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日本全国・移動運用記

第54回 鳥取県日野郡移動(アンテナチューナーAH-4で簡単QSY)

JO2ASQ 清水祐樹

HF帯の全バンドに簡単にQSYするため、AH-4を導入

運用場所を次々に変えながら移動運用する場合、短時間でアンテナを設営し、電波の伝搬状況やリクエストに応じて様々な周波数帯に素早くQSYすることで、多くの交信ができます。

HFの様々な周波数帯に対応したアンテナとして、筆者はコイルのタップやギボシ端子を使って周波数を切り替えるアンテナを使用しています(例えば2013年4月号)。これらの自作アンテナは、性能的には満足できても、製作・調整に時間がかかることが難点です。

そこで、製作に時間をかけずに、HF帯の全バンドに簡単にQSYできる手段として、アイコムのアンテナチューナーAH-4を新たに導入しました。(AH-4の製品説明 )。7m以上のワイヤーエレメント1本で、3.5MHz帯から50MHz帯までオールバンドに整合が可能、というものです。その使い方を図1・写真3に示します。この方法は、車の周囲や屋根に機器を置くだけで、車体に傷をつけることなくアンテナを設置できます。


図1 AH-4を使用したアンテナの配線図。AH-4の底面にアルミ板を貼り付け、アース端子を接続する。
自動車の周囲と屋根にこれらを置くだけで、3.5~50MHzの全ての周波数帯で運用できる。


写真3 AH-4、アース板、コンクリート製旗立台の様子

3.5MHz帯に対応するには、使用するロングワイヤーは7m以上が必要であるため、全長7mのカーボンファイバー製の釣竿にワイヤーを沿わせるように設置しました。AH-4の取扱説明書によると、周波数の1/2波長、およびその整数倍のアンテナエレメントに対しては、マッチングは取れません。全長7mにすれば、アマチュアバンドの周波数が1/2波長および整数倍にならずに済みます。

釣竿を立てる方法には、当初はタイヤベースを使用する想定でした。しかし、タイヤベースの設置には数10秒かかり、その時間も惜しいことと、内径の太いタイヤベースに細い釣竿を真っ直ぐに固定するのは意外に手間がかかることから、より簡単に釣竿を立てることを考えました。

車の屋根に竿立て台を常設することも検討しましたが、強度的に耐えられるものを作るには、相当の技術が必要なため断念しました。最終的に、商店の店先などで旗を立てるために使われているコンクリート製の旗立台を使用することにしました。

旗立台には、旗を取り付けるための支柱が付いています。そこにUボルトとプレート(100円ショップで入手したプラスチック製まな板をカット)を取り付け、竿を取り付けられるようにしています。強風時には、念のためロープ等で倒れないように支えておきます。

次に、アースの接続も簡略化したいと考えました。この連載でたびたび紹介している通り、レンタカーでの移動では、車の屋根に300×200mmのアルミ板を養生テープで貼り付けてアースに接続しています。そこで、AH-4の大きさに合わせて、300×175mmのアルミ板をAH-4の取付金具に両面テープで貼り付け、アルミ板とAH-4のアース端子を接続して、アルミ板が車の屋根に密着するようにAH-4を置いた結果、安定して動作しました。

釣竿は図2・写真4のように、熱収縮チューブと結束バンドを使って、継ぎ目の下部にビニル線を取り付けてあります。釣竿を伸ばすだけで簡単に設置可能です。結束バンドは抜け落ちないように、接着剤(Gクリヤー)で固定してあります。この方法は、釣竿が使用中に引っ込んで縮んでしまう現象への対策としても有効です。継ぎ目部分が締め付けられているため、外力が加わっても引っ込みにくくなります。


図2 釣竿とビニル線の取り付け方法


写真4 釣竿を引っ込めた様子

7mのワイヤーエレメントで1.9MHz帯に対応するには

AH-4は1.9MHz帯に対応していません。しかし、ワイヤーエレメントにコイルを直列に接続して、アンテナ単独で1.9MHz帯付近の周波数に同調するようにすれば、1.9MHz帯で動作します(図3)。なお、取扱説明書に記載されていない方法ですので、ご使用は皆様の責任でお願いいたします。

接続するコイルのインダクタンスを見積もるため、シミュレーション(アンテナ解析ソフトMMANA)を使って、全長7mの垂直アンテナの給電点付近にローデングコイルを挿入して1.9MHz帯に同調するコイルのインダクタンスを計算すると、約142μHでした。

食品用の円筒形のポリエチレン容器にビニル線を巻いてコイルを製作し、LCRメーターで計測しながら、近いインダクタンスに調整します。このコイルを7mのワイヤーエレメントに直列に接続すると、チューナーをOFFの状態でも1.9MHz帯でSWRがある程度下がりました(SWRは1.0に近い値でなくても可)。この状態で無線機のTUNERボタンを押すと1.9MHz帯に整合しました(写真5)。

このコイルは損失が大きく、長時間の送信では発熱してSWRが上昇します。その場合、TUNERボタンを押して再チューニングするとSWRが下がります。


図3 7mのロングワイヤーとAH-4で、1.9MHz帯に対応する方法


写真5 製作したコイルの調整と、設置の様子

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次号は 5月6日(木) に公開予定

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