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楽しいエレクトロニクス工作

第44回 案内放送

JA3FMP 櫻井紀佳

観光地でのちょっとした案内や、展示会での展示物の簡単な説明などで、スポット的な案内放送が必要なケースがあります。これらの放送は、ほとんどの場合1~2分間の内容で間に合う場合が多いため、今回はIC ROMを使った案内放送を考えてみました。

全体の構成は、ROMに入ったメッセージをFM放送帯の微弱電波で送信し、近くに来た人にFMラジオで聞いて貰うというものです。


(左)ユニット外観 (右)構成図

送信部は随分前に購入したElehobbyの微弱FM放送用に作られたキットPS-474を利用しました。この部分はFMステレオトランスミッターのIC BA1404とバッファーのトランジスター2SC1815による構成です。送信周波数はFM放送帯で空いている周波数にコイルのコアで調製します。

BA1404は1.5V~2Vの低電圧で動作するため、電源はメッセージROM用の電源5Vから6個のシリコンダイオードの直列接続で電圧を落として電源に使いました。

メッセージROMの部分は、以前の連載「第29回 CQコールマシン」にも使ったアナログROMのISD1016Aを10個使用しました。その記事でも説明したように、このICは16秒間のアナログ信号を直接記憶でき、複数のICを直列に接続するとそのICの数に比例して記憶時間が延長されます。従って10個のICにより160秒間のメッセージの記憶に使うことができ、ピンポイント的な観光案内や説明に便利と思います。


メッセージROM部の回路図

回路上の切替えスイッチはICの端子の機能をそのまま出しています。CEはチップイネーブル、PDは省エネのスイッチとして使います。P/Rは再生と録音の切替えスイッチです。また、S4のディップスイッチは再生時に手動にするか自動繰り返しにするかの選択に使います。

動作はまず録音から始めます。マイク端子にマイクを接続しP/RのスイッチをR側にセットし、録音状態にしてから押しボタンスイッチREPを押してメッセージを録音します。録音前に録音時間の160秒に合わせて練習するとよいかもしれません。160秒より長くなると、メッセージは途中で切れてしまいますし、少ない録音では残った部分が無音になってしまうからです。録音の動作が終わると忘れずにP/RスイッチをP側にセットします。そうしないと、ちょっとした手違いでREPスイッチを押してしまった場合、せっかく録音したメッセージに上書きして消してしまうからです。

動作の確認は、S4スイッチの2をONにしてS5のRPTスイッチを押すと動作が始まります。FMラジオの周波数を合わせるとメッセージが聞こえてきます。S4スイッチの4をONにしてAuto-Repeatにするとエンドレス動作となり何回でも繰り返して動作します。電源の立ち上がりで動作を始めるため、人を検知する近接スイッチと組み合わせて電源のON-OFFをコントロールすると、人が近寄った時だけ動作するようにできます。

全体の外観は部品屋さんで買ってきた110m x 140m x 36mのプラスチックケースの内部に送信部とメッセージROM部を対向させて組み込みました。ROM部ケースの取付突起にネジ止めできましたが、送信部は外部にネジが出ると見苦しいのでスポンジの両面板で張り付けています。下側にノリ付きのアルミテープをアースとグランド効果のつもりで貼り付けました。

FM送信機部は購入した組み立てキットをそのまま組み立てたもので特別に変更した部分はありません。現在は新しいバージョンも販売されているようなので同様に使用できると思います。


FM送信部

メッセージROM部は取付突起のピッチにあった穴あき基板にROMやスイッチ、ジャックなどを組み込み、その基板をネジで取り付けます。ケースの外部には電源用のリード線とアンテナ線が出ています。アンテナ線は微弱電波の規定に入るよう適当な長さに切ります。


メッセージROM部

実際に屋外で動作テストをして行ってみたところ、実用になるように思いました。

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