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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その99 今回の記事は1995年の南北アメリカです 1995年(3)
「あの人は今 (第24回)」JG3STV服部匡史氏

JA3AER 荒川泰蔵

今回の記事は1995年の南北アメリカです

今回は1995年の第3回目で、南北アメリカで運用した方々の紹介です。尚、今月の「あの人は今 (第24回)」は、JG3STV服部匡史氏の紹介です。

1995年 (カナダ NX1L/VE3)

JH1VRQ秋山直樹氏は、米国FCCの免許でカナダのNiagara Falls, OntarioからNX1L/VE3で、14MHzのCWでQRVし、JAの3局を含む6局とQSOしたと、アンケートで知らせてくれた。「アメリカFCC発行のアマチュア無線免許は、自動的にカナダで有効。カナダの郵政当局の承認はいらない。操作範囲はFCC免許で定められたとおり。1982~1984年には、N1CIX/VE1と、N1CIX/VE2の運用も行った。(1995年11月記)」

1995年 (米国 WH2H, W4/JK2VOC, AJ7/JK2VOC)

JI1CJJ中野久永氏は、米陸軍上級曹長学校へ派遣留学した機会にFCCの免許を取得し、テキサス州・エルパソ市からWH2Hで運用したとアンケートを寄せてくれた(写真1~3)。「TS-50(100W) + R5でQRV、その後R7に変更しました。スタンダードC108Aをポケットに入れ、市内のリピーターを使用して、ローカル局とQSO。毎週日曜日の午前9時より、28.440MHzで、テンテンネットに参加。水曜日の夜は、144、430のロールコールにチェックイン。土曜日の午後はDXに耳を傾けて、CW、SSBでHFにQRV。7月にはカリブ海へクルージングに行きました。C108AでローカルとQSOすると、ベトナム戦争時代、立川、横田基地に行ったことのあるオペレーターが多かった。エルパソ市は、軍関係者が多く、ハムの平均年齢は50歳位に思えました。日本人に対する思いは大変良かった。また、RACE(災害時におけるアマチュア無線局の運用)についても、かなり確立していた。今回、米軍官舎に家族で住んでいましたが、無線局を開局するには、米軍当局の許可が事前に必要でした。しかし、TVI等が生じた場合は、当局に通知すれば、専門家が調べて全て解決してくれるとの事でした。さすがですね。実際にはTVI等はありませんでした。私の場合は公務の為にパスポートも公用でした。また、米軍のIDカードを取得しましたので、米軍と同様の特権が与えられました。地域のハムクラブとの交流をはかり、フィールドデーコンテストへの参加や、ARRLのVECとして試験員を務めました。クラブハウスも大変立派なもので、生活も十分できる位でした。800万円で家+プール+家具一式が買えます。日本では1億円位するものですよ。サンシティーアマチュア無線クラブ・K5WPHは、30年間もQRVしている大変古いクラブで、組織が確立しているクラブです。最後に、私は、日本人ハムオペレーターとして、テキサス州・エルパソ市、フォート・ブリス米軍基地内で運用できたのも、近くにいたWF4Pローランド氏をはじめとして、多数の米軍関係者の協力があったからだと思います。来年も海外、特に米軍への出張等がありますので、CQ JAで頑張ります。(1995年11月記)」


写真1. (左)WH2H中野久永氏のQSLカードと、
(右)WH2Hのライセンスプレートを付けた車の前で、HTを手にするWH2H中野久永氏。


写真2. (左)WH2H中野久永氏の免許状(感熱紙コピーが退色している)。
(右)サンシティーアマチュア無線クラブK5WPHのQSLカード。


写真3. WH2H中野久永氏の米陸軍上級曹長学校の留学を伝える新聞記事。

JK2VOC福田佳広氏は、JR3NZC松本肇氏との米国旅行で運用した経験を、アンケートで知らせてくれた(写真4及び5)。「1995年3月に、JR3NZC松本肇氏と一緒にアメリカのコンテスト局を訪問する目的で渡米し、東海岸~西海岸を8日間かけて旅行しました。最初の訪問地ジョージア州でWX4G、K4PI、K4JPD、K4KGを訪問しました。WX4GのシャックからW4/JK2VOCとW4/JR3NZCでQRVし2人で約30QSOしました。その後メリーランド州に移動しK3ZO、W3LPLを訪問しましたが、こちらでの運用はありませんでした。最後の訪問地ワシントン州のW7RMからはWPXSSBコンテストにAJ7/JK2VOCとAJ7/JR3NZCで参加し、私が1,800QSO、松本氏が1,000QSOを行いました。この当時はアメリカと日本間で相互運用協定が結ばれていましたが、レシプロ免許を事前に取得する必要があり、出発日が迫っていた事もあり、FCCへ申請する際に急いで免許を発行して貰うように手紙と多めのIRCを同封しました。出発までに免許が到着して無事QRVすることができました。(2020年8月記)」


写真4. (左)ホワイトハウスを背景に、W4/JK2VOC福田佳広氏と、W4/JR3NZC松本肇氏。(右)W4/JK2VOCを運用する福田佳広氏。


写真5. (左)AJ7/JK2VOC福田佳広氏のQSLカードと、(右)アンテナファームを背景に、W7RMとAJ7/JK2VOC福田佳広氏 。

1995年 (ケイマン諸島 ZF2SF/8)

JH6RTO福島誠治氏はケイマン諸島の免許を得て、Little CaymanからZF2SF/8で運用したとアンケートを寄せてくれた(写真6)。「極最近、CQ誌の“日本人による海外運用の記録”にも掲載されたJH1VRQ秋山直樹氏の運用直後ですから、少し違うところということで、ZF8から運用しました。免許は、US免許からは確実に発行されます。有人島が3つあり、Grand Cayman = ZF1、Little Cayman = ZF8、Cayman Brac = ZF9、常置場所のない外国人 = ZF2のようです。ZF8AAのSefton's Cottageをお借りして、宿泊と運用をしましたが、現在の所有者は代っています。リグ、アンテナは古いですが、ほぼ一式あります。1.8~7MHzがスローパー、14~28MHz(WARCを含む)が4eleビームです。尚、ZF1⇔ZF8は20人乗りの小型機が毎日2便飛んでいます。呼ぶ局の多いバンドを中心に出ました。結果は10,18MHzで非常に受けが良く、3.5MHzのCWでさえも、往々にして“僕も前に行ったことがある。ZF2・・・だったよ”と長話をする一方、EUが首を長くして待っていました。念のため数本のワイヤーアンテナを持参しましたが、10MHzのZeppelinは大活躍でした。10MHzではかろうじてJAの2局とQSOできました。(1995年10月記)」


写真6. (左)ZF2SF/8(JH6RTO)福島誠治氏とZF2AH, Joeさん。
(右)ZF2AH, Joeさんご夫妻の歓迎会の集合写真(2017年9月大阪京橋にて)。

1995年 (ジャマイカ JR7QKH/6Y5)

JR7QKH佐藤学氏はジャマイカの運用許可を得て、ジャマイカのOcho RiosからJR7QKH/6Y5で運用したと、アンケートを寄せてくれた(写真7及び8)。「1995年3月7日から1週間、ジャマイカに滞在しQRVしてきました。ライセンスはJAの免許で、現地のPTD(Post and Telegraphs Department)に申請しました。6Y5IC, Wentyさんの協力を得て、約3ヶ月で許可になりました。申請領は無料です。あまりQRVする時間がなく、14MHzのSSBで、Wのイーストコーストを中心に、約130QSOでした。コンディションが悪く残念ながらJAとはQSOできませんでした。設備はTS-50Sと、ホテルのベランダに設置したD.Pでした。(1995年8月記)」


写真7. JR7QKH/6Y5佐藤学氏のQSLカード表と裏。


写真8. JR7QKH/6Y5佐藤学氏の免許状。(クリックで拡大します)

1995年 (タークス・カイコス諸島 VP5/JA7XBG, VP5/JH7MQD)

JA7XBG坂部哲也氏は、タークス・カイコス諸島でVP5/JA7XBGの免許を得て、Providenciales Is.で運用したと、CQ ham radio編集部経由でアンケートを寄せてくれた(写真9~11)。「ライセンスの取得方法: 現地のアマチュア局であるVP5JM(Mrs. Jody Millspaugh)に事前に日本のライセンスの英文証明を送付し、取得してもらった。所定の申請書も準備されているが、これも彼女が作成してくれた。日本のライセンスをベースに1年間(1/1 - 12/31)のライセンスが問題なく入手できるが、担当官庁の事務処理に時間を要するため、現地のアマチュア局に依頼して、あらかじめライセンスを入手しておく事をおすすめする。郵送による申請も可能であろうが、処理時間の問題があり危険度が高い。コ-ルサインはVP5/ホームコ-ルとなり、以前許可されていたVP5Vxx (VはVisitorのV)は、現在は許可されない。コンテスト/特殊イベント等の目的ではVP5xのコールサインが短期間なら許可される。入国時の問題: 今回はレンタルシャックからの運用であったため、機材の持ち込みが少ないこともあって、入国時のトラブルは無かった。念のために、事前に許可されたライセンスを携帯する方がベター。レンタルシャック: 今回は、VP5JMが経営するレンタルシャック"Hamlet"からの運用でした。カリブ諸国には、多くのレンタルシャックがあるが、機材の持ち込みが不要で充実した設備で運用できるメリットがある。また、Hamletは完全な一戸建てであるため、気がねなく運用可能である。ちなみに当地ではケ-ブルTVが普及しておりTVIの心配はない。また、HamletにはFBなキッチンも完備しており、日本食を料理できる点も見逃せない。現地のアマチュア局: 現地には数名のアマチュア局がいるが、海外QSOを行なう局はVP5JM以外皆無。U.S.A.の局を中心に年に数回のゲストオペが実施されており、これらの運用の依存度が高い。現地では、現在アマチュア局に対する詳細のルールを制定中。現在はInternationalのルールに準拠する様、ライセンスに明記されている。今後は、VP5JMらが中心となって若いアマチュアを育成してくれると思われる。いずれは現地人によるアクティブなQRVが見込まれると信じたい。現地の様子: 当地はまだ観光地化されておらず、自然が多く残されており、野性のイグアナを見る事もできる。電気の供給は問題なく、滞在中の停電はなかったが、上水道は設備が完備しておらず、各家の地下に貯水用のスペ-スを設け雨水を溜めて使用する、いわば自給自足の状態。我々の滞在中は全く降らなかったため、かなり危険な状態であったが、何とか貯水で生活できた。無論、この水は飲料水にはならず、飲料用は別途購入が必要。我々が滞在したProvidenciales島(通称Provo)にはダウンタウンの様な地域は無く、レストランの数も少ないため外食やショッピングのためには、レンタカー等が必要と思われる。我々はVP5JMの好意に甘え、色々な所へ案内してもらったためレンタカーは不要であった。なお、タクシーは極めて少ない模様。その他: 今回は、VP5/JH7MQD小林氏と共に行動した。運用は同一場所から交互に実施。(1995年11月記)」


写真9. VP5/JA7XBG坂部哲也氏の免許状。


写真10. (左) VP5/JA7XBGを運用する坂部哲也氏と、
(右)夕日を背景に、VP5JM, JodyさんとVP5/JA7XBG坂部哲也氏。


写真11. VP5/JA7XBG 坂部哲也氏のQSLカード表と裏。

JH7MQD小林昭氏も、タークス・カイコス諸島でVP5/JH7MQDの免許を得て、Providenciales Is.で運用したと、CQ ham radio編集部経由でアンケートを寄せてくれた(写真12及び13)。「コンディションは非常に悪く、14MHz以上では18MHzで2局JAとできただけで、ほとんどJAは聞こえませんでした。ローバンドは10:00Zを中心に±30分位がJAと開けました。後でQSLの回収で知りましたが、西日本(JA2 - 6)の局は時々ロングパスでQSOしていたようです。特に3.8MHzのJA - VP5はノイズが多く苦労しました。7MHz, CWで約150局、3.8MHzで約150局のJAとQSOできました。詳しくは JA7XBG局がレポートしていると思います。(1995年11月記)」


写真12. VP5/JH7MQD小林昭氏の免許状。


写真13. (左) VP5/JH7MQDを運用する小林昭氏と、(右)そのQSLカード。

1995年 (ペルー OA4DBP)

JR2CHL橋本益夫氏は、チリで受験しOA4DBPの免許を受けて運用中と、免許状のコピーを添えて手紙で知らせてくれた(写真14)。「CQ誌の記事はよく拝見させて頂いており、私もいつか海外で電波を出したいと思っておりましたが、なんせ日本ではほんの2年位の無線の体験しかなく、免許も電信級までで終わっており、その後20年以上電鍵にも触れた事がなく、偶に日本へ帰った時ホコリをかぶったシャックよりオンエアーをしていたぐらいです。その間、仕事の関係で南米各国を行ったり来たりしておりましたが、やっと4年前よりペルーに定住し、現地の試験を受けノビス(初級)より始め、現在はインテルメーデイア(中級)です。一時OA4DBOで出ておりましたが、当局よりコールサインの変更を指示され、現在では一字違いのOA4DBPで 3.8, 7, 14, 21MHz等に出ております。(1995年12月記)」


写真14. OA4DBP橋本益夫氏の免許状。(クリックで拡大します)

「あの人は今 (第24回)」JG3STV服部匡史氏

仕事の関係で奥様と共にニューヨークに駐在されたJG3STV服部匡史氏は、N2CAOの免許を得てアクティブに運用され、国連本部の4U1UNも奥様(JM3KHY/W2)と共に何度もゲスト運用されました。筆者(JA3AER)が米国から帰国することになり多忙を極めた1987年から、英国に赴任した1991年までの5年間、CQ誌に連載していた「JANET News」の編集を引き受けて下さいました。また、お父様の故JM3CRW服部利雄氏も、奥様とご一緒にニューヨークに来られてJANETクラブのメンバーと交流されたご経験から、服部匡史氏の編集をサポートして下さいました。その服部匡史氏の米国でのN2CAOの運用については、(その16)2014年7月号に、国連本部での4U37UNの運用については、(その20)2014年11月号に、そして、奥様JM3KHY/W2服部澄子氏の4U1UNの運用については、(その29)2015年8月号に紹介させて頂きましたが、その服部匡史氏から近況をお知らせ頂きましたので紹介させて頂きます(写真15~17)


写真15. (左)CQ誌1987年1月号、N2ATTからN2CAOへのJANET News欄エディター引継ぎ記事。(右)CQ誌1992年1月号、N2CAOからN2ATTへのJANET News欄エディター引継ぎ記事。

「1978年2月に初めて米国へ赴任。それまでシンガポールを拠点に香港や東南アジア諸国、そしてサウジやクウェートなどの中東の国々を廻って仕事をしてきた私でしたが、ようやく願いが叶ってのNY勤務でした。“海外で仕事をしたい”という小さい頃からの願いのひとつの集大成として、勇躍NYへ乗り込んだものでしたが、実はもう一つ、ラジオ少年だった自分の夢、アマチュア無線発祥の地で、たとえSWLでも良い、なんとか活動してみたいというひそかな期待がありました。まことに幸せなめぐり合わせで、創立間もないJANET CLUBと出会い、しかもOM諸氏のご協力でN2CAOのコールを取得して、ハッピーなスタートを切ることができました。さらにXYLのJM3KHY/W2と共にManhattan Radio Club(MAARC)のメンバーとして、レピーター設備の取材、NBCスタジオでのミーティングやポットラック・パーティーへの参加等を通して、レピーターの日本への紹介などにも尽力しました。当時、色々と指導してくれたMAARCのWB2SGA Billとは今も連絡を取り合っております。また、NYでの思い出として皆さんが挙げられるのが4U1UNの運用です。私も例にもれず、もっとも心に残る運用のひとつです。4U35UNや4U40UNなどの記念局まで同席させて頂いて、幸せいっぱいでした。滞米中、JANETのメンバーの方々にはもちろん、XYLの皆様にもそれはそれはお世話になりました。長男が生まれたものですから、紙おむつやミルクまでお店を教えて頂き、ある時は2mで現地まで案内してもらったことも何度もありました。


写真16. NBCスタジオでのミーティング。(右)ポットラック・パーティー風景。

日本へ帰国してからは、奈良のローカルのクラブを中心とした活動になりましたが、一方でCQ誌の「JANET News」の記事の編集も5年間させて頂きました。亡き父JM3CRWにも協力してもらって、なんとか重責をこなすことができました。その甲斐有ってか、1990年にはJANET CLUBからプラーク(表彰盾)まで頂き感動しました。いまも大切な宝物としてシャックに飾ってあります。子供2人も、小学生になるとHAMに興味を持ってくれ、それぞれ免許を取得して特にキャンプ移動の時などに活躍してくれました。父のJM3CRWも含めて、これで「親子三代のハム」という事で、毎日新聞などで記事に取り上げてくれたことも良い思い出です。ハムの世界もデジタル化が進み、PSK31、SSTVなどが盛んになると、もともとRTTYのような文字通信が好きだったこと、もう一つの趣味であるパソコンとの融合を満喫できることなどから一時期夢中になり、それが今もFT8の運用に細々とではありますが、なんとか続いております。パソコンといえば、5年ほど前にそれまでの勉強の成果を試してみようと、NTTコミューニケーションズの.com Masterのテストを受け、なんとかAdvanceクラスをパスできました。これを足掛かりに近所のお年寄りたちのパソコンやスマホなどのメンテナンスのお手伝いをしたり、買い替えの相談にのったり、あるいは自治会や防災会、個人事業主の方々のホームページの作成や面倒を見させてもらったりしております。幼稚園、そして小中高のPTAの役をはじめ、地区の自治会、防災会の仕事など、現役の頃は全く放ったらかしであった、地域の方々との交流も積極的に行って、なんとか面目を保っています。(2021年3月記)」


写真17. (左)親子3代ハムのQSLカード。(右)地域貢献として自治会館でのレコード鑑賞会。

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次号は 7月1日(木) に公開予定

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