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今月のハム

JK1DRV・JS2JZH 吉田侑大さん

東京都府中市にお住いの吉田侑大さん。現在小学校4年生にして第二級アマチュア無線技士の資格を持ち、2エリアでは200W局を開設していると聞きさっそく取材に伺った。

免許を取ろうとしたきっかけは、小さなころから父親(吉田博さんJJ2TKX・JI1DGW)が交信しているのを横で聞いていて楽しそうだなぁと思ったことで、免許がないので初めは受信機で聞いていたという。そして小学2年の8月(2020年)に「無線の免許を取ってみたい!」と自発的に父親に言ったそうだ。ただ小学2年では、いくら期間が短くなったとはいえ養成課程講習会の2日間は集中力も含め無理かなと父親が判断し、国家試験ならなんとかなるかなと軽い気持ちで勉強がスタートした。

勉強開始

最初に手にした参考書は、「コミック版 最新ハム問題集」(CQ出版社)だった。というのもこれを選んだのは、マンガ形式で「ハムとは何か」から始まり、小学生でも読めるようにフリガナがふられていたからだという。出ている問題数が少ないためある程度勉強が進んだところで、初級ハム受験の定番である「初級アマチュア無線予想問題集 完全丸暗記」(通称: 完マル)(誠文堂新光社)でさらに勉強を進めたという。

ただ、過去の試験問題と言う事もありフリガナもなく心配していたが、「コミック版 最新ハム問題集」で先に勉強をしていたため、父親の心配をよそにすらすら解いていったそうだ。その後「第4級ハム国試 要点マスター」(CQ出版社)でもさらに勉強を進めた。一方、インターネット上で過去問題を掲載しているサイトをたくさん見つけたため、並行してくり返し勉強していったという。

ここまで進めた勉強で4アマについては、ほぼ合格ラインをクリアできそうとなったのが9月の初めで、父親が「完マル」を確認したところ後半に掲載されている3アマの問題も解いてあるので聞くと、似たような問題があり「おんなじ問題だぁ!」という事で調べてみると同時受験が可能だと知り、本人に確認すると「両方受けたい!」と即答が返ってきたため、急遽3アマも同時に受験することとなった。そこで父親が用意したのは、「第3級ハム国試 要点マスター」(CQ出版社)とモールス符号の書かれた暗記カード。またQ符号やモールス略号も同じように暗記カードで勉強していったという。

そして受験日を当日受付試験のある10月31日とし、コロナの影響で事前予約が必要であったが無事予約を完了し、さら3アマ、4アマの過去問に取り組んで受験当日を迎えることとなった。

いよいよ受験

いよいよ10月31日を迎え、侑大さんは父親に付き添ってもらい試験会場に向かった。午前中は4アマ、午後は3アマの試験で、4アマの試験会場では他に数人小学生が受けに来ていたが、3アマでは小学生は本人1人だった。4アマの試験は30分ほどで退出し、自己採点では全問正解で一安心。午後からの3アマの試験もほどなく終え、こちらも自己採点でも合格点に達していた。しかし本来であれば当日合否が発表されるところ、コロナの影響で即日発表とはならず、数日後に両方の合格通知が届き約2か月に及ぶ勉強の成果を発揮できた。しかしアマチュア無線の資格取得の意欲はここでは終わらなかった・・・


3アマ、4アマの問題集
(1冊目の完マルはボロボロになったのと色々書き込んでしまい2冊目を購入)

さぁ開局

3アマ、4アマの従事者免許を取得後、さっそく父親との設備共用で開局申請を行い、無線局免許状が届いたのは2020年12月、割り当てられたコールサイン「JK1DRV」で父親の所属する地域クラブのメンバーらと交信を楽しんだ。

さらに上級を目指す

3アマに合格した侑大さんは、父親が試しに購入した2アマの問題集「第2級ハム 国家試験問題集」(CQ出版社)を見て、「受験してみたい!」と言うことで再び勉強が始まった。さすがに2アマは公式などを覚えたとしても、理解するのに苦労したと本人談。当時まだ小学2年だったので勉強が大変だったが、3アマ、4アマで勉強したことは頭に入っており理解できる問題もあったそうで、複雑な計算は捨てることにして、父親と一緒に土日に集中して勉強していったそうである。

そして4月期の願書受付期間中(2月1日~20日)に過去問正答率は6~7割で、現状では合格ギリギリラインで次の機会に見送ろうとしたが、父親が本人の意思を聞かずに申し込みをしたそうだ(のちにちょっと早まって悪いことをしたかなとも・・・)。

しかし侑大さんは、新たに「第二級アマチュア無線技士 合格精選420問 試験問題集 第2集」(東京電機大学出版局)を購入してもらい、確実に正答できる問題にはチェックしていき、さらに勉強を進めていった。ここでもインターネット上で過去20年分ほどを掲載しているサイトを発見し、こちらでもひたすら過去問を解くことに専念した。


2アマの問題集(下)
上の3冊は、これからチャレンジしていきたいという各資格の問題集

いよいよ2アマ試験

いよいよ、迎えた2021年4月11日の試験当日。小学校のクラス替えよりドキドキして会場へは父親と向かったが、会場の屋内へは一人で向かったそうだ。だが周りは大人の人ばかりでその部屋では高校生すら見なかったかもとのことだった。

また小学生(当時小学3年)が受験するのは珍しく思われたようで、試験前後には「コールサインは何?」、「どのバンドに出ているの?」と他の受験者や試験官の方に声をかけられたそうである。

試験も終わり、父親に「どうやった?」と聞かれ「すごく難しかったけど、できる限り頑張った!」と言葉を交わし、帰宅後自己採点をしたところ無線工学、法規とも合格ギリギリラインで、正式な結果が来ないと何とも言えない状況で、合格発表が待ち遠しかったそうである。

2週間後、ついに合否のハガキが届き、中を確認すると「合格」の2文字。その後得点開示請求を行ったところ、ギリギリの点数だったそうだ。


2アマ~4アマの合格通知と無線従事者免許

そして2アマ合格祝いとして、父親からIC-705をプレゼントされ、侑大さんはついに自分専用の無線機を入手した。



愛用のIC-705で縦振りやパドルで電信の練習を披露してくれた

無線を通じて

2020年12月に開局して以来、いろいろなバンド、モードにチャレンジしてきている侑大さん。父親と一緒に移動運用に出掛けたり、2エリアにある父親の実家に帰省された時もアクティブに運用されており2022年8月の時点で、1エリア(JK1DRV)では1700局(430MHz中心)、2エリア(JS2JZH)では400局(7MHz中心)を超えるQSOをされたそうである。

今までアマチュア無線をしてきて、コンテストで1位や入賞できた事がうれしかったと楽しそうに話す。電信の運用にはまだまだ運用には慣れていないものの、まずは他局同士の交信を聞いてから呼ぶというスタイルで、本年(2022年) 5月に開催されたオール三重33コンテストに参加した。、電信では「599 09」(年齢)のナンバーを送り、電話での「59 09」と併せて、相手局を驚かせることもあったという。今後はDX(海外)との交信もしてみたいとの事であった。

また今まで苦労したのは、電気や無線の計算の公式を覚える事だったと話す。2アマの勉強の時にこれらを覚えることができたのは良いが、内容を理解するのに特に苦労したという。それでも興味を持っているので、そういった勉強はとても楽しかったという。

現在はさらにステップアップを目指して、1アマやプロの資格の試験勉強をしているそうで将来は無線関係の仕事を夢見ている。ここ数年難易度が上がった1アマは、教える側の父親も難しいと言うことで、まずは業務無線の資格の易しいものからチャレンジしていきたいそうだ。

電子工作も簡単なものからチャレンジしていて、まだ設計するというところまでは達していないが、ラジオやFMトランスミッターなどを半田付けして作ったり、断線したものを自分で直すなどしていて、今後は真空管を使った工作もしてみたいと嬉しそうに話す。

またアンテナの製作にも興味があり、バランや色々なアンテナを作ってみたいとの事であった。SHF帯にも興味があり、先日発表されたIC-905(取材当時はSHF-P1)にも注目しているとの事であり、こちらへのチャレンジもしたいそうである。

自宅では、大きなアンテナは設置できないが、144/430MHzのGPを常設しHF運用時には短縮DPやツェップアンテナを仮設し無線を楽しんでいる。週末には埼玉県入間市の入間児童センターへ行き常設されている無線室(JK1ZAM)で同じ小学生の友人達と一緒に無線交信を楽しんでいるそうだ。


自宅(1エリア)の屋上に設置したアンテナ
1200MHzモービルホイップ(仮設)とGP(常設)


18MHzツェップ(仮設)


2エリアのシャック


2エリアの常設アンテナ

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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