2015年2月号

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連載記事

楽しいエレクトロニクス工作

JA3FMP 櫻井紀佳

第21回 色々なフィルター

・ 1.2GHz月面反射通信用ハイパワーLPF
1.2GHzで500Wの月面反射通信用に作ったLPFを紹介します。これも同軸型に分類されると思いますが、1kW程度までのハイパワーに耐える構造になっています。

内部のエレメントは15φのアルミ棒に3mmの穴をあけて3mmの銅または真鍮の棒を通します。15φのアルミ棒は銅または真鍮の方がハンダ付けできて良いのですが、手に入りにくいと思います。アルミ棒の場合は横から3mmのタップを立てて虫ネジで止めた方が良いでしょう。

外側のパイプは銅パイプで、これを通すために片側のN型コネクターの芯線を無理に抜き、先にハンダ付けして後からN型コネクターの外側を被せます。
外側の銅パイプは計算上内径が20.2φ欲しいのですが実際は20.3φであることと、内部の15φのエレメントの中心に穴を空けるとき少し偏心した為か特性の乱れがありますが、目的の周波数では挿入損失は我慢できる程度になりました

4.セミリジッド同軸のフィルター

セミリジッド同軸はどこにでも売っている程ポピュラーではありませんが、外側が銅パイプのため漏れが少なく、プロ用の高い周波数の機器などの内部によく使われています。最近はインターネットの通販でも手に入るようなので次に示すフィルターも自作可能と思います。

・ 400MHz BPF
オリジナルのセミリジッドフィルターは非常に良い特性ですが残念ながら入出力に200Ωの同軸が使われています。200Ωの同軸が見つからないので同じものが作れません。


オリジナルのセミリジッド同軸フィルターの回路図


オリジナル回路の特性

200Ωの同軸がないので50Ωのものに置き換えてみました。特性は変わりますがフィルターとして使えないことはありません。実際には結合容量が0.3pFと小さく、挿入損失が6dB位出てしまいます。


入出力の同軸を50Ωに代えたフィルターの特性


同フィルターの帯域内特性

実際に使用しているフィルターは次のようになっています。テレビ送信局の近くや周波数が少し離れたアマチュア局の妨害等に効果があります。結合容量が大きくなっているので挿入損失は2dB位に下がっています。周波数を変更したい場合は、周波数に比例した長さのセミリジッドにすれば変更できます。


フィルターの外観


同フィルターの特性


同フィルターの帯域内特性

動作パラメーター法によるフィルターの計算プログラム
このソフトは必要な条件を入力するとその条件に一番近いテーブルを読み出してくるものです。Windows XP、Windows 7 or 8で動くことを確認しています。
Filter2_1.exeとFLDA.Cを同じホルダーにおきます。
Filter2_1.exeは計算プログラム本体、FLDA.Cはそのデータテーブルです。
Filter2_1.exeをダブルクリックするとプログラムが始まります。

その結果は

この結果を補正したシミュレーションは本文をご参照ください。

入力画面で「特性の下限(k)が下限範囲外です。(k)を増加した数値を再入力して下さい。」 と出た場合は次のような意味です。


(クリックで拡大します)

このフィルターの(k)は0.5~0.95の間で有効です。BPFとBRFのこの図に対応する入力画面の対応は、
Bottom Frequency –L = ω-a
Cutout Frequency –U = ω-p
Cutout Frequency +U = ωp
Bottom Frequency +L = ωa
となり、つまり希望する帯域と減衰の帯域が0.5以上になるよう入力して下さい。

例 必要帯域 7.0MHz~7.2MHzの場合は
-L = 6.9MHz、+L = 7.3MHzとすると、0.2MHz/0.4MHz = 0.5(k)となって計算は有効ですが、
-L = 6.8MHz、+L = 7.4MHzでは、0.2MHz/0.6MHz = 0.33(k)となって無効です。

このソフトは自由に使って頂いて結構ですが転載する場合はご連絡ください。

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