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日本全国・移動運用記

第51回 和歌山県・本州最南端移動

JO2ASQ 清水祐樹

和歌山県は、東海地方からの移動に時間がかかるため、筆者は和歌山県で移動運用を行う機会があまり多くありませんでした。そこで、和歌山県の各市町を東から順に移動し、3日間で20か所での移動運用を計画しました。和歌山県串本町には本州最南端の潮岬があります。和歌山県は地形に特徴のある場所が多く、運用の様子も、普段の移動運用と少し違った雰囲気でした。その様子を紹介します。

和歌山県を東から西へ、最初は新宮市から

愛知県と三重県を経由して和歌山県に移動しました。三重県内の高速道路の開通区間が伸びており、車での移動は昔と比べると便利になりました。和歌山県の最も東に位置する市である、新宮市から運用を開始しました。まだ暗い早朝に、東側が見渡す限りの海になっている港で設営しました(写真1)。ここでは早朝から海に向かって釣り竿を伸ばす釣り人の姿がちらほら見受けられ、こちらは上空に向かって釣り竿アンテナを伸ばしました。


写真1 新宮市での運用の様子

太陽黒点数がほぼゼロで、電波伝搬のコンディションが低調な昨今では、夜明け前に3.5MHz帯の近距離がスキップして聞こえない傾向にあります。そこで、1.9MHz帯を見てみると、1.908~1.9105MHz付近までFT8の強力な信号でびっしりと埋め尽くされていました。コンテスト開催時を除いては、CWは1.911~1.912MHz付近に出ている局が多いようです。新宮市の1.9MHzは珍しいようで、TNX NEW JCCと打ってこられた局もいました。

日の出を過ぎると、3.5MHz帯の信号が次第に強くなってきました。7MHz帯は早朝には近距離がスキップしており、ログには6・7・8エリアのコールサインが並びました。東側の海にアンテナを向けると、144MHz帯と430MHz帯で神奈川県と交信できました。海抜がほぼ0mの場所でこれだけ信号が強かったことから、標高の高い場所ならば、もっと多くの局と交信できるかもしれないと期待が高まりました。

続く東牟婁郡紀伊勝浦町も海岸で運用しました。ところが、この場所には沖合に島があって電波が遮られてしまい、144MHz帯と430MHz帯では東側にアンテナを向けても交信ができませんでした。東牟婁郡太地町は海岸付近に駐車できるスペースが少なく、灯台に続く道につながる駐車場で運用しました(写真2)。昼間になると7MHz帯の入感エリアが次第に近くなり、1エリアと安定して交信できるため交信数は伸びていきます


写真2 東牟婁郡太地町での運用の様子

HF帯では、伝搬のコンディションが良い時ほど海外局との交信が容易になる印象があるのではないでしょうか。しかし、昼間の7MHz帯はその逆で、コンディションが良い時は国内の近距離、悪い時は海外局が多く聞こえる傾向にあります。この時の7MHz帯では、2エリアや3エリアは全く聞こえず、海外局から続けて呼ばれることがありました。標高が高い場所のため期待していた144MHz帯と430MHz帯では交信できず、ロケーションだけでなく伝搬のコンディションにも影響されるようでした。

今回の移動運用で運用場所の確保が最も難しかった場所が、東牟婁郡古座川町でした。この町は海に面していない内陸にあり、平地が全く見当たりませんでした。地図を頼りに広い場所や高台を探してみても、車で簡単に行けそうな範囲には手掛かりがなく、川沿いのわずかな空きスペースを見つけて何とか運用できました(写真3)。午後になると7MHz帯の伝搬が不安定になり、3.5MHz帯をメインに運用しました。


写真3 東牟婁郡古座川町での運用の様子

本州最南端の串本町へ

本州最南端である潮岬は、東牟婁郡串本町にあります。本州最南端ということで、V/UHF帯では東西の両方に開けた場所を確保しやすいこと、サテライト通信では南側にある衛星が長い時間聞こえることが特徴として考えられます。

潮岬を目指して移動し、駐車スペースを探しました。天気の良い3連休とあって、駐車場は混雑しており、しばらく待っていれば駐車枠は確保できる様子でした。しかし、駐車場の回りは建物や背の高い木が多く、V/UHF帯やサテライト通信の運用には向いていないと感じました。混雑している駐車場で、隣の駐車枠に車が停まっているのにマイクを握って大声を出すのも気が引けます。事前の計画では、この記事で「本州最南端での移動運用」と写真付きで紹介する予定でした。実際は、運用に適した場所が見当たらなかったので、本州最南端の潮岬(写真4)に立ち寄った後に、内陸側に少し入った海岸に場所を変えて運用しました。


写真4 本州最南端の潮岬

西牟婁郡白浜町は観光地として有名な場所で、夜になっても飲食店や温泉などが賑わっている様子が伺えました。しかし、無線の移動運用が主目的なので、周囲に山や建物が無い河川敷で、いつものように1.9MHz帯と3.5MHz帯、サテライト通信を運用して楽しみました。

御坊市周辺は町がたくさん

和歌山県をさらに西に進むと、市や町がたくさんあり、運用場所を次々に変えての運用が楽しめます。1日で8か所の市町から運用しました。

この日の運用で、最も重点的に運用したかった場所は田辺市でした。立地的には和歌山県の中部に位置する市で、交信した市の数をカウントするアワードのJCCでは交信が比較的難しい市になる傾向があるようです。田辺市は、面積こそ非常に広いですが大部分が山林で、移動運用に適した場所は限られています。市街地に近い場所で、少しでも電波が飛びそうな場所を探すと、高台にあるスポーツ施設を発見しました(写真5)。この場所ではHF帯の伝搬が好調で、特に7MHz CWでは朝早い時間にもかかわらず25分間で40局というハイペースで交信が進みました。


写真5 田辺市での運用の様子

印象に残った運用場所は日高郡美浜町でした。町の西側には高い山があるため、町の南東部を占める、煙樹ヶ浜と呼ばれる海岸で運用しました(写真6)。海岸の近くには幅が100m以上あると思われる防風林があり、海岸から見ると北側には高い木が並んでいます。これだけの幅の樹木があると、HF帯の電波の飛びにも影響があるのかもしれません。7・8エリアからの信号がいつもより弱かったような気がしました。


写真6 日高郡美浜町での運用の様子

有田市では、D-STARでも交信

和歌山県の北部に近付くと人口密度が高い市町も多くなって、運用場所の確保が難しくなり、山に囲まれた場所でやむを得ず運用することも多くなりました(写真7)。HF帯の電波伝搬は相変わらずあまり良くなく、昼間でも近距離交信が可能な3.5MHz帯を活用して多くの交信ができました。


写真7 有田郡有田川町での運用の様子

和歌山県の北部には、D-STARのレピータが多くあります。しかし、山が多い地形でもあり、谷底でレピータの方向が見通しになっていないと思われる場所では、レピータからの電波が弱いと感じられることもありました。D-STARを始めてから1年ほど経過し、運用に慣れてきて、今回の和歌山県移動では2局と交信できました。

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次号は 12月16日(月) に公開予定

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