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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その86 「蓄音機とラジオの企画」展成功裡に終了 1993年(8)
「あの人は今 (第11回)」JG1GWL杉本賢治氏

JA3AER 荒川泰蔵

「蓄音機とラジオの企画展」成功裡に終了

2月号のこのコラムで紹介させて頂きました、奈良県天理市のシャープミュージアムでの「蓄音機とラジオ企画展」は、2月22日から3日間、予定通り無事終了しました。筆者が米国と英国駐在時に集めたビンテージコレクションの内、蓄音機5台と、1920年代の鉱石ラジオから、その後の真空管式ラジオを経て、1950年代のトランジスターラジオまで、合計24点を展示し、スライドでその概要を説明させて頂いた後、エジソンの蓄音機の実演や、円盤式蓄音機で来場者が持参したSPレコードをかけて頂きました。この時間帯の前後には、シャープミュージアムの常設展示場のツアーもあって、ミュージアムのスタッフの案内やシャープOB達の解説に、ご来場頂きました皆様方には楽しみながら学んで頂けたものと思います。この3日間には、アマチュア無線家も含めて約250名のご来場者で賑わいました。ご来場頂きました皆さん、どうも有難うございました(写真1及び2)。今回はアフリカの紹介ですが、昨年9月号の当連載(その78)での「あの人は今(第3回)」で紹介させて頂いたJA3USA島本さんが述べておられたイタリアのDXペディションチームのアフリカの国々での活動の様子を、I2YSB, Silvanoさんが丹念に撮影し編集されたビデオ画像を、島本さんがご自身のビデオライブラリーにまとめて公開されましたので、次のURLから是非ご覧ください。
http://idt.dx-pedition.com/

尚、今月の「あの人は今 (第11回)」は、JG1GWL杉本賢治氏の紹介です。


写真1. (左)来場者が持参したSPレコードの音楽に聴き入る来場者。
(右)エジソンの円筒式蓄音機を取り囲み、その演奏に聴き入る来場者。


写真2. (左)展示したラジオ、左側は米国1922年製単球 Westinghouse RADIOLA SR RECEIVER。右側は米国1924年製6球 RCA RADIOLA Super-Heterodine。その上のスピーカーは、英国1922年製 Brown H2。
(右)展示したラジオ、米国1927年製7球 BOSCH LITTLE SIX Model 126、その上のスピーカーは、英国1923年製 AMPLION Type AR19。

1993年 (ニジェール 5U7Y)

JG3UPM吉野隆行氏はニジェールで5U7Yの免許を得て運用した経験を、写真やQSLカードと共に、アンケートで寄せてくれた(写真3~6)。「1993年6月より、青年海外協力隊員としてニジェールの首都ニアメ市の電々公社で働いています。職場ではニジェール国内で発生した無線通信設備の故障修理を行なっており、私はその技術指導を行なっています。昨年(1993年)の10月にQRVを始めて、半年間で約4,000局と交信しました。QRVする際には出来るだけJA局をピックアップするよう心掛けていますが、いつもヨーロッパからのQRMがひどく苦労しています。設備はIC-723, 3エレ3バンド八木 (14, 21, 28MHz) 5mH, バーチカルアンテナ (3.5, 7MHz)です。ダイポールアンテナ(5mH)で1.9-28MHzにも出られますが、今後WARCバンドに力を入れていきたいと思っています。今(4月)ニジェールは一年で一番暑い時期を迎え、日中外気温は摂氏50度を越えシャック内は摂氏40度近くになり、止まることなく流れる汗をタオルで拭きながらQRVしています。任期が今年(1994年)の12月上旬までなので、QRV出来るのは11月末までとなります。QSLカードは、ホームコールのJG3UPMにJARL経由かSASEでお願い致します。(1994年4月記)」


写真3. (左)5U7Yのシャックにて吉野隆行氏。
(右)5U7Y吉野隆行氏の住居の屋根には八木アンテナとバーチカルアンテナが見える。


写真4. (左)5U7Y吉野隆行氏のQSLカードと、
(右)それらが送られてきたニジェールからの封筒。


写真5. 5U7Y吉野隆行氏の免許申請書。


写真6. 5U7Y吉野隆行氏の免許状。

1993年 (タンザニア 5H3XX)

JH1ORL酒井章宏氏は、タンザニアのダル・エス・サラーム(Dar-es Salaam)で、7Q7XXの免許をベースにタンザニアの免許を得て運用したと、アンケートを寄せてくれた(写真7)。「5H3MT落合氏宅より、ゲストOPとして5H3XXの運用許可を得た。本来短期滞在者は5H0となるが、落合氏の協力/助言により、レジデンス扱いの5H3のプリフェックスとなった。滞在は約2週間であったが、電源事情が悪く殆んどバッテリでの運用であった。それでもオールバンド、オールモードで約2,000局とQSO出来た。(1994年1月記)」


写真7. 5H3XX酒井章宏氏の免許状。

1993年 (ザンビア 9J2XX)

JH1ORL酒井章宏氏は、ザンビアのルサカ(Lusaka)で、7Q7XXの免許をベースにザンビアの免許を得て運用したと、アンケートを寄せてくれた(写真8)。「9J2HN野田氏の協力を得て、出張時に野田氏宅よりQRVした。最初は9J2ASとして免許されたが(1993年3月)、後に9J2XXに変更して頂いた。オールバンド、オールモードで約2,000局とQSO出来た。(1994年1月記)」


写真8. 9J2XX酒井章宏氏の免許状。

1993年 (マダガスカル 5R8DP)

JA1OEM豊福真一氏は、マダガスカルで5R8DPの免許を得て運用した経験を、アンケートで寄せてくれた(写真9及び10)。「免許の申請から発給まで約4ケ月かかった。免許の申請方法等は59誌1993年1月号に記載があった。運用場所はアンタナナリボ(Antananarivo)市内で、3月19日から27日まで、その後郊外のアンサベ山頂で4月22日まで、そして4月23日から25日まで、再びアンタナナリボ市内で運用しました。3月24日まではリニアアンプ(300W)を使用しました。その後はベアフットでしたが、コンディションに恵まれ、好ロケーションも幸いして、そこそこQSOが出来ました。50MHzは山での数日だけのオープンでした。山上では商業電源が無く1.5kWの発電機を使用しました。その後各バンド共コンディションが下がりましたが、後半の7~10日位はまた良くなり幸いでした。持参したリグはFT-655(24~50MHz)のみで、HFのリグは現地の借り物で、CWフィルターが付いておらず、私自身CWは初心者なので、実に苦労しましたが、日数が充分とれたので、どうにか1,200QSO程になりました。1.9MHzは3日間トライしましたが、1~2日目はNo、3日目はJAの信号が良く聞こえ、各局呼んでいるのは分かっても、こちらの信号が弱いらしく、4QSOのみでした。期間中オールバンド、オールバンドでは6,151QSOでした。(1993年9月記)」


写真9. 5R8DP豊福真一氏のQSLカード。


写真10. 5R8DP豊福真一氏の免許状。

「あの人は今 (第11回)」JG1GWL杉本賢治氏

北米やヨーロッパで活躍され、今もJANETやJAIGでアクティブなJG1GWL杉本氏の米国での運用については(その20) 2014年11月号で、ドイツでの運用については(その23) 2015年2月号で、英国での運用については、(その34) 2016年1月号で、カナダでの運用については、(その67) 2018年10月号で、それぞれ紹介させて頂きましたが、その杉本氏から近況をお知らせ頂きましたので紹介させて頂きます。「英国での運用でお世話になった日本人ハムの中にはSKされた方々もあり、時の経過を感じます。そのときは日本の免許でコールサインがもらえず、アメリカの免許でコールサインを発行してもらいました。昨年、ハムの先輩から日本の免許で英国のコールサインがもらえると聞き、主管庁のOfcomに申請したところ、短期間でG1GWLというFBなコールサインの免許状を発行してもらえました。良い時代になったものだと感心しています(写真11)


写真11. JG1GWL杉本賢治氏の英国のCEPT免許状。コールサインが何とG1GWLです。

ハムの楽しみを子どもたちに伝えたいと思い、地域の三文字クラブに支援してもらいながら工作教室を10年以上続けていますが、まだ一人も免許を取った子がいないのが残念です。工作に興味を持つ子はいるのですが、QSOに関心がないのは生まれた時からスマホがある時代のせいかもしれません。しかしCWに興味を示す子がいるのはなにかのヒントになります(写真12)


写真12. 三文字クラブのメンバー達と開催している、子どもたちの工作教室風景。

住宅事情のせいというより自分の熱意が不十分のために、固定局からの運用はUHFが主となりまして、HFに出るのはJR0ZEWでの移動運用だけになりましたJA1BNW, JA1FNO, JA2SWH, JA9IFFなどのアクティブなOMたちに連れられて0エリアや1エリアを移動しながらJANETやJAIGのネットにも参加しています(写真13)


写真13. 一緒にJR0ZEWの移動運用をする仲間達。左から、JF1SAG松岡良樹氏、JA1FNO須之内建史氏、JA1BNW廣島孝之氏、JA1GAF/JA2SWH佐竹康雄氏、JE1VDN/JA9IFF中嶋康久氏、JG1GWL杉本賢治氏。(写真提供 JA1BNW)

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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