練習が大切なんですね!! パソコンでどんどん入力していくのはゲーム感覚で面白かったです。

部員の皆さんへミニインタビュー

最後に集まっていただいた部員の皆さんにミニインタビューをしました。なお学年は2019年1月の訪問時のものです。


9人の皆さんに集まっていただき、ミニインタビュー開始♪

★部長 藤田さん(JO4JBO)2年
広島県出身です。高校時代のクラブがアマチュア無線活動を復活させたのがきっかけでハムの世界に入りました。高校は修道高等学校でした。(Masaco:えー、修道高校!? この連載で2年前にお邪魔したよ~♪)はい。Masacoさんがいらっしゃったのは、僕が卒業した後だったので、「むせんのせかい」の記事を読んで後輩たちが羨ましいなあと思っていました。好きなアマチュア無線バンドは28MHz帯と1200MHz帯です。

★前部長 菊池さん(JP7PQF)3年
岩手県出身です。父親がアマチュア無線をやっていました。大学に入学後、クラブに勧誘されたのがきっかけになりました。自分に影響を受けて父親もメッチャ無線を頑張るようになり、私がコンテストでJA1ZGPから電波を出すと、父親が呼んでくることがよくあります。その時は“おおー”って思いますね(笑)。好きなバンドは3.5MHz帯と144MHz帯です。

★榎戸さん(JI1VMU)3年
神奈川県出身です。“電通大は無線部が強い”と聞いて、見学したら部の雰囲気が良かったので入部しました。先輩たちがフォーンで話すときには声が変わるのが好きです(笑)。430MHz帯に配属されて数をこなす役割をするほか、21MHz帯も担当しています。


中央右は現部長の藤田さん。左は前部長の菊池さん。一番右は榎戸さん

★副部長 山本さん(JI1DUY)2年
東京出身です。中1のとき、中高一貫校で無線と電子工作をやっていて、そこで免許を取らされました。大学に入ったら高校の先輩が3人ほど無線部にいたので、入学前からコンタクトを取っていました。好きなバンドは144MHz帯です。HFはあまり好きではなくて、とにかく6m AND DOWNコンテストが楽しいです。144MHz帯は得点率や局数では430MHz帯に負けるけれど、そこそこ遠くまで飛ぶので、アンテナを回して“狙いに行く”感じが好きです。

★猫島さん(JO4FFX)1年
広島県出身です。中学のときに登山をやっていて、登山の先輩から無線を勧められてアマチュア無線を始めました。広島では2mやHFで運用していましたが、このクラブでは21MHz帯を担当しています。自宅だと絶対に無理な、大きなビームアンテナを回して交信できるのがいいですね。今後は東京周辺の山へ“担ぎ上げ”の移動運用をアクティブにしたいと思っています。

★渡辺さん(JJ1HGP)2年
千葉県出身です。中学生のときにアマチュア無線をやっている先生から勧められて免許を取りましたが、実際に始めて、モールスを覚えたのも大学に入ってからです。CWが好きなので、3.5MHz帯や14MHz帯などCWが活かせるバンドが良いですね。スマートフォンで使えるモールス練習ソフト「CW WEB RUNNER」も僕が作りました。


左から渡辺さん、猫島さん、副部長の山本さん


渡辺さんが作ったモールス練習ソフト「CW WEB RUNNER」

★Mさん 4年 社会人コース
学部4年の社会人コースで学んでいます。中学生のときから測定器が好きでした。このクラブでは5.6GHz帯などSHF帯を中心にオペレートしています。みんなのようにコンテストやHFをガッツリということではなく、安全講習の企画などに力を入れています。各自好きなことでクラブの力になれるというのがいいですね。ここは無線LANのノイズが多いので、パラボラアンテナも1~2度刻みで調整してヌル点を探して運用しています。

★堀さん(JR2QZI)
静岡県出身です。高校1年のときにアマチュア無線と電子工作とロボット作りをするクラブに入り、そこで資格を取りましたがあまりアクティブではありませんでした。大学に入って新歓のときに、パドルでCWを打っている先輩のカッコ良さに惹かれて入部しました。好きなのは2.4GHz帯と5.6GHz帯で、HFなら10MHz帯のCWです。

★旭(あさひ)さん(JJ5OXO)3年
香川県出身です。香川高専(旧・詫間電波高専)から編入してきました。高専ではアマチュア無線部の活動を見ていたのですが入部しなかったので、大学ではぜひ無線をと思って入り、資格を取りました。コンテストで430MHz帯や7MHz帯に出て呼んでもらえると嬉しいです。


左から旭さん、堀さん、Mさん

最後に部長の藤田さんに、2019年の無線部の目標を伺ったら「今年もコンテストを頑張る!!」という、力強い言葉が返ってきましたよ! 今日は初めての経験もさせていただき、チームワークの良さと高い運用テクニック、そしてその根底にある安全管理体制への意識の高さ!を肌で感じました! あとね、「お疲れでしょう?」とお菓子を用意して、お茶タイムを作ってくださったりと、細やかな心配りを端々で感じました♪ お菓子のセレクトもバッチリでしたよ(甘いのと辛いの・・・)笑。

男女とも仲が良くて、心技のバランスが取れていて、素晴らしい皆さんでした! またクラブ対抗年間総合優勝(2連覇)のニュースを楽しみにしていますね!「ハムフェアで再会しましょう」という合言葉でお別れしました! ありがとうございました!

(JH1CBX Masaco)

★Masacoプロフィール

兵庫県生まれ。シンガーソングライター。
学生時代は陸上競技ランナー、全日本インカレ出場。公務員となったが「歌い手になりたい」を実現すべく退職し上京。

NHK朝の連続ドラマ小説出演などを経て、IBS茨城放送のレギュラーラジオ番組パーソナリティーを6年、ラジオNIKKEI第一でもパーソナリティーとして活躍。全国高校統一模擬試験「英語リスニングテスト」の 日本語出題ナレーターなども務める。

オリジナル「あなたとともに咲かせましょう/むせんのせかい」はバックに流れるモールス信号も話題となり無線愛好家からの支持も得る。昭和歌謡の懐かしさに心躍る最新作「晴れおんな」ではMasacoの新しい世界を聞くことができる。

コールサインはJH1CBX(第3級アマチュア無線技士)

・公式サイト:http://www.19box.net/masaco/
・オフィシャルブログ(Masaco Diary):http://blog.goo.ne.jp/33masaco/
・Twitter:https://twitter.com/Masaco3
・Facebookページ:https://www.facebook.com/Masacosama

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