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Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

第38回 コメット株式会社の皆さん

Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

アンテナの生産と調整を見学!!

社長の池上さんのお話を伺ったあと、私は特別にアンテナの製造や調整を行っているところを見学させていただくことになりました。

その前に設計開発部長の丑丸さんに、新製品のアンテナが登場するまでの“流れ”を伺いました。


設計開発部長の丑丸さん。アマチュア無線歴40年以上というベテランハムでもいらっしゃいます

アマチュア無線用アンテナの新製品を発売するには、市場のニーズを調べながらどういう性能のものを作るかという「構想設計」に始まり、「基本設計」でプロトタイプを作って実際にその性能が出せるかの確認を行い、あとは「量産設計」から「製造」という流れで進んでいくそうです。構想設計を始めてから最初の製品出荷まで、「最短でもおよそ半年はかかります」と教えていただきました。

そして新製品の企画で大切なのは、ユーザーの声! アマチュア無線家の皆さんが「こんなアンテナが欲しい」「このアンテナに、こんな改良があるといいな」という声が、無線イベントのコメットブースや、無線ショップを通じて伝わったことがきっかけになるケースもあるそうです。また「もう一度、あのアンテナを再生産してほしい」という要望で、復活した製品もいろいろ!


「ハムフェア2018」のコメットブース。製品の感想や要望はこうしたイベントのときにスタッフの皆さんに伝えることができます

--そう言えば、無線イベントでコメットブースにお邪魔すると、試作品のアンテナが展示していることが多いですよね!? あれもアマチュア無線家の皆さんの感想をリサーチするためなのですか?

「そうなんです。社内は“プロジェクトX”のような感じで、おのおのが何かを開発して試作を作ったりしています。ある程度の概要は私も聞いていますが、たまに現場に行くと、パッと隠したりしますからね。“隠すなよ~!”と言っているんですが(笑)。まあ、とにかく自由な会社なんです」と池上さんが教えてくださいました。新しいアイデアでいろいろ試作して、無線イベントで披露できるなんて、ちょっと楽しいですね!


社員のアイデアで「ハムフェア2018」に登場した参考出品の1つ、「50MHz帯短縮型3素子八木アンテナ」(各エレメントとブームを分解した状態で展示)。エレメント長をフルサイズの約62%に短縮し、場所を取らずに運用できるのが特徴です。製品化が楽しみ!!

さてアンテナ製造部門の見学です! 最初は輸出用のモービルホイップアンテナ(CA-2×4SR)を組み立てているところを見せていただきました。熟練の技術者の方がアンテナの給電部とコイルの部分に強力な接着剤を塗ってカバーを被せていきます。


熟練の技術者がモービルホイップアンテナを手際よく組み立て中


強力な接着剤を使って給電部のコイルにカバーを被せていきます


完成したモービルホイップアンテナ。この後は検品と袋詰めが行われます

一度ケースを被せると、二度と外せないので、スピードと慎重さの両方が必要になる作業です。多い日は1日に数百本もこの作業をするそうです。


屋上はさまざまなアンテナの実験や計測にも使われる重要な場所です

そして屋上では、輸出用GPアンテナのアンテナ調整が行われていました。1本ずつ測定器に接続し、エレメントを垂直に立てて同調周波数を確認、ハンダごてでコイルのタップの位置を調整していくという、技術と体力がいる作業です。


輸出用GPアンテナを調整中。1本ずつラジアルを取り付け、垂直に立てて同調周波数などを測定していきます


陽射しが強い季節は、日焼け防止の完全装備で作業を行うこともあります


実測データを元に、仕様通りの周波数で最良のSWRになるよう、ハンダごてでコイルのタップの位置を調整します

屋外でも過ごしやすい日は気持ちよく作業ができそうですが、陽射しの強い夏や凍えるような真冬、風が強い日は大変な作業だろうなあ…と思いながら、見学させていただきました!


袋詰めを終えたGPアンテナ。あとは出荷を待つばかりです!

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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