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今月のハム

DF2CW 壱岐邦彦さん

ドイツのミュンヘンに在住し、1984年のJAIG(Japanese radio Amateurs In Germany)創設時から事務局を担当している壱岐さん。仙台市で生まれた壱岐さんは中学生の頃からラジオに興味を持ち、自作を始めた。たまたま近所で開局していたアマチュア無線局(JA7CB松野さん)に設備を見せてもらったことでアマチュア無線に興味を持ったという。高校生の時に2アマの免許を取得し、1956年にJA7HMを開局した。卒業後は就職のため1エリアに転居したが、1エリアからオンエアを続けた。

一方1960年頃から壱岐さんは、機会があれば外国に渡って自分の能力を試してみようと思い始めた。そして、1965年壱岐さんは求人広告を見てドイツの会社に手紙を出した。当時のドイツは景気が良かったことも幸いしてすぐに採用され、翌1966年1月に渡航して2月からミュンヘンで勤務を始めた。

就職後はしばらくアマチュア無線から離れていたが、仕事に慣れてくると日本と交信がしたくなり、1972年にドイツでアマチュア無線ライセンスの申請を行ってみた。当時は日本とドイツの間に相互運用協定はなかったが、ドイツ政府は試験を課すことなく免許を付与してくれた。壱岐さんに割り当てられたコールサインはDJ0VKだった。「当時は好みのコールサインを選ぶことはできず、このコールサインは自動的に割り当てられたものでした。コールエリアDJ0(ゼロ)は外国人用のコールサインだったんですよ」、と説明する。

免許取得後、100W出力とホイップアンテナでオンエアを始めた壱岐さんは14MHz SSBで愛媛県のJA5AUC局とつながった。これがドイツからの1st QSOとなった。その後も時間を見つけてはオンエアを続け、主に日本とのQSOを楽しんだ。その後、壱岐さんは1976年にコールサインをDF2CWに変更され、今に至っている。


DF2CWのライセンス

1970年代は日本の企業がドイツに進出し、それに伴って多くの社員が日本から派遣され、その中にはもちろんハムもいた。当時ドイツで免許を取得するには、壱岐さんがそうであったように、試験を受ける必要は無かったが、申請書類はすべてドイツ語だったので、「それを手伝いましょう」、と日本人ハムの輪が広がっていったという。

そして1980年代になると、ドイツ在住の日本人ハムの名簿作成が行われ、不定期でニュースレターも発行されるようになった。そんな中、「一度皆で集まろう」、と言う提案があり1984年2月、地理的にドイツの中央に位置して交通の便も良い、コブレンツの近くのヴィンニンゲンというワインの町に集まった。そこでこのグループに名前をつけましょうとの提案で考えられたのが、「JAIG」だった。

壱岐さんは、「JAIGは全ての人達に門戸を開放しています。国籍、言語、宗教、肌の色、政治などとは無関係です。アマチュア無線という趣味が縁で知り合った人達が、お互いに触れ合いその輪が広がったらそんな嬉しいことは無いでしょう。会話、それは私達の特技で、それがあって容易に相互理解が深まるものです」と話す。

その後、JAIGの会員は増加を続け、2016年12月現在では580人の大所帯となった。メンバーの日本人とドイツ人の割合は半々くらいで、その他の国籍のメンバーも含まれている。主たる活動として、毎週日曜日の17時(日本時間)から21MHz SSBでオンエアミーティングを行っており、コンディションの良いときは日本とドイツ以外からもチェックインがあり、ワールドワイドで情報交換ができるという。さらに、毎年1回、ドイツ国内で総会を開催し、いつも50名程度の参加者がある。

事務局の壱岐さんは日本語とドイツ語の2ヶ国語に対応した会報(JAIGニュース)の作成を担当し、これを年に3~4回発行している。会報は、基本的に電子版を電子メールに添付してメンバーに送付しており、電子メールアドレスを持っていないメンバーには印刷して郵送しているという。

壱岐さんは、今後もこのドイツと日本との国際交流を主とした活動をずっと続けていくことを目標にしている。「JAIGのメンバーになってドイツとの交流を深めたいと希望されている方はお気軽に私(df2cw@jaig.de)までご連絡をお願いいたします。皆さんのご支援を宜しくお願いいたします」、と話す。

JAIGホームページ http://www.jaig.jp


2016年12月、アイコム本社のショールームにて

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