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日本全国・移動運用記

第89回 沖縄本島全市町村移動(前編)

JO2ASQ 清水祐樹

2023年2月1日掲載

筆者はこれまで何回も沖縄本島で移動運用を実施しており、本連載でもその様子を掲載しました(2020年4月号2020年2月号など)。しかし、運用機会が少ない市町村もあったため、年末年始の7日間で、沖縄本島の全市町村から運用する計画を立てました。

計画

沖縄本島には26の市町村があります。日程は7日間で、最終日は運用できる時間が短いため、その前日までの6日間で全市町村を回る計画を立てました(図1)。

寒い地方では、冬季になると屋外で活動する人が少なく、公園などが冬季閉鎖になったり、雪で埋もれたりすることがあります。しかし、沖縄の年末年始は、屋外で活動するには絶好の気候で、スポーツ大会が開催されるなど、昼夜を問わず多くの人出でにぎわっています。そのため、都市部では駐車場の確保が難しい地域もあります。

さらに、以前は24時間利用可能だった公園でも、コロナウイルス感染対策や、不法投棄の防止のため、夜間は閉鎖されている所があります。運用候補地について、早朝や夜間の状況が分からない場合は、複数の場所を候補地として調査しました。


図1 移動運用のルート

設備は、この連載で何度も紹介しているレンタカー移動セットです。1日に多くの場所で移動するため時間に制約があり、アンテナは設置時間が短くて済む釣竿とオートマチックアンテナチューナーを使用しました(2021年4月号の記事に説明あり)。沖縄で7MHz帯を安定した状態で運用するには、利得が高い(長い)アンテナで、空中線電力は50Wであることが望ましく、市販の1.5m程度のモービルアンテナや、QRP運用では交信できる局が限られます。

冬の沖縄は、海に近いこともあって強風になる日が多く、長い釣竿では破損する可能性があるので、風が無い時には8mの釣竿、風がある時には丈夫な7mの釣竿の2本を使い分けました。

1日目(12月27日) 那覇市から開始して、南部の2市へ

最初の運用は、那覇空港に近い那覇市で開始しました。1日目は、カレンダー上で平日であるため、リクエストが比較的少ない市で運用することにしました。那覇市は、アワードの対象地として知名度が高い公園で運用しました。アワードの番号をアナウンスして運用することも考えられましたが、運用時間が限られているため、市ナンバーであるJCC4701だけをアナウンスして運用しました。

糸満市は、漁港の空き地で運用しました。この辺りは周囲に高い建物や山が無いので、サテライト通信も順調に進みました。糸満市ではコンディションが良く、28MHz帯でも交信できました。これまで、年末の移動運用で、28MHz帯がオープンすることは少なく、太陽黒点増加の効果が現れているようです。

豊見城市も、以前に利用したことがある公園で運用しました(写真1)。日没の時間が近くなり、ハイバンドは難しいだろうと思いながらも運用してみると、21MHz帯までは東日本がまずまずの強さで入感し、24MHz帯にQSYしたタイミングでコンディションが急に落ちた感じでした。しかし、夕方でもハイバンドがこれだけ開けていたので、翌日以降の運用に大きな期待が持てました。


写真1 豊見城市での運用の様子

2日目(12月28日)南部でリクエストが多い町村へ

28日の朝は、島尻郡八重瀬町の高台にある公園で運用しました。沖縄本島の南部で、海に面していない地域は、土地の起伏が大きいために広い平地が少なく、運用場所の確保に苦労することがあります。ここでも、以前に運用したことがある公園で運用場所を探したものの、同じ公園内でも北東側に山がある駐車場もあり、これでは国内交信に不向きなので、北東側が開けた場所を確保しました。

コンディションは、夏場のEスポシーズン並みとは行かないまでも、28MHz帯でパイルアップになるなど好調が続きました。好天で風も無く、運用には適した天候でした。

続く島尻郡南風原(はえばる)町も、高台で北東方向が開けた公園で運用しました。昼休み時間帯が近くなると、ハイバンドのコンディションは低下して、28MHz帯の勢いは弱まりました。さらに、中頭郡西原町も以前に運用したことがある公園で運用したものの、28MHz帯は1QSOに終わってしまいました(写真2)。それでも、10MHz帯や14MHz帯は激強信号でパイルアップになり、暇を持て余すようなことは無く、持ち時間をフルに使っての運用になりました。


写真2 中頭郡西原町での運用の様子

宜野湾市は、海岸にある公園で運用しました(写真3)。この市は、沖縄本島の西側にあり、本州側に開けた場所が少ないため、サテライト通信や1.9MHz帯では運用場所の確保に苦労した場所です。これまでの沖縄本島移動では夜間に運用することが多く、宜野湾市からの1.9MHz帯の運用は6回目になりました。ハイバンドのコンディションが良すぎたためか、ローバンドは信号が弱く、また、ロングワイヤーアンテナやダイポールアンテナを使用していた以前の運用とは違って、釣竿アンテナで性能が劣ることもあって、1.9MHz帯では4QSOに終わりました。


写真3 宜野湾市での運用の様子

3日目(12月29日)那覇市から東へ、そして北へ

朝は那覇市から出発し与那原町で運用しました。この町はHF帯で特にリクエストが多かった場所です。海岸に駐車場があるので、車1台分のスペースで運用するには特に困ることはありません。7MHz CWは、昼間は国内遠距離の伝搬が弱くなり、沖縄から国内交信をするのは困難になることがあるので、早朝の時間帯を狙って時間を十分に確保して運用しました。

南城市は、以前にも運用したことがある港で運用しました(写真4)。ここはサテライトの時間の都合で短時間運用になり、ハイバンドは残念ながら18MHz帯で打ち止めになりました。


写真4 南城市での運用の様子

午後からは北上して、こちらもリクエストが多い中城村の公園と、北中城村の海岸で運用しました(写真5)。風が強くなり雨も降り始め、レンタカー移動には厳しい天候になりました。運転席のドアの内側に大型のビニル袋を養生テープで貼り付けて、車内が濡れないようにしながら運用しました。それでも、風向きによっては車内に雨滴が入ってしまいます。1日5か所の運用になると1か所当たりの滞在時間が平均2時間弱になり、10MHz CWだけで1時間かかることもあるので、ハイバンドを巡回する時間が確保できませんでした。

夜は北谷(ちゃたん)町の公園で運用しました。この町は人口密度が高く、北東側は建物の影響が若干ありますが、衛星からの電波が建物の間をうまく抜けて、条件が厳しいながらも多くの交信ができました。3.5MHz帯は、それなりに交信できるものの、1.9MHz帯は例年になくコンディションが悪い感じでした。


写真5 中頭郡北中城村での運用の様子

(次号に続く)

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